その紅茶とお菓子を毒見しろ。
何処かの薬屋みたいに毒見を喜ぶ人は、そう居ませんから。
ディーンside
王都周辺に隠れていた魔族共を3時間程で、鏖殺して処理が済んだ後は、王城に行き、話が通っている筈の王族専用の裏口から入り案内された先に、レーナリア王女が待っている部屋に到着した。
「待っていました。」
「待たせたな。」
「それで、『あの者共』は?」
「今、勇者パーティーが戦っているよ。」
「え!? 勇者様が!」
「ああ。レーナリア王女に待って貰っていたのは、勇者パーティーの到着なんだ。レーナリア王女が言う『あの者共』は、魔王軍だからな。」
「そうだったのですか。」
こうして、俺達が此処に居るのは、5周目以降の、四天王ギナハ撃退ルートでの「裏バッドエンド」を、回避する為だったりする訳だ。
「レーナリア王女殿下、皆様の分の紅茶とお菓子の準備が整いました。」
「ありがとう。」
「レーナリア王女、あのメイドは?」
「あのメイドは、病で倒れたメイドに代わって配属されたメイドなの。」
「そうか。そこのメイド。」
「はい。」
「その紅茶とお菓子の毒見をしろ。」
「……え!?」
「聞こえなかったのか? 俺は毒見をしろ、と言った。」
「……」
「そうだな。その器に注いだ紅茶と、その紫色の果実があるお菓子を毒見しろ。」
「……」
「どうした? まさか、毒見が出来ないのか?」
「どういう事ですか? 何故、毒見が出来ないのです?」
「……がぁあああーーー!」
レーナリア王女からも言われて、メイドがキレた、と思ったら魔族である本性を現した。
まあ、知ってたけど。
「……え!? きゃあああーーー!」
「サレナ、結界だ!」
「は、はい。」
サレナの結界に因って、無関係の他のメイド達の安全は確保した。
「殺す!」
「リン、ネイ、ソアラ、リーナ、サレナ、行け!」
「「「「はい!」」」」
実は、今、俺達が居る場所は、王城内で罪人等を裁く場所だったりする。
普通は、王女殿下が来ない場所だから盲点だと言い、もし何か有っても被害が少ないからと言い、後、王城の厨房に近いからと、言う事で決まった場所だ。
だから、多少なら暴れても大丈夫な場所だ。
……そして、倒れているリン達。
まあ、都合良く致命傷は受けていない。
エグい理由が有るけどな。
「他愛もないな。次は貴様か?」
「まあな。」
「貴様も、吾子の餌にしてくれるわ!」
そう。
自分の子供の為の生き餌としてな。
「誰がなるか!」
「喰らえ!」
俺は向こうの攻撃を躱しながら、直ぐに此方からの攻撃を与えダメージを重ねていく。
「雷撃弾!」
「がぁ……」
俺は、左手で雷撃弾を連続で放ち、視界を奪いながら、右手で回復魔法を放ち、リン達を回復させる。
そして、リン達に他の人達の避難を指示する。
そして、避難が完了すると……
「えぇい! 鬱陶し魔法を放ちおって……」
「死ね、氷獄凍牢散華!」
「な……」
「痛みも、死の恐怖も抱かず、眠れ。」
俺が放った氷属性の魔法が落ち着くと、そこには敵の氷像が立っていた。
パチン
俺が指を鳴らすと、敵の氷像は一気に無数の亀裂が走り、一瞬で霧散した。
「レーナリア王女殿下、敵を倒しました。」
「……」
「レーナリア王女殿下?」
「……す」
「す?」
「凄いです! あんなに強そうな魔族なのに!」
「お褒めに預かり光栄です。」
「何よりも魔法です! 詠唱破棄から連続で放ち、更に同時進行で全く別系統の魔法を使用し、そして! あの魔法です!」
「レーナリア王女殿下?」
「あれ程の高度な魔法を詠唱破棄で放つなんて! 改めてお聞きします。貴方は、誰ですか?」
まあ、何回か聞いてきたけど、全部はぐらかしたからな。
俺は姿勢を正し、貴族の挨拶の仕草をして言った。
「初めまして、レーナリア王女殿下。私は、インペリアル王国の侯爵家ディーン=フォン=リーガルです。」
「……その名は聞いた事があります。ですが、どうやら私が聞いた『噂』とは違うようですね。」
そうレーナリア王女が言った途端に、部屋に騎士が入って来て言った。
「何故、此処にレーナリア王女殿下が?」
「それよりも、何か有ったのですか?」
「は! 王城に忍び込んでいた魔族を勇者様とそのパーティーで討伐されました。そして、残りは敵大将だけと思われます。レーナリア王女殿下に置かれましては、安全な場所への移動をお願い致します。」
「私の方は問題ありません。強い護衛が居ますから。」
「……分かりました。レーナリア王女殿下、御前を失礼致します。」
騎士が去ると……
「勇者様パーティーも凄いんですね。」
「ええ。魔王を倒す者ですから。」
「そうですね。」
雑談をしていると、2時間程が過ぎ、再び騎士から勇者達に因って魔族の敵大将の討伐の報告を受けた。
その後は、俺達は国王と話をしたが、お忍びだと言って色々と誤魔化して3日後に、インペリアル王国に帰る事になった。
見送りで、わざわざレーナリア王女が来ていたが、別れ際に手紙を渡された。
「王都の屋敷に到着してから読んでくださいね。」
「分かった。」
そして、出発した。
帰りにソアラの故郷の北部のミガルズ辺境伯に属する街「ミュガリア」に寄る事にした。
一応、ソアラは近況を師匠や両親に手紙で報告をしていたみたいで、今回の突然の帰郷を楽しみにしている。
「楽しみだなぁ。」
「ソアラ、そんなに楽しみですか?」
「うん。家って結構兄弟姉妹が多いから。」
「何人くらい?」
「兄1人、姉2人、弟2人、妹2人なの。姉の1人は嫁いで、妹の2人は王立学園に通っていて、弟2人は、王立学園を卒業して、とりあえずお父様の下が頑張っているわね。」
「それは確かに多いわね。」
「だから、あの頃は毎日が楽しいんだ。」
そして、ミュガリアの街に到着した。
「聞いていない!」
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