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第23話 奇跡

「・・・よ、よくも・・人間ごときが・・ぐっ・・ごふっ・・はぁ、はぁ・・こ、この魔人の僕に死の恐怖を味あわせてくれたな・・ま、まさか・・こ、こんな所に・・勇者の卵が居たとは・・・そ、そのガキだけは・・・はぁ、はぁ・・・き、危険だ・・・い、今のうちに始末する・・・」


魔人のマグリアルはゼノアの一撃を受ける刹那に魔人化し残りの魔力を防御に使ったのだった。しかしそれでも受け止めきれずに甚大なダメージを負った。赤黒い身体のあちこちから血を流し骨は折れ、だらりと下ろしたままの左腕は自分の意思ではもう動かなかった。


「・・・ちっ・・しつこい野郎だ・・さっさと帰ればいいのに・・・まあ、ゼノアが勇者ってのはまんざら嘘でもないがな!」


ゴルドはゼノアを隠すように前に出て大剣を石畳に突き刺し闘気を振り絞る!


「あぁ・・そうだな。ゼノア君はこのゲイブルの町の勇者と言っても過言ではない!!」


ガベルもゴルドと肩を並べて氷剣に闘気を纏わせる!


「ふん。仕方ないから認めてあげるわ。その代わり生きてたら・・・私の特訓を手伝ってもらうわよ・・・」


ユフィリアも残り少ない魔力を集中しゼノアの前に出た!


(そ、そんな・・・か、身体が・・動かない・・・皆んな・・逃げて・・・)


ゼノアは指一本動かす事も出来ずに薄れ行く意識の中でゴルド達の背中を見上げていてた。


そしてゴルド達は覚悟を決めた。目の前の魔人と刺し違えてでもゼノアを護ると。それが今、自分達が出来る唯一の仕事だと。


「ふん!行くわよ!!深傷の魔人と疲労困憊のS級初老冒険者の我慢比べよ!!」


「おぉう!!もう思い通りに身体も動かねぇが我慢比べなら出来るぜ!!」


「そうだな!奴もギリギリのはずだ!ここは耐え切って勝つ!」


ゴルド達も体力、魔力共にギリギリであった。そこで深傷を負ったマグリアルの攻撃を受け切り自滅するのを待つ作戦を取ったのだった。


「・・・ふ、ふん。馬鹿め・・ダメージは負ったが人間の老耄3匹ぐらい・・・始末する力は残っているぞ・・・ぐっ・・」


マグリアルは不適な笑いを浮かべるがその実ゼノアに受けたダメージは想像以上に重く立っているのも辛い状態であった。


(・・・くっ・・調子に乗って掛かって来るかと思ったが・・・痛っぅ・・あ、足が前に出ない・・お、折れてやがる・・・くそっ・・どうする・・撤退して出直すか・・いや・・・人間ごときに背を向けて逃げ帰ったとなれば・・・僕の面子は丸潰れだ・・・くそっ!!)


マグリアルは激痛と込み上げる気分の悪さに頬を引き攣らせると覚悟を決める。


「・・・き、貴様等・・我慢比べとか・・言ってたな・・・さあ・・・これでも我慢出来るか?・・・ふん!」


マグリアルは右の掌の上に魔力を集中すると直径50cm程の漆黒の魔力弾を浮かせた。


(・・・ちっ・・我ながら情けない大きさだ・・・だが・・人間ごとき・・これで充分だ・・・)


マグリアルは目の前の老害を威嚇するように魔力弾を見せた。しかし目の前の老害からは予想外の言葉が返って来る・・・


「ふん!!さっきより随分小さいじゃねぇーか!!それが限界か?!魔人と言っても大した事ねぇーな!!」


(ありぁ・・ヤバイな・・・だが・・ここで止めねぇと男じゃねぇぜ!!)


「ゴルド・・言ってやるな・・・奴にとってはアレが精一杯なんだ。ゼノア君の一撃でそれ程のダメージを受けたんだ・・・たかが人間の一撃でな・・・」


(・・・凄まじい魔力だ・・・だが覚悟は決まっている!)


「はんっ!魔人と言っても一番弱いんじゃないの?そんな物余裕で耐えて反撃してあげるわ!!」


(・・・ふん。駄目かもね・・・でも、柄にもないけど・・・死んでも護ってみせるわ!)


三人に恐怖は無かった。只々、ゼノアを護る事しか頭になかった。見れば三人の口元には笑みすら浮かべていた・・・


「・・・うぐぅぅ・・く、口の減らない年寄り共め・・良いだろう・・・耐えれるものなら耐えて見ろぉぉぉ!!」


魔人マグリアルは激痛を堪えて漆黒の魔力弾を全力で放った!!それと同時にゴルド達が防御体制を取る!!!


「うぉりぁぁぁ!!!闘気解放!!!」

「受けて立つ!!!多段氷壁!!!!」

「私の生き様見せてあげるわ!!!アースウォール!!!連弾!!!」


マグリアルの放った魔弾に対抗する為に氷と岩の壁が幾重にも現れる!しかし漆黒の魔弾は氷と岩の壁をあっさりと粉砕しながらゴルド達に向かって来る!!


どがががががががががが!!!!


「ちぃ!!来るぞ!!構えろ!!!」

「あぁ!!」

「分かってるわ!!」


ガベルとユフィリアはゴルドと肩を並べて並び剣と杖を構える!!


(だ、駄目だ・・・あんなの受けたら皆んな死んじゃう!!・・・ぼ、僕が何とかしなきゃ!・・神様お願い!!ぼ、僕の身体!!う、動けぇぇぇ!!うぎぐぐぐぐぐぅぅ・・う、動けぇぇぇぇぇぇ!!!)


ゼノアには漆黒の魔弾が氷と岩を撒き散らすようにゴルド達の命を削りながら向かって来るように見えた。そして動かない身体に鞭を入れながら必死にもがく!しかし漆黒の魔弾は氷と岩の壁を全て破壊しゴルドの大剣に到達する!


ごぉぉぉぉん!!!


「ぬぐぐぐぐぐっ・・・・な、何のこれしきぃぃぃぃぃ!!!」


「止まれぇぇぇぇぇっ!!!」


「くぅぅ・・・ざけんじゃないわよぉぉぉぉ!!!」


ゴルドの大剣を支える腕は青筋が幾つも浮かび肩を震わせ歯が折れんばかりに食い縛る!そしてその両脇でガベルとユフィリアが闘気と魔力で必死に漆黒の魔弾を包み込む!!


「な、何だとぉぉぉ!!!人間ごときが僕の魔弾を受け止めただと?!・・・くっ・・屈辱だ・・・屈辱だ・・・屈辱だぁぁぁぁぁぁ!!!くそぉぉぉ!!!もうどうにでもなれぇぇぇぇ!!!」


ずおぉぉぉぉ!!


マグリアルは激昂し保険に残しておいた魔力を漆黒の魔弾に込める!するとゴルド達が必死で押さえ込んでいる魔弾が徐々に巨大化して行く!!


「・・ふん・・この僕が人間ごときに苦戦など・・・あってはならない!!そんな噂が立つ前に街ごと全てを消してやる!!!全て無かったことにしてやる!!!全部消えろぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


(だ、駄目だ・・・このままじゃ・・・)


「ぐぐっ・・こんちくしょうがぁぁぁ!!あ、後出しかよぉぉぉぉぉ!!!」


「うぐぐ・・・こ、これは・・・まずい・・も、もう・・・ぐぐっ・・」


「・・・ふ、ふざけんじゃないわよぉぉぉぉぉぉ!!!」


ゴルド達は目の前で巨大化していく漆黒の魔弾にじわじわと押されていく・・・


(・・い、嫌だ!!またこんな・・こんな死に方・・・目の前で大事な人が死ぬのを見ながら死ぬなんて・・絶対嫌だぁぁぁぁ!!)


薄れいく意識を必死に保ちゼノアはゴルド達を飲み込もうとする漆黒の塊を横目で見ながら全身を震わせながら必死で身体を起こす!!!


そして巨大化した漆黒の魔弾の威力に耐えきれず遂にゴルドの大剣が砕ける・・・


ばきぃぃぃぃぃん!!


「・・ぐっ・・こ、これまでか・・・」

「・・皆・・すまない・・・」

「・・お、覚えておきなさいよ・・次は必ず・・・勝つ・・」


ゴルドの大剣が砕け散ると迫り来る巨大な漆黒の塊の中にゴルド達の姿が消えて行った・・・そしてそのまま巨大な漆黒の塊がゼノアに迫る!!


「・・ゴ、ゴルドさんっ!!!!うぐぐぅぅ・・動けぇぇぇぇ!!ぼ、僕の身体ぁぁぁ!!絶対・・・絶対諦めないぞぉぉぉ!!ぼ、僕が・・・僕が・・み、皆んなを・・・皆んなを護るんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


ずおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!


迫り来る漆黒の塊がゼノアを飲み込むその刹那!ゼノアの胸の中心から蒼白い光が立ち昇り爆発的に広がる!その蒼白い光に巨大な漆黒魔弾が触れると一瞬で光の粒になり空に舞う。そして漆黒の魔弾が消えた後にはゴルド達が無傷で横たわっていた・・・


「な、何ぃぃぃぃ?!な、何だ・・あの嫌な光は・・・な、何が起こっている・・」


マグリアルは広がる蒼白い光に触れると力が抜け膝を付き動けなくなる。


「くっ・・・こ、これは・・け、結界か・・ま、まずい・・・」



「ううっ・・い、生きてるのか・・な、何が起こった・・」


「あぁ・・こ、この光は・・な、懐かしい気が・・


「・・ふん・・・なんて事よ・・また・・・助けられた見たいね・・・」



(ゴ、ゴルドさん達が・・・無事だった・・よ、良かった・・・)


ゼノアは無事に起き上がるゴルド達を見て意識を手放した・・・


ゴルド達は目を覚まし自分の身体を確認する。ユフィリアは自分の不甲斐なさを恥じるように蒼白い光を放ち横たわるゼノアを見つめていた・・・

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