上手く行く事を祈っているよ
人数が揃っていれば、ねえ。
俺はリン達に指示を出し散開した。
「おい、デカブツ! お前の相手は俺だ!」
「GaAAAーーー!」
思っていたより速いし、パワーも有るな。
だが、こうして俺が相手をしていれば、こいつは群れに指示や指揮系スキルからのバフを掛けられない筈だ。
リン達が雑魚を処理している間に、俺は赤い巨狼の相手をしながら情報収集と分析をしていた。
スキルは従来の森狼と同じだが上位互換スキルと同等になっている。
魔法は風属性を使ってくるが、注意すれば大した事はないな。
……特殊なスキルは、追い詰めないと出しそうにないか。
そんな事を考えていると、リン達の雑魚処理が終わったみたいだ。
「ディーン様、終わりました」
「そうか。次は、あのデカブツだ!」
「「え!?」」
「ソアラ、エマ。これも経験だ」
「「分かりました!」」
俺は殺傷力は無いが、ノックバック効果のある風属性魔法を放ち距離を稼ぐと、リン達に赤い巨狼の情報を伝えた。
「分かりました。私達で倒します」
「危ない時は助太刀するが、基本的には俺は手を出さない。リン達で倒せ!」
「「「「「はい!」」」」」
俺は下がり、リン達が前に出て赤い巨狼と対峙した。
「ディーン様は、いつも通りに戦えば倒せる相手と判断しました」
「分かったわ」
「楽勝よ!」
「いっくぞー!」
「任せて」
「頑張ります」
先ずは回避盾も担当するソアラが先行し、フォロー兼アタッカーのリンが随行する。
リーナは少し横にズレるが、ちゃっかり俺に近い位置に移動している。
エマは、回復役のサレナの前に出てリン達にバフを掛け、赤い巨狼にデバフを掛ける。
サレナは、いつでも回復魔法を掛けれる様に準備しながら司令塔をこなしている。
まあ、普段の鍛練相手がセレス達のお陰が冷静に優勢のまま戦えているな。
……数分後
お、勝負が着きそうだな。
「Guuu……」
……何か有るな。
さて、リン達はどうするのかな?
「皆、気を付けて!」
リンが叫んだ瞬間、赤い巨狼の身体から流れる血が燃えだし、その熱量が自爆技みたいに熱線となって拡散した。
「エマ! サレナ!」
「熱結界!」
「領域回復魔法!」
エマの読みが当たり、火属性系の防御結界を張り、サレナがリン達の負傷を治療した。
そして……
「貴方の負けです」
リンの影が消える突進からの一刀が赤い巨狼の首と胴体を斬り離した。
「見事だ!」
「恐れ入ります、ディーン様」
「ありがとうございます、ディーン様」
「まあね」
「やったー!」
「えへへへ」
「頑張りました!」
リン、ネイ、リーナ、ソアラ、サレナ、エマが喜びながら返事を返した。
一応、周りに残党が居ないか探して、洞窟の中も調べたが特に何も無かった為、村に帰り村長に報告するとお礼がしたいと宴会に参加して欲しいと言われて、「まあ、良いか」と参加した。
ただ、どうせならと、領主代行から預かっていた救援物資と言ってストックしていた普通の食材や酒を提供した。
翌朝、村人総出で見送られながら出発した俺達は、来た道とは違う街道を移動している。
まあ、遠回りになるが問題無い。
……これがフラグなのか、運命は嬉しそうにテンプレイベントを発生させた。
「きゃあああーーー!」
またベタなテンプレだな……
現場に到着したが、本当にベタなテンプレだった。
テンプレの内容は、綺麗で立派な馬車を襲っている盗賊共が居て、馬車の出入口近くにはオールドなメイド服を着た女性に、足下には胸に赤い水の染みを付けた渋い男性と、数の暴力に負けそうな騎士達が居た。
そして、助けると渋い男性と美少女な令嬢からお礼を言われたけど、所作や醸し出す雰囲気が自己紹介の時に言った伯爵以上なんだよな。
……更に!
他国だった。
都市リーガルから見て南東の方向にある小国「リデシャリス」なんだが、俺(都市リーガルの領主代行)は報告とか聞いてないぞ。
それに、この小国リデシャリスには、個人的な知り合いとか居ないんだがな。
……さて、どうしようか?
「エドガー様?」
「失礼。リアシエル嬢」
彼女の名前は「リアシエル=ルギル=リクルリム」で伯爵家の次女らしい。
あ、渋い男性「リバス」は、上級ポーションで治療した。
そして、此処に居る理由がまたテンプレ的だ!
自国の危機に、インペリアル王国に助けを求めて来たのだが、丁度良い所に進行方向の途中にインペリアル王国の筆頭侯爵家の領地があった為、此処で確実に王国からの救援に「諾」を取る為に、筆頭侯爵家から協力要請を求める予定だったみたいだ。
……緊急かもしれないが、普通に手順を踏めよな!
渋い男性が来た。
「姫様」
「……」
「……」
……やっちゃったよ、渋い男性リバス。
「リアシエル嬢、本当の御名前は?」
「アリシエル=マリナ=リデシャリスです」
耳まで真っ赤にして自分の名前を弱々しく言いました。
偽名の理由は、筆頭侯爵家であると同時にリーガル家の悪名も知っていたからだった。
因みに偽名の方は、リデシャリス王族がお忍びで遊ぶ時用の名前で、暗黙の了解的な感じらしい。
……まあ、俺も「冒険者エドガー」としか言ってない。
アリシエル王女は恥ずかしさを誤魔化す為に、急ぎ足で出発する事になったが、危機になった理由とかは教えて貰えなかった。
まあ、国同士の話し合いの内容を、助けられたとはいえ冒険者が知る必要は無いしな。
2日後、都市リーガルの領主館に到着した俺達は、次の日にはスムーズにアリシエル王女達が応接室に通された。
……実は、アリシエル王女には、俺達はリーガル家とは面識があり先触れとして話を通しておくと言っているからだ。
そして、悪戯込みの指示を書いた手紙をリンに持たせて行かせた訳だ。
だから、館の中では、俺を普通の冒険者チームのリーダーのエドガーとして対応していた。
「此処までありがとうございます、エドガー様。」
「上手く行く事を祈っているよ」
が、別れる際の会話だ。
……さて、サプライズの開始だ!
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。
従来のスキルが上位互換と同等とは、普通の孫○空の界○拳と、スーパーサ○ヤ人孫○空が互角みたいな感じです。




