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第20話 奮起

ゴブリンキングが怯えるシーラの前にを涎を垂らし舌舐めずりをしながら立ちはだかる。


「シーラさん!!逃げてぇぇ!!!」


「えっ・・・あっ・・・」


ゼノアの声は聞こえているが恐怖のあまり声も出せずに震えながら立ち尽くすシーラをゴブリンキングが手を伸ばし鷲掴みにする!


「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


悍ましい魔物に鷲掴みにされシーラの心の声が叫びに変わる!!平穏な日々を暮らしていたシーラには耐え難い状況であった・・・


「シーラさんを放せぇぇぇぇ!!!」


激昂したゼノアが走り出そうとするが動き出したオーガジェネラルがゼノアを鷲掴みにして力を込める!!


「あぐっ!!しまったっ!!」


みしっ・・みしっ・・・


「ぐっ!!は、放せ!!シーラさんが!!ど、どうしたら・・・あっ・・・」


もがくゼノアの脳裏にゴルドの言葉が蘇る・・・・


『いいか?前衛職の必須のスキルは〈闘気〉だ!これがあれば自分の力を爆発的に上げる事が出来る上に魔法すら弾く事も出来る!更に武器に纏わせれば威力も切れ味も上がる!だから前衛職は〈闘気〉を取得する為に日々精進するんだ!・・・まっ・・流石にゼノアには早いがな・・・わっはっはっは・・・』


(そ、そうだ・・〈闘気〉・・ゴルドさんに教しえてもらおうと思ったけど・・・そんな事言ってられない!ステータス!!)


ゼノアはステータスを確認する!取得可能なスキルに〈闘気〉があるのは知っていた。だが教えてもらいスキルポイントの節約がしたくて今まで取得するのを待っていたのだ。


ゼノア

Lv 5

称号 スキル神官

力   1017

体力  806

素早さ 438

魔力  178


スキルポイント 1268


【固有スキル】〈神級スキル〉〈育成の種5〉〈寒耐性10〉〈苦痛耐性12〉〈状態異常耐性15〉〈運搬13〉〈料理9〉〈解体8〉〈腕力強化12〉〈体力強化11〉〈脚力強化12〉〈物理防御14〉〈鑑定12〉〈格闘12〉〈剣術12〉


(スキルポイント1268・・・もっと貯めたかったけど・・・仕方ない!!)


〈スキルポイント800〉

闘気 1 魔力操作1 鑑定 1・・・


ゼノアがスキル〈闘気1〉に触れると文字が赤く変わり女性の声が頭に響く・・・


『〈闘気1〉を取得しますか?』


(えっ?!こ、この声・・・アルフェリア様?!と、取り敢えず・・・はい!!)


『〈闘気1〉取得成功しました。』


ゼノアはアルフェリアの声に驚きながらもステータスを確認するとスキル欄に〈闘気1〉があった。


(よ、よし・・来た!!試してみるか!!)


「闘気解放!!」


ずおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!


闘気を解放したゼノアの身体から赤いオーラが立ち昇る!そして今まで締め付けられていたオークジェネラルの握撃を押し返す!


「す、凄い・・・これが闘気・・力が湧いてくる・・・これなら行ける!!」


ゼノアが握撃を振り解こうと下っ腹に力を込める!!


「うぐぐぐ・・・」


「ぶ、ふもっ?!」


「ぅぅぅ・・うりぁぁぁぁぁぁぁ!!」


ずばぁぁぁぁぁん!!!


ゼノアがオークジェネラルの握撃を跳ね除け両手両脚を広げる!!その勢いでオークジェネラルの指が千切れ飛んだ!!


「ぶぼぉぉぉぉぉぉぉぁ!!!!」


ゼノアは膝を付いたまま激痛に悶えるオークジェネラルの前に立ち怒りを込めるように身体を極限まで捻り力を溜め突進する!!


「ここからぁぁぁぁ・・・出て行けぇぇぇぇぇ!!」


オークジェネラルが最後に見た光景はゼノアの強化された赤いオーラを放つ足が風圧と共に目の前に迫る光景であった・・・


どぐしゃぁぁぁぁぁぁ!!!


びたぁん・・・


ゼノアの蹴りは振り切られオークジェネラルの顎から上が吹き飛び壁に張り付いた・・・


厨房から覗いていたジーン達があんぐり口を開けていた・・・


「・・ど、どうなってるんだい・・・ゼノアちゃんは?!一体何が起きてるんだい・・」


「あ、あれは闘気だ!前衛職が目指すスキルだ!で、でもあの歳で・・・俺も訳が分からん・・・」


「そ、そんな事は後でいいさ!あ、あの子があいつらを倒してくれるなら何でもいいさ!!」


皆が頷き厨房から再び覗くのであった。



「い、いやぁぁぁ!!!!やめてぇぇぇ!!放してぇぇぇ!」


「はっ!!シーラさん!・・・なっ?!」


ゼノアがシーラの声に振り向くとゴブリンキングがシーラを舐め回し胸元に極太の指を入れこね回していた・・・


ビキッ!!!


ゴブリンキングに弄ばれているシーラを見てゼノアのこめかみに青筋が浮かぶ!!


「このぉぉぉぉぉぉ!!!!放せぇぇぇぇ!!シーラさんのおっぱいは僕のものだぁぁぁぁぁぁ!!!」


「「「「「えっ?」」」」


ジーン達が耳を疑いキョトンとする。


「えっ?!い、今・・・な、なんて・・・」


「ゼノアちゃん・・・心の声が・・だだ漏れよ・・・」


「男の子だねぇ・・・私も昔は・・のう・・じいさんや・・」


「・・・・」(寝たふり)



ゼノアがゴブリンキングに走り寄る!!しかしこのまま攻撃して吹き飛ばせばシーラも怪我をする事になるかもしれない。どうするか思案しているとゼノアの目にある物が映る・・・それは興奮しゴブリンキングの下半身から反り上がりいきり勃つ・・ナニであった・・・


「くっ!この変態ゴブリン!!!そんな物こうしてやるぅぅぅぅぅ!!!」


ゼノアは渾身の力を込めてゴブリンキングのいきり勃つ物に赤くオーラを放つ手刀を叩き込んだ!!


ずっぱぁぁぁぁん!!!


ぼとんっ・・・


手刀を振り切った後に遅れてゴブリンキングのナニが床に転がった・・・股間に違和感を感じたのかゴブリンキングが床に落ちた自分のナニをマジマジと見る・・・


「うぎゃ?・・・うぎょ・・?!うぎょ?!うぎゃぎゃぎゃぎょぎゃぁぁぁぁぁ!!!!」


ゴブリンキングは股間を激痛に襲われ力が緩みシーラを放した。それを間一髪ゼノアが受け止める!のたうち廻るゴブリンキングを見ながら厨房の男達が股間を押さえ内股になっていた・・


「・・おっふ・・あ、あれはちょっと・・」


「お、おう・・ちょ、ちょっとだけ同情するよな・・・」


背筋から股間にかけて寒気が走る男達であった。



ゼノアは受け止めたシーラのはだけた胸元に釘付けになっていた。


(おっふぅ・・・このギリギリがまた・・)


「こら!そんなに見ないの!ゼノアちゃんのえっち!」


「あっ・・・」


シーラがほっぺを膨らませて胸元を隠すとゼノアは咄嗟に明後日の方向を向く。


「と、とにかく、ぶ、無事で良かった・・・ね・・・」


シーラを下ろして立たせると誤魔化すようにのたうち廻るゴブリンキングを見る。そして気持ちを切り替えこれから自分がすべき事を決めた。


「シーラさん。僕は大丈夫だから皆んなと隠れてて!僕はゴルドさん達の所へ行って来るよ!」


「・・・で、でも・・・いいえ!・・うん。ゴルドさん達を助けてあげて!ゼノアちゃんも気を付けてね!」


シーラは喉元まで”危険だから駄目よ“と出かけたがゼノアの横顔を見てそれを飲み込んだ。ゼノアの実力はたった今目の当たりにしてしまった。その上でゴルド達の事を心配するゼノアの気持ちを汲んだのだった。


「うん!行って来るね!」


ゼノアはシーラの笑顔ににっこり笑い振り返る。そしていつの間にか立ち上がり殺気を振り撒きながら脚を震わせているゴブリンキングを見据える。


「・・ぐっ・・ぐぎゃ・・ぐぎゃぎゃ・・」


「・・お前・・・邪魔だよ・・・」


ゼノアは更に闘気を立ち昇らせゴブリンキングを威嚇するように睨み付ける!するとその迫力にゴブリンキングの野生の勘が警鐘ならしゆっくりと後ずさっていく・・


「ぐぎゃ・・・ぎゃ・・ぎゃ・・」


しかしゴブリンキングが後ずさった分だけゼノアが間合いを詰める。段々とその速さが早くなり遂にはゴブリンキングが背を向けて逃げだした!!


「ぐきゃーーーぎゃぎゃっ!!!!!」


だだっ!!ごつっ!!ずだぁぁん!!だだっっ!!


ゴブリンキングは慌てふためき躓きころげながら外へ出ると後ろも振り返らずに一目散に逃げて行った。しかしゼノアは〈港食堂〉からゴブリンキングを追い出すとそれ以上追う事はなかった。自分がやった事とは言え男としてこれからの生活を考え少し同情してしまったのだった。


(まぁ・・・自業自得だからね・・・頑張って・・・ね・・)



どぉぉぉぉぉん!!!


「えっ?!あの音は?!」


突然広場の方から爆音が響きゼノアは振り向く。真っ先にゴルドの顔が頭に浮かび胸騒ぎを覚える。


(ゴルドさん・・・)


ゼノアは闘気を纏い広場へと向う。流れる景色の中で冒険者達が魔物と奮闘している光景を横目に映る。ゴルド達が弱い魔物を冒険者達に任せて自分達が最前線で激戦を繰り広げているのだと想像し更に力を込めて走るのだった。




(よし!!着いた!!ゴルドさんは・・・)


ゼノアは広場に滑り込み辺りを見回す。広場には数十体の魔物が転がり戦闘の激しさが伺えた。そして一際大きな魔物と対峙し側から見ても劣勢なゴルド達をゼノアの視界が捉えた!!ゼノアの目に映ったのは対峙する魔物が禍々しい赤黒い球をゴルド達に向けて放った瞬間であった。


(あぁっっ!!!ゴルドさん!!危ない!!!)


ゼノアは咄嗟に闘気を纏い拳を振り上げながら大地を蹴る!!


(闘気は魔法も弾くはず!!間に合えぇぇぇぇ!!!)


デリブリアが放った赤黒い球がゴルド達の張った氷の壁に触れる瞬間!飛び出したゼノアの闘気を纏った拳が赤黒い球に触れた・・・


じゅばぁぁぁぁ・・・


「あぐっぅぅぅ!!」


デリブリアが放った赤黒い球はゼノアの闘気を突き破りゼノアの右拳を焦す!しかしゼノアは熱さと激痛に耐えて構わず拳を振り抜いた!


「ぐうっ・・・うりぁぁぁぁぁぁ!!!」


ずどぉぉぉぉぉぉん!!!


赤黒い球は辛うじてゴルド達から軌道をそれで数メートル先に着弾し爆発して砂埃を巻き上げた。


(よ、よし!・・・ま、間に合った・・・後はこいつを倒せば・・・)


ゼノアの右手は焼け焦げ炭化している所もあった。ゼノアは痛みを堪えつつ目の前に立ちデリブリアを見据えた。


「ゼ、ゼノア!!何故ここへ来た?!そ、それにその手・・・」


大剣を杖代わりにして立ち尽くすゴルドが声を上げる。ゼノアはデリブリアから目を離さずに拳を握る。


「こ、こんなのへっちゃらだよ!それに僕だって戦える!!僕は逃げないよ!!この力でみんなを護るって決めたんだ!!」


ゼノアの決意と迫力がゴルド、ガベル、ユフィリアの芯に響く。


「ゼ、ゼノア・・・お前って奴は・・・ふっ・・頑固な奴だ・・・」


「ふっ・・ゴルド・・それをお前が言うのか?」


「あーあ。ゴルドの性格が写っちゃったみたいね。・・・ふん!それじゃあ・・第二ラウンド開始と行くわよ!!」


「おう!」

「あぁ!!」


ゴルド達もゼノアに突き動かされ体力を振り絞り立ち上がり構えるのであった。

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