貴様ぁ!
もう少しスローペースが続きますが、動き始めれば……です。
連続投稿で、もう1話あります。
時間が来て行く事になったのだが、馬車の中でシェイクされる事、10分程で目的地の宰相の屋敷に到着して俺が先ず降りる。
……権力を握ったら、馬車を魔改造してやる!
そして、クリスも俺の手を取り降りる。
俺は左肘を立てると、クリスも笑顔で近付いて、クリスの右手は、俺の左腕に添えた。
「綺麗だよ、クリス。」
「ありがとうございます、ディーン様。」
こうして、俺達は仲良く一緒に行った。
因みに、色々と無駄な規則に縛られる貴族だが、当然、こうした時も、規則やマナーがある。
爵位の低い男爵位から到着するというモノだ。
だから、俺は「公爵」よりも先に到着すれば問題ない。
クリスの家は「伯爵」だから、単独なら俺より先に到着すべきだが、俺と一緒に居るから俺(侯爵)が基準になる。
何が言いたいかというと、屋敷には殆どの招待された令息令嬢が集まっている訳だが、まだ幼い顔立ちのゲームの登場人物が何人か居るな。
後に勇者パーティーに加わる恋愛ヘタレの「ファナ=マレカ=マレンハス」令嬢に、ゲームでの俺の取り巻きをしていたモブ子息達に令嬢達……あ!
騎士団長のクソ次男の馬鹿「フィリップ=ルアー=ディドン」が居やがった。
……焦るな。
現実に於いては、まだ初対面の挨拶すらしていないのだから、将来の俺の為に、きちんと「初対面」の挨拶をしないと。
そして、公爵家の子息や令嬢が到着した事で、パーティーが開催された。
同行していた親父は、貴族的な交流をすべく俺達を置いて行ったから、宰相家のメイドにドリンクを持って来させクリスに少し甘いフルーツドリンクを渡し、俺も同じドリンクで喉を潤す。
此処で同じドリンクを飲む事で心理学的なちょっとしたテクニックである「共通する思い出」をクリスと作った。
まだ幼いとはいえ、俺の最推しの笑顔は輝いている!
そんなクリスの笑顔を見て気分良くしていると、馬鹿で邪魔な屑が近付いて来た。
その馬鹿は、手に持つ葡萄系ドリンクをクリスのドレスに掛けようとしたのだ。
まあ、その先の狙いは分かっている。
別室に連れ込み、弱みを握り脅す為だろう。
しかし、この年で既に終わっている屑なんだな。
「おっと、失礼……」
先に言葉を出す大根演技に対して、俺は素早くクリスの腰に左手を回しクリスを避難させながら、右足で屑な馬鹿のドリンクを蹴り、ドリンクの中身の行き先をクリスから、屑な馬鹿に変更させた。
「うわっ!」
「失礼。『わざと』クリスのドレスを汚そうとしたから、咄嗟に反応してしまった。」
「……貴様ぁ。パパに言い付けてやる! パパは伯爵で騎士団長なんだぞ!」
「……ふっ。」
「貴様ぁ!」
屑な馬鹿フィリップは、俺の煽りを食らい、堪える事なく、俺を殴る為にテレフォンパンチの格好をした。
それを見た俺は、直ぐにクリスを庇う様に場から離す。
そして、俺はタイミングを合わせて殴られながら後ろに跳び、派手に自分からテーブルに当たる。
派手な音を出した為に、直ぐに宰相が来て、場の管理と把握に努めた。
さて、後日談では……
表向きは、入園前の子供の小さな諍いという事で収めたが、あくまでも表向きだけだ。
裏に回れば、当主が騎士団長とはいえ、たかが、その他大勢の伯爵家の次男如きが、筆頭侯爵家の子息を一方的に殴ったのだ。
しかも、悪名高きあのリーガル家、にな。
その後、不運にも、騎士団長は不幸な事故に遭い右目を喪い、屑な馬鹿は同じ事故で右目と右腕を喪い、永久に女性を抱けない身体になった。
……「屑が、ざまぁ!」だな。
騎士団長の長男は、辺境の砦に飛ばされる事になった。
それと、お袋の「ね、お願い。」で、騎士団長の夫人と1人娘は、母親の実家の領地で穏やかに隠居する事になった。
後、娘の好みの顔で、スローライフを送りたい伯爵家三男が、「偶然」にも、その領地に訪れる事になっている。
勿論、その三男の好みの女性と娘は合致している。
……全く、未だにお袋に弱い親父だ。
まあ、人の事は言えんがな。
騎士団長の長男の婚約者は、近衛騎士団の副長には次男がいて、運良く外見だけではなく、中身も優秀だと評判のそいつと再婚約する事になった。
そして、屑な馬鹿フィリップの婚約者は、何処からか手に入れたフィリップの悪行の証拠を持って婚約破棄をした。
令嬢側の家族全員が喜んだそうだ。
そして、パーティーは宰相が手腕を振るって続行したらしいが、俺はその時は大事を取って帰る事になり、クリスが付き添って一緒の馬車に乗ってくれたのは嬉しかった。
パーティーから帰ったその夜、予定通りに脳筋のサイラスをダンジョンに転移させて、アーロンと同じ目に遭わせた。
そして、用意していた魔法誓約書でダンジョンでの事等の秘密を厳守させて回復してから脳筋のサイラスを解放した。
……恋愛中の優しい婚約者に感謝するんだな、サイラス!
パーティーの翌日には、夜会での穴埋めの為に、クリスに手紙を送りデートに誘い、3日後の当日には何時もの様に迎えに行き、出発前にクリスにパーティーで迷惑を掛けた事を謝ったら、クリスは許してくれた。
その後は、クリスを連れて王都のお菓子が美味しい店を廻ってクリスと一緒に舌鼓を打った。
「ディーン様、今日はありがとうございます。とても楽しかったです。」
これなら、クリスは楽しい気持ちのまま帰ったと思う。
クリスのデートから帰ると、直接、頭の中へダンジョン・コアからの通達が流れた。
……どうやら、屋敷を中心に王城までがダンジョンの支配領域に入ったみたいだ。
つまり、貴族街も支配領域だという事だ。
俺は直ぐにクリスが住む屋敷を「要警戒区域」に指定して、クリスの危機に瞬時に駆け付けれる様にした。
序でに、影に潜むモンスターや、ゴースト系を放ってクリス非公認の護衛にした。
状態異常を起こす魔法が得意な奴らだ。
これなら、必要以上にクリスが血を見る事は無いだろう。
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テレフォンパンチとは、自分の拳を耳横辺りまで近付けた格好を指し、まるで電話で「これから殴ります。」と連絡するかの様に見える事から、この名前が付いたらしいです。