第14話 ゼノアのステータス
「な、何なんだこのステータスは?!身体能力が裕にCランクを越えているぞ?!そ、それに・・固有スキルが10個?!・・・それにス、スキルレベルが5を越えてる?!し、生涯をかけても到達出来ないレベルを・・・で、でも称号が無い?!・・・んっ?!ちょっ・ちょっと待て!!固有スキルに〈鑑定〉だと?!でもさっきの話では・・・な、なるほど・・セルジュの言う事が理解できたぞ・・確かにこれは・・・理解に苦しむ・・・」
(こ、これがゼノアちゃんのステータス・・・す、凄い・・・)
(な、何?!こ、この固有スキルの数は・・・それにスキルレベルは5が最高のはず・・それなのに・・何故?!」
シーラとアメリもゼノアのステータスに釘付けになっていた。しかし当のゼノアは皆の反応を他所に固有スキルを見ながらニヤリと笑う。
(・・・やっぱり思った通り〈鑑定〉を覚えたぞ!)
セルジュがゼノアに〈鑑定〉を使った事により経験したと判定されたのだ。
セルジュは自分のステータスを見上げるゼノアの口元が緩むのに違和感を覚えた。
(・・・もしや・・ゼノア君・・君は・・)
(さてと・・今の僕のステータスはどの程度なんだろう・・・領主様はCランクって言ってたけど・・・)
「あ、あの・・・領主様。僕のステータスはそんなに難しいのですか?」
セルバン子爵はゼノアの声で我に返ると呼吸を忘れていたかのように息を大きく吐き出す・・・
「ふうぅぅぅぅ・・・ゼノア君。はっきり言って君のステータスは3歳のレベル1のステータスではあり得ないんだよ・・・パラメーターだけならBランクの冒険者に近いんだ・・・・一体君は何者なんだ?」
セルバン子爵が目を細め目力を込めてゼノアの顔を覗き込んだ。
(・・・やっぱりこうなるよね・・・でも本当の事を言えば面倒な事になりそうだし・・どうしたらいいんだ・・・)
ゼノアは考えが纏まらず無意識に言葉が漏れていた。
「・・・あ、あの・・ぼ、僕は・・これからどうなるんですか?」
セルバン子爵は目の前の不安そうに上目遣いを向けるゼノアにハッと我に返る。
(むっ・・むう・・し、しまった・・つい興味に駆られてしまった・・・この子はまだ3歳だったな・・・)
するとシーラも不安に駆られてゼノアを抱き寄せる・・・
「領主様!ゼノア君はまだ3歳なんです!自分が何者なのかなんて分かるはずがないんです!」
「お父様!シーラさんの言う通りよ!確かにステータスは規格外だけどゼノア君はまだ3歳の子供なのよ?!」
アメリが立ち上がり声を上げる。するとセルバン子爵が目力を解いて表情を緩めるとソファの背もたれに身体を預ける。
ばふっ・・・
「ふうぅぅ・・・ゼノア君。すまなかったな・・・つい興味に駆られしまった。許してくれ。私が君に何かする事はない。いつも通り過ごして構わない。ただ・・たまには遊びに来てくれないか?」
(ふ、2人共ありがとうーー!!なんとか無事に帰れそうだよ!!)
「は、はい。分かりました!」
安心したゼノアの顔に笑顔が戻る。
「そ、それでは今日はこれで失礼致します。」
ゼノアが胸を撫で下ろしているとシーラが今だと言わんばかりに立ち上がり深々と一礼する。
「あぁ。また会えるのを楽しみにしているぞ。」
セルバン子爵が笑顔を作るがゼノアの目には目が笑っておらず不適な笑いに見えるのだった。
(・・・領主様の笑顔がなんか怖いよ・・・なるべくここへ来るのは避けよう・・・)
「じゃあ私が送って行くわ!ほら!早く!」
「うあっ!!ちょっ・・・」
アメリは素早くゼノアの手を取ると引き摺るように部屋をでていった。
出遅れて残されたシーラにセルバン子爵が優しく話しかける。
「ふう。シーラ。ゼノア君はこれから面倒事に巻き込まれて行くだろう・・・ゼノア君の事くれぐれも頼むぞ。」
「はい。もちろんです。それでは失礼致します。」
「あっ。シーラさん。これをお待ちください。」
セルジュがシーラを優しく呼び止めてお菓子の入った箱を差し出した。
「あっ!忘れていました。ありがとうございます。」
お菓子の箱を受け取り深々と頭を下げて部屋を出て行くシーラをセルバン子爵とセルジュが見送った。
「はあぁぁ・・・セルジュ。お前はゼノア君をどう見た?」
セルバン子爵は執事であるセルジュの知識と経験から来る洞察力を買っていた。何かと大切な行事を行う時など助言を求める程であっる。
セルジュは顎に手を添えて一考すると考えを纏め一礼する。
「旦那様。全てではありませんが私の見解をお話し致します。」
「あぁ。頼む。」
「はい。まず最初にゼノア君の称号が無い事ですが、おそらく無いのではなく見れないと言った方が正解だと思われます。」
「見れない?!何故だ?」
「はい。〈鑑定〉でも鑑定レベルによって称号やスキルのランクが高ければ見る事が出来ないのです。ご存知の通り称号とスキルのランクは下級、中級、上級、特級と一般的には言われていますが更にその上があるのです。それが・・・帝級と言われるものです。」
「あぁ・・私も聞いた事がある・・この世界で帝級スキルを持った一握りの規格外な者が居ると。そ、それじゃあゼノア君は帝級スキルを持っていると言うのか?!」
セルバン子爵が目を輝かせてセルジュを見上げるがセルジュはゆっくり首を横に振る。
「いいえ。それは違います。私の鑑定レベルは4です。鑑定レベル4であれば帝級の称号やスキルを見る事が出来るのです。」
セルバン子爵はセルジュの言いたい事が段々と分かってくる。
「そ、それでは・・まさか・・ゼノア君は帝級以上の称号とスキルを持っていると言うのか?」
「はい。そう考えると辻褄が合うのです。そしてその称号とスキルの効果はおそらくですが・・・育成スキルか学習スキル・・・もしくは両方と思われます・・・そして遥か古代に存在したと言われる帝級の更に上のランク・・・幻想級と思われます。」
「げ、幻想級?!そんなランクが・・・な、なるほど・・受けたスキル、経験したスキルを学習して習得するスキルか・・・〈鑑定〉はセルジュから学習したと言う事か・・・それが本当なら・・規格外過ぎるぞ・・・」
「それと・・もう一つ大切な事があります。」
セルジュが息を整えて目を細める。
「ま、まだあるのか?!」
「はい。おそらくですが・・・ゼノア君は自分のステータスを知っていると思われます。もちろん称号とスキルの効果も使い方もです。」
「な、何だと?!そ、それではわざと〈鑑定〉させて学習したと言うのか?!」
「はい。その可能性が大きいのです。あのステータスを他人に見せるのはリスクがあります。しかしゼノア君は私達を信用して私の鑑定を取得する事を選択したのです。私がステータスをオープンした時、ゼノア君は驚く事もなく細く微笑んでいました。あれは〈鑑定〉スキルを習得した事を喜んでいたのだと思われます。」
「な、何という事だ・・・それでは本当に中身は3歳ではないと言う事か・・・」
セルジュは何とも言えない表情で頷く。
「ですが・・・悪意は感じられませんでした。旦那様やお嬢様を助けたのは真意からだと思います。ですから今は見守るのがよろしいかと。あまり刺激しても良い事が無いように思えます。私も〈鑑定〉レベルを上げてゼノア君のステータスを見れるように精進いたします。」
セルジュが深々と一礼するとセルバン子爵も虚空を眺め肩を落とす。
「ふう。そうだな・・・期待してるぞ。」
セルバン子爵は想いにふけながら窓から娘のアメリがゼノアを連れて庭を案内する姿を見下ろすのであった。
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