第25話 決着
「ゼノア・・・詳しい事は後で話す。今は・・・あのクソ魔人を俺と一緒にぶっ飛ばそうぜ!!!」
ゴルドの今まで見た事の無い清々しい笑顔に釣られてゼノアも笑顔になる。
(何があったか知らないけど・・こんなに嬉しそうなゴルドさんは初めて見るよ。)
「うん!ゲイブルの町を襲ったお仕置きをしないとね!!」
ゼノアも赤いオーラを立ち昇らせ構える。すると町の中の魔物を一掃した冒険者達が集まって来た。町の外からも救難信号を見て戻って来た冒険者達が外壁の割れ目から次々と町へと入って来た。
「おいおい!!町の外壁が破壊されてるぞ?!何があったんだ!!」
「おい!見ろよ!あれは魔族か?!何故こんな所に魔族がいるんだ!?」
「おい!あれって元S級冒険者の鋼のゴルドだぜ!!引退してもやっぱり凄えな!!魔族を圧倒してるぜ!!・・って・・隣にいるガキは誰だよ!?それに赤い闘気だと?!」
「お前知らねぇのか?!あのガキはこのゲイブルの町の名物!怪力ゼノアだ!!はは・・それにしても強ぇ訳だぜ・・レッドオーラだったのかよ・・・」
集まって来た冒険者達が口々に噂し出した。
「い、いつの間にか変な二つ名が付いてる・・・」
「まあ!いいじゃねぇーか!!観客もできた事だ!!よし!ゼノア!組手の時間だ!!」
「う、うん・・・」
ゼノアは拳を握り構えるゴルドと同じ構えを取り魔人マグリアルを見据える。
(・・く、くそぉ・・・魔力が尽きかけてやがる・・・仕方ない・・こうなったら・・)
「シャドウバインド!」
マグリアルは周りに集まって来た冒険者達を闇魔法で拘束した!
「うぐっ・・・な、なんだ?!」
「か、身体が・・う、動かねぇ・・・」
「ま、魔族の仕業か・・・ま、まさか・・俺たちを・・」
マグリアルはゴルド達を肩で息をしながら見据える。
「お、おい!お前等・・・一度しか言わないぞ・・・こいつ等の命が惜しかったら・・・」
マグリアルが話し終わる前にゴルドとゼノアが石畳を同時に蹴る。
だぁぁぁん!!!
「なっ?!お、俺の話を・・・」
「うるせぇよ!」
「うるさいよ!」
焦るマグリアルの目の前に弾丸のように迫り現れたゴルドとゼノアの拳がマグリアルの腹を打ち抜く!!
ずどぼぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!
「ぐべぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
ゴルドとゼノアはマグリアルの話しを全く聞く気は無かった。二人共取り敢えず目の前の敵をぶっ飛ばしてから考えるつもりだった。
マグリアルは打ち抜いた拳の衝撃で空高く打ち上げられる!そしてシャドーバインドが解除され冒険者達が解放された。
「おっ・・・動く!動けるぞ!」
「おぉ!どうなるかと思ったが・・・あの魔族・・相手が悪かったな!」
「ははっ!!ざまぁ見ろってんだ!!」
冒険者達が笑いながら高らかに打ち上がるマグリアルを見上げる。
「・・馬鹿な奴だ・・・やるなら拘束ではなく攻撃すべきだった・・」
「ふん。もうそれだけの魔力がないのよ。どちらにせよ・・詰みよ。それにしても・・あの二人・・似て来たわね・・・」
「あぁ。そうだな・・・」
ガベルとユフィリアは空を仰ぐゴルドとゼノアを微笑ましく眺めていた。
「ゼノア!トドメは任せたぞ!!」
ゴルドがにんまり笑いながらゼノアの背中を叩く!!
ばぁぁん!!
ゼノアは微動だにせずに笑顔で頷く!
「うん!!あいつは魔力弾が好きみたいだから・・・お返しだ!!」
(僕の中にあるこの温かくて優しい力・・)
ゼノアは自分の中にある力を感じてイメージを固めると空に向かって両手をかざす!
「魔力創造!!」
かざす手の先にマグリアルの放った漆黒の魔力弾とは真逆の光輝く光の球が膨れ上がって行く!!
「・・・あ、あれは・・ひ、光と聖の融合魔法・・・魔力創造をもう使いこなしているわ・・・」
「・・・ふっ・・もう驚くのは疲れた。ゼノア君は特別だ・・・」
「えぇ・・そうね・・」
ガベルとユフィリアを始め周りの冒険者達は呆気に取られ膨れ行く光の球を見上げていた。
「す、凄ぇ・・・何だよあれは・・・」
「・・・あ、あぁ・・あんな魔法見た事ないぞ・・・」
ゴルドも身震いしながら光の球を見上げていた。
「うぉ・・す、凄ぇな・・・」
「さあ!さっきのお返しだよ!!耐えれるものなら耐えてみろぉぉぉぉ!!!」
力無く落ちて行くマグリアルは自分が絶望的な光の世界に堕ちていく感覚に襲われていた。
「ま、待て!!わ、わかった!!ぼ、僕の負けだ!!だ、だから・・・」
「うるさいよ!お前も絶望を味わえぇぇぇぇ!!!」
ずおぉぉぉぉぉぉぉ!!!
ゼノアはマグリアルの言葉を遮り問答無用で光輝く魔弾を打ち上げた!落ちて行くマグリアルに巨大な光の球が迫る!
「くそぉぉぉぉ!!!な、なんて奴だぁぁぁぁ!!俺の負けだといってるだろうがぁぁぁぁぁ!!!なのにぃぃぃ!!なのにぃぃぃ!!くそぉぉぉぉぉぉ!!くそぉぉぉぉ!!人間ごときがぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
マグリアルはなす術なくもがきながら光り輝く白い闇の中に消えて行く・・・
「うぎやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
マグリアルは光と聖の魔力に身体を蝕まれ断末魔と共に完全に消え去った・・・ゼノアの放った光の球はそのまま雲を突き抜け遥か彼方に消えていった。
「ふう・・今度こそ終わったみたいだな。」
ゴルドがゼノアの頭に手を置くとゼノアはゴルドを見上げる。
「うん。本当に皆んな無事で良かった・・・あっ!そう言えば僕が気を失っている時に何があったか教えてよ!!」
「おう!そうだったな!取り敢えず俺の家に来い!・・・よっと!!」
ゴルドは両手でゼノアを持ち上げると肩車をする。
「わっ!ゴルドさん?!」
「おい!ガベル!後の始末を頼んでいいか?」
慌てるゼノアを肩車したまま振り向くとガベルは肩をすくめる。
「ふっ。駄目だと言っても行くんだろう?構わん。行って来い。」
「ゴルド!話が終わったら屋敷に来るのよ!私も話があるんだからね!」
ガベルとユフィリアはゴルドがそう言い出すと分かっていたかのように口元を緩める。
「よぉし!ゼノア!行くぞ!!今日は寝かせねぇぜぇぇ!!」
「うぇぇぇぇ!!!それは嫌だよぉぉぉ!!」
ゴルドは肩の上でもがくゼノアをそのままに嬉しそうに駆け出すのであった。
神界から様子を窺っていた創造神アルフェリアが胸を撫で下ろしていた。
「本当に・・・危機一髪だったわね・・・」
アルフェリアが肩の力を抜いてゆっくり振り向くとそこには頭を下げるメルミラとメラリルがいた。
「アルフェリア様・・・私達の我儘を聞いて頂きありがとう御座いました。」
「・・・メルミラちゃん。良いのよ。私もゼノアちゃんには期待してるの。貴女達が来てくれて私も良かったと思っているわ。・・だけど・・これは異例だと言う事を分かってね・・他の神々には貴女達が神の民であり、その子孫を護る為の只一度の善業だと言ってあるわ。もう解っていると思っているけど貴女達は二度と地上に干渉する事は出来ないわよ。」
「はい。・・分かっています。これからは私の息子がどんな生き方をして行くのか見護る事にします。」
「そうね。それに私達の力を覚醒したゼノアちゃんならもう大丈夫よ。」
「えぇ。」
メルミラとメラリルはゼノアの行く末を想い顔を見合わせ頷き微笑むのであった。
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