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ディーン様です。

盛大な見当違いの解釈?

 俺達は、ミガルズ辺境伯に所属する街「ミュガリア」に到着して、ソアラの指示のままに馬車を走らせる。


 そして、到着した場所はミュガリア子爵家が住むこの街の領主館だった!


「久しぶり。」

「ソアリーラお嬢様、お帰りなさいませ。」

「ヤカス、お父様は居る?」

「はい。何時ものように執務室に居られます。」

「分かったわ。お父様に紹介したい人達が居るから、応接室に来る様に伝えて。」

「畏まりました。」

「ディーン様や皆、先に行って待ってて。」

「分かった。」


 俺は驚きを何とか抑え、案内されるまま応接室で待っていると、貴族令嬢のドレスを着たソアラが現れた。


「改めて自己紹介をさせて頂きます。生まれは、この街を治めるミュガリア子爵家が次女の『ソアリーラ=レダス=ミュガリア』でございます。」

「ソアラって子爵令嬢なのね。」

「いいえ。違うわ、リーナ。」

「どういう事?」

「ソアラになった時に家名は捨てたし、奴隷になった事実があるから二度と貴族令嬢に戻れないわ。」

「そっかー。」

「だから、この場での私の自己紹介の時に『私は』ではなくて、『生まれは』だったのよ。」

「なるほどー。」

「ディーン様。」

「何だ?」

「出自を黙っていて申し訳ありません。」

「そんな事を気にするな。俺達は目の前に居る『ソアラ』しか知らないんだからな。」

「……ディーン様。」

「そういう事です。」

「ありがとう、リン。」

「そうよ。」

「ありがとう、ネイ。」

「気にするなー。」

「そうね、リーナ。」

「私だって気にしないわ。」

「ありがとう、サレナ。」


 その後、雑談をしていると、応接室に数人入って来た。


「初めまして。私はこの街を治める『ジーゼスト=レダス=ミュガリア』子爵です。」

「初めまして。私は妻の『エリリーラ=レダス=ミュガリア』です。」

「改めて自己紹介させて頂きます。ジーゼスト様に仕える執事のヤカスでございます。」

「それでは、此方も自己紹介をさせて頂きます。私はリーガル侯爵家三男のディーン=フォン=リーガルです。」

「「「……え!?」」」

「ソアラ。」

「はい、ディーン様。」

「確か、ソアラは近況を手紙で、報告をしていると言っていたよな?」

「はい。」

「何故、向こうは固まっている?」

「教えていませんから。」

「「「「「は!?」」」」」

「教えたとしても、どうする事も出来ないから。」


 ……まあ、確かにそうだな。


 俺に「娘をよろしくお願いします。」なら、まだ良いが「娘を返せ!」は無理。

 奴隷法上でも、貴族の立場的にも。

 後ろ盾のミガルズ辺境伯にお願いしても無理だしな。


「……そうだな。」

「そういう事なので、教えていません。」

「「ソアリーラ……」」

「でも、安心して。手紙に書いてある通り、私は幸せだし大丈夫だから。」

「そうか。……それで、ディーン殿。何故、此方に?」

「お忍びで、北方の隣国レジャーナに行っていたから、(つい)でに寄っただけだ。」

「如何でしたか、レジャーナは? あまり知られていませんが、あの国は魔法に力を入れていますので、魔法の心得がある者には良い刺激を与えてくれます。」

「確かに良い刺激を受けたな。」


 その後は、雑談をしていたが、ある程度の時間が来るとお開きになり、俺に用意された部屋に移った。

 因みに、リン達の部屋は隣だ。

 そこで、ソアラに家族構成を改めて聞いた。


 いや、流石に多いからな。


 どうやら、既に亡くなっているが、第2夫人が居て、その兄弟姉妹も加えてのものみたいだ。

 そして、きちんと「そういう事」を教えた上で、同じ家族として接している、との事だ。

 そして、ソアラは第1夫人の娘だ。


 さて、夕食の時間になり、ミュガリア子爵の好意で、リン達にも同じテーブルでの食事が出来たのだが、お互いの自己紹介の後、第2夫人の次男(ソアラから見たら弟)のダグラスが、真っ赤になりながら言った。


「さ、サレナさん。貴女に一目惚れしました。ぼ、ぼく、僕と結婚してください!」


 同じ席に着いていた両親と嫡男の顔は青くなり、逆に同腹の姉ともう1人の弟(第2夫人の長男)は笑顔になった。

 そして、サレナは……


「御断りします。」

「何故ですか?」

「私の身分は奴隷です。そして冒険者でもあります。この2つを私からは手離すつもりはありませんから。」

「では、奴隷として貴女のご主人は誰ですか? その方から貴女を買い取ります。」


 一目惚れで、学園生活が頭から消えているみたいだな。

 同学年に誰が居たかを。


「ディーン様です。」

「……あ!」

「この王国で生きる貴族なら、忘れてはならない存在である筆頭侯爵家が三男ディーン=フォン=リーガル様が、奴隷としての私のご主人様です。」

「か……」

「か? 何ですか?」

「買い取りがしたい。ディーン殿、奴隷のサレナさんは幾らですか?」

「そうだな、買い取りに応じるつもりは全く無いのだが、交渉の席に着いて欲しければ、自力(・・)で稼いだお金が『白金貨20枚』以上を用意出来たら考えてやろう。」


 そう言うと、ダグラスは笑顔で言った。


「分かりました。お父様、お兄様、お姉様、将来必ず返しますから貸してください。」




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