勇者セリオside―中編
現場こそ、教育の場だったりします。
勇者セリオside
僕に負けた騎士団長ハーガは、逆ギレして文句を言うと本性を現した。
そして、同調するかの様に他の連中も本性を現した。
「ルシア! レイラ!」
「吹き散らせ、氷雪乱舞刃!」
「唄え、氷霊凍結槍!」
「ギッ……」「ガ……」「グッ……」「ゲフ……」
「グハッ……」
「なっ!?」
「良し!」
ルシアとレイラは、既に僕の合図で一撃必殺な攻撃魔法を準備していた。
向こうの数も分かっていたし、強い事も分かっていた。
だから、相手が本性を出した瞬間を狙って放った。
正直、昔の僕なら取らない戦術だ。
だけど、鍛練相手から教えて諭してくれた。
正々堂々と戦うのは、それが必要な相手だけで良いと。
そして、非道外道相手に、そんな戦い方は無用だと。
外道相手に誠意を見せた結果が、大切な存在を人質に捕られ、永遠に喪っても良いのか、と。
……だから、手を抜かない!
「ダリス! リアナ!」
「穿け、岩石槍!」
「祈りなさい、天聖槍!」
「グブゥ……」「ゲブィ……」「グガッ……」
「ガァア……」
行けぇ……
「喰らえ、雷光聖光槍!」
「ガァアアアーーー!」
残りは、文官のみ!
「まさか、勇者共がこれ程とは……」
「残りはお前だけだ!」
「まさか、ゲハナ様の為に用意した駒を全て倒すとは思わなかったぞ。……楽に死ねるとは思うな! 勇者共!」
文官もまた本性を現したけど、学習してない?
「皆!」
「散らせ、氷雪凍結槍!」
「唄え、氷霊凍結槍!」
「穿け、岩石槍!」
「祈りなさい、天聖槍!」
「ガァアアアーーー……まだ、だ……」
「喰らえ、雷光聖光槍!」
「ガァアアア…………」
……周りに、物理的にも魔力的にも動く存在は無し。
「……勝ったぞ!」
「勝ったわ、セリオ。」
「勝ったんだ、セリオ。」
「勝ったよ、セリオたん。」
「勝ったな、セリオ。」
「勝ちましたね、セリオ。」
「皆のお陰だよ。ありがとう。」
そして、皆でもう一度、辺りを確認する。
「……居ない。これで、ディーンの手紙が事実なら、総大将の四天王の1人『ギナハ』だけだ!」
そうしていると、練武場に騎士達がやって来た。
「これは!?」
「お前達は、何者だ!」
「僕は勇者セリオです。そして、皆は僕の仲間です。」
「……何か、証明する物は?」
周りの騎士達から、「勇者?」とか「本物か?」とか言われながら、僕はインペリアル国王陛下直筆の証明書と、右手の甲の証を見せた。
「……確かに貴方様は、『勇者様』だ。」
僕は、証明書を仕舞う。
「それで勇者様、此処で何が起こったのでしょうか?」
どうやら、この騎士達は、知らないみたいだな。
「僕達は、この王城に魔王軍が暗躍しているという情報を知り、調査の為に訪れました。そして、王城に潜んでいた魔王の僕を倒した所です。」
「そうだったのですか。」
「残りは、総大将の四天王のみ。」
「では、我々も参加します。」
「いえ、貴方達は要りません。」
「何故です!」
「敵は強大です。そんな所に行っても犬死になるだけで、僕達の不利になるだけです。」
「……」
「それよりも、城内に魔王軍の残党が居ないかの、捜索をお願いします。此方の方は、騎士である貴方達の方が詳しいので。」
「……分かりました。皆、聞いたな?」
「「「「「「「「は!」」」」」」」」
「魔王軍の残党を捜索するぞ。」
「「「「「「「「は!」」」」」」」」
行ったな。
「僕達も、準備が終わり次第行こう。」
僕達は、武器や装備品の確認をして、魔力回復する為にポーションを飲む。
因みに、同行している鍛練相手達は、参加せずに静観していて、何か採点されている様で怖かった。
……そして、僕達は謁見の間に向かった。
謁見の間の扉の前に到着した僕は、皆の顔を見る。
リアナもファナもルシアもダリスも、そして、レイラさんも覚悟を決めた目をしていた。
僕達は、謁見の間の扉を開ける。
僕達が見た謁見の間には、貴族や文官が居らず、警護の為の騎士達も玉座の側に2人しか居ない。
ただ、玉座の椅子に座っているのは、この国の最高権威の国王ではなく、良い装備品で身を固めた山賊の様な男だった。
そして、その足元には……
「おっと、動くな。この者がどうなっても良いのか?」
「……う。」
「……あぅ。」
「確か、皇太子殿下と第1王女殿下と呼ばれていたぞ。」
奴の足元には、確かに、男性と女性がボロボロの格好をして倒れていた。
「理解した様だな。理解したなら武……」
何かが、僕達の後ろから影すら残さず僕の左右から3つが通り抜け、その勢いのままに玉座の近くで2人の人質をとっている騎士2人に対して飛び蹴りをして、そのまま壁に騎士を蹴ったまま押し付けた。
そして、片方は殴る蹴るを凄い速さで繰り出し、最後は、その騎士1人が丸々入る火炎球を生み出し騎士に放ち灰にして霧散した。
もう片方は、いつの間にか握っている剣で、蹴りと壁との衝突でふらついている騎士を鎧ごと切り刻んだ。
そして、放った氷系魔法で凍結させて、軽く剣で突くと何も残らずに霧散した。
もう1人は、玉座の近くで倒れている2人を抱えて、また僕達の後ろに戻った。
……そして、僕達に言った。
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