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第19話 激戦

破壊された外壁の割れ目から勢いよく魔物が溢れてくる!!そして対スタンピード用に作られた広場に魔物達が次々と入って来る!この広場はスタンピードの時に町中では撃てない魔法や魔撃砲で狙い撃てるように作られていた。


ゴルドは外壁の上を見上げると既に男達が四箇所に造られた魔撃砲の準備を完了し親指を立てていつでも来いと合図を送っていた。


(ふん!野郎共・・・練習通りだな!さあ!やってやるぜ!!)


そしてゴルドは男達に手を振り上げ魔物に向かって振り下ろした!


「撃てぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


それを合図に男達の士気が最高潮になり一斉に魔撃の引金を引く!!


「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!喰らいやがれぇぇ!!


ずどぉぉぉん!!ずどぉぉぉん!

ずどぉぉぉん!!ずどぉぉぉん!


魔撃砲は町中での砲弾は避け鋼の矢に変えられていた。魔撃砲から放たれた矢は魔物達に注がれ凶暴化した魔物達を貫いて行く!!


「よし!いいぞ!俺達も行くぞ!油断するなよ!!この広場で殲滅するぞ!!」


「うむ!」


「当然よ!私に考えがあるわ!!見てなさい!!〈アイスストーム〉!!!」


ユフィリアの魔法が外壁の割れ目から溢れて来る魔物達を巻き上げ氷漬けにしていく!そして外壁の割れ目を塞ぐように氷柱が出来上がった!


「ふん!これでどう?」


「流石ユフィリアだ!これで・・・・」


バリィィィィン!!


外壁割れ目を塞いで喜んだ束の間、突然氷柱が水蒸気と共に砕け散る!


「な、何?!どうして?!」


水蒸気が晴れると赤黒い火の玉を片手に浮かべた褐色の雄牛デリブリアが魔物と共に悠然と町へと入って来た。


(・・なんて事・・・私の魔法が・・・メルミラ・・・あんたが居てくれたら・・)


ユフィリアは一瞬で自分の魔法が打ち破られ苦虫を噛み潰したよう表情で立ち尽くす。


「ユフィリア!落ち込んでる暇は無いぞ!アレはミノタウロスだ!それも様子が変だ!!切り替えろ!」


「ふ、ふん!分かってるわよ!!」


ユフィリアは無理矢理悔しさを押し殺し冒険者達に振り向く!


「ここは危険よ!あなた達はギルドに行って皆と協力して皆を護るのよ!!早く行きなさい!!」


ユフィリアはそう言い放つと攻撃体制をとり構える!


冒険者達はゴルド達三人の背中に言い表せない程の覚悟を感じた。


「・・・分かりました!だけど・・みなさんも気を付けてください!」


ユフィリアが肩越しにふっと笑う。


「・・ふん!あんた達が私達を心配するなんて50年早いわ!!さっさと行きなさい!」


「は、はい!」


冒険者達は頷き合い覚悟を決めて走り出すのだった。



ゴルド達が身構えると外壁の割れ目から大きな影が勢いよく飛び出すのが見えた。


「何か来るぞ!!気を付けろ!!」


ゴルド達が飛び出した影を目で追うと日の光と影が重なる。そして茶色い大きな影が目の前に着地した。


どぉぉん・・・


「ぐろぉぉぉぉぉぉぉん!!!!」 

「ぐるるるるぅぅぅ・・・」


ゴルド達に立ちはだかったのは巨大な二足歩行の狼であった・・・真っ赤な目をギラつかせて牙を剥き涎を垂れ流して威嚇する。そして十数匹の二足歩行の狼達がゴルド達を取り囲んだ。


「ちっ・・コボルトキングか・・・厄介だな・・・ガベル・・雑魚を頼む。ユフィリア!援護を頼むぞ!」


「うむ。さっさと片付けて町を護るぞ!!」


「任せなさい!こんな奴等に遅れなんてとらないわ!!」


「いくぜぇぇぇ!!先手必勝!!!ふんはぁぁ!!」


ゴルドは大地を蹴り踏み込むと大剣を逆袈裟に切り上げる!!


「うおりぁぁぁぁ!!!」


しかしコボルトキングもそれに素早く反応し巨大な爪を上段から振り下ろす!!


「ぐろぉぉぉ!!」


がぎぃぃぃぃん・・・


耳を劈く金属音が辺りに響き渡る!


(ちぃ・・・受け止めやがった・・我ながら情けない一撃だぜ・・・くっ・・メルミラ・・・ここにお前が居てくれたら・・・)



「ふっ・・昔を思い出す。お前ら雑魚共に構っている暇は無い!!喰らえ!氷剣技〈氷棘〉!」


「ギャギャッ!!ギャイン!!!」


ガベルが流れるように愛剣の〈氷剣〉を地面に突き立てると襲い掛かろうとしたコボルト数体が氷の棘に貫かれ断末魔を上げる!


(・・・ふっ・・私も老いたか・・・メルミラが居た頃ならこの程度の数なら一撃で串刺しに出来たのだがな・・・)



しかしゴルド達がコボルトキングを相手にしている間にも魔物達が外壁の割れ目からゲイブルの町の中へと入って来る!それを横目で見ながらゴルド達も焦りを覚える。


(クソッ!あれはオークジェネラルとゴブリンキングか!!何故だ?!魔撃砲の鋼の矢を物ともしてねぇ・・・あんなのを町の中に入れる訳には・・・それにあのデカブツ・・・ちぃ!!)


「クソッタレめぇぇぇ!!とっととお前は犬小屋に帰りやがれぇぇぇ!!!」


ゴルドが目のコボルトキングに力任せに大剣を振りかぶり上段から振り下ろす!!するとコボルトキングは素早く反応し後ろに飛び退く!


「ちぃ!!ちょこまかと!!喰らいやがれ!」


ガギィィィン!!

ギギィィン!!

ガキィィン!!


ゴルドは連撃を繰り出すがコボルトキングの剛腕から繰り出される大爪に阻まれる!そして焦りのあまり大振りになり身体が流れた!


「くっ!!しまった!」


コボルトキングはその隙を見逃さず大きく踏み込み大きく鋭い大爪を横凪に振り切る!!


「ぐるあぁぁ!!!」


(ちいっ!やらかした!間に合わねぇ・・・)


凶悪な大爪がスローモーションのように迫って来る!ゴルドはダメージを覚悟して歯を食いしばった!


「ロックニードル!!」


「グギャルッ!!」


ユフィリアの声と共にコボルトキングの身体に無数の鋭い岩の塊が突き刺る!そしてバランスを崩したコボルトキングの大きな爪がゴルドの目の前を通過して行った!


「ふはっ!!た、助かったぜ!ユフィリア!」


ゴルドはチラリとユフィリアを見る。


「よそ見をしない!!さっさと倒すわよ!!」


「お、おう!!」


ゴルドは軽く頷くユフィリアを見て目を細めて頷き返した。それはS級冒険者パーティー〈鋼の意志〉時代の作戦を伝える合図である。


(なるほどな・・・そのまま攻めろ・・か!頼りにしてるぜ!!)


ゴルドはふらつくコボルトキングの懐に踏み青い闘気を纏わせた大剣を逆袈裟に切り上げる!その勢いにコボルトキングが体制を立て直すように後ろに飛び退く・・・がしかしそこにあるはずのない固い何かに背中を打ち付ける!!


どぉん!!


「ごるぅっ!?」


「ふん!気付かなかったの?所詮頭の悪い獣ね!お前の動きは見切ったわ!!」


コボルトキングの背後にはユフィリアの放った岩の壁〈ストーンウォール〉があった。コボルトキングの動きを観察し退路を断つように仕掛けたのだった。


「流石だぁぁぁ!!!」


ずばぁぁぁぁぁ!!!


ゴルドがそのまま振り抜いた大剣がコボルトキングの身体を斜めに切り裂く!!


「ぎゃぐらぁぁぁぁぁ!!」


コボルトキングの胸に走った赤い筋から血飛沫が上がる!


「まだまだぁぁぁ!!」


長年の経験から上位種の生命力を知っているゴルドはトドメとばかりに返す刀で上段から切落とす!!


ずどばぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


コボルトキングはなす術なくゴルドの一撃を受け入れる!振り下ろされた大剣が首元から左脇腹へ抜けた・・そしてコボルトキングの首から肩にかけてゆっくりとずり落ちた・・・


どさっ・・・


「・・・ふぅ、ふぅ、ふぅぅぅ・・闘気なんざ久々使ったぜ・・俺も歳を取ったもんだな・・・情けないぜ・・・」


「あぁ・・・私も実感してるさ。だが今はそんな事を言っている場合じゃ無い!!」


「そうね・・・歳の事はさて置きこの町を守る事が先決よ!町の中に入った上位種を追うわよ!!」


ゴルド達が息を整えて走り出そうとしたその時!赤黒い球体が横目に迫り咄嗟に横っ飛びで避ける!


「やべぇぇ!!」


どぉぉぉぉぉん!!!


「ぐはぁぁぁ!!」

「ぐふぅぅぅ!!」

「あぐっぅぅ!!」


ずざざぁぁぁぁ!!!


辛うじて直撃をま逃れたが衝撃波だけでゴルド達は吹き飛び石畳に転がった・・・


「はぁ、はぁ、はぁ・・・な、何だ・・この威力は・・・」


「むう・・か、身体が動かん・・・」


「こ、この魔力は・・まさか・・魔族の上位種・・・悪魔族・・?!・・何故こんな所に・・・」


身体を少し動かすだけであちこちが軋みどこが痛むのか分からない程全身に激痛が走る。ゆっくりと痛みを堪えて身体を起こすと巨大な黒紫のオーラを立ち昇らせゴルド達を品定めをするように佇むデリブリアの姿があった。


「く、くそっ!・・ちぃ・・こりぁ・・ピンチってやつか・・」


「あぐっ・・そ、そうだな・・・だが立つしかない・・」


「くっ・・そ、そうよ・・・足掻いてやるわ・・こいつさえ倒せば後は雑魚よ。」


ゴルド達がよろよろと立ち上がる。しかし三人共に満身創痍であった。身体を動かす所全てに激痛が走る。何とか立ち上がり構えるのが精一杯であった・・・


(・・・くそっ・・身体に力が入らねぇ・・)


(・・・あ、足をやられたか・・・まさかたった一撃でここまでのダメージを受けるとは・・・)


(・・痛っ・・くっ・・い、痛みで集中が出来ない・・・どうする・・)


ふらつく三人の姿を見てデリブリアがフッと笑ったように見えた・・・そして立てた人差し指の先に赤黒い球体を浮かべる。


「ちっ・・ありぁ・・まずいな・・・」


ずんっ!!


ゴルドは重い身体を引きずり前に出ると大剣を石畳に付き立て闘気を纏わせ防御体制をとった。もう既に大剣を振り回す事も出来ない程のダメージを負い自分が今何が出来るかと考え身体が動いたのだった。


「ふっ・・これに耐えたら反撃だな・・・〈氷壁〉!!」


「ゴルド・・後は頼んだわよ・・・〈アイスウォール〉!!」


ガベルとユフィリアがゴルドの前に氷の壁を作る。しかしゴルド達は分かっていた。次の一撃は耐える事は出来ないと。だがS級冒険者としての誇りが逃げる事を拒否し倒れている事を拒絶したのだった。


「さあ・・・来やがれ!このブル野郎!!それに耐えたら覚悟しておけよぉぉぉ!!」


ゴルドの気迫をさらりと受け流しデリブリアの人差指がゴルド達に向くと赤黒い球体が勢いよく飛ばされる!ゴルド達は歯を食い縛り大地を踏み締めた。


しかし覚悟を決めたその時!ゴルド達の目の前に叫び声と共に何かが飛び出し赤黒い球体の軌道を変え数メートル先で爆発する!!


ずどぉぉぉぉぉぉん!!!


「な、何ぃぃ?!」

「何だ?!」

「何が起きたの?!」


爆発の粉塵が晴れ訳も分からず呆然とするゴルド達の前に立っていたのは右拳を真っ黒に焦がしたゼノアの姿であった・・・

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