父上、本題は?
本当に何人になるんだろう、婚約者。
「……はい?」
「俺は、ディーン=フォン=リーガルだ。」
「……え? 貴族様の家名は『ルナフィリア』では?」
「それは俺自身の家名だが、親が侯爵家のリーガルだ。」
「……あぁあああぁ……」
「このレストランは、一流揃いだが、どうやら、そうでない者が紛れ込んで居る様だな。」
ちょっと睨んでみた。
「ひぃっ!」
この後、レストランのオーナーを呼び、人間関係の調査と屑の排除を命じた。
そして、黒金貨3枚でマリカの引き抜きを認めさして、クーズノ伯爵には、俺からの手紙だけで沈黙したよ。
だって、1ヶ月後には子爵位の降爵の辞令が出るからな。
そして、引き抜いたマリカには回復魔法を掛けて全快にさせてから別れて、翌日に引っ越し出来る状態(予想通り、私物は少なかった。)で我が屋敷に来て貰い、クリス達には雇用条件等を話さないといけないからと、また説明した。
リン達には、クリス達と一緒にマリカに作って貰ったデザートの試食をして貰った。
やはり、リン達も「女の子」だから、甘いデザートの誘惑には勝てなかった。
「さて、マリカは本名か?」
「は、はい。」
「もしかしてだが、前世でも名前のフリガナは『マリカ』だったりするのか?」
「……え!?」
「俺も、多分同じ時代の日本人からの転生者だよ。」
俺が、そう言った瞬間から、マリカは泣き崩れた。
やっとマリカが落ち着いた所で、真面目に全てを含めた雇用条件の話し合いを始めた。
序でに、今後は貴族の脅迫に怯える必要は無い事と、その理由を伝えた。
マリカの前世の夢は、世界の「パティシエ」を目指していたらしい。
何か、何処かの真面目な「元」パティシエの「現」腹黒な坊っちゃんと被っている気がするがスルーしよう。
話し合いの結果、本店は都市リーガルで、支店1号店を王都で、2号店をクリスの実家の領地キュリアスに決まった。
まあ、決まったのは、店舗の数と順番と土地の確保のみだけどな。
とりあえずは、都市リーガルで腕を磨きつつ、弟子を取り、支店のオープンを目指す事になった。
そんなある日に、親父から呼び出された。
「父上、話があるという事で来ましたが、どの様な内容の話でしょうか?」
「いやな、未だに来るディーンへの釣書に面白い家があって、相談しようかと思って呼んだ。」
「……そうですか。それで、どの様な相手ですか?」
「爵位は伯爵で、両親は裏表共に問題無しで、子供は長女(15歳)に長男(12歳)に次女(10歳)の3人だ。また子供3人にも問題は無い。そして、釣書の相手は長女だ。」
「悪い所はありませんが、良い所もありませんね。」
「まあな。ただ少しだけ厄介なのは、この縁談を持ち掛けたのが学園時代にお世話になった先輩でな。」
「父上、本題は?」
「この釣書の相手の領地だが、半年前の大洪水でかなりの痛手を被り、私財を投じて更に借金までして領民達を救助と支援をしたが、その代わりに伯爵一家が困窮している。
屋敷だけは伯爵級だが、それ以外は平民と変わらない生活をしているし自給自足は当たり前で、来ているドレスも3着をリメイクしながら遣り繰りしている。極めつけは、下2人は学園に行かす為の資金が無い。」
「わあ。」
「はっきり言って、無視したいが……」
「先輩の顔を立てたいと?」
「そうだ。」
「分かりました。婚約と言う名の契約を交わしてリーガル家として支援しましょう。」
「助かる。」
そして、お見合い当日に来た婚約者(暫定)は、真面目で元気系ヒロインだった。
……完璧超人な坊っちゃんや吸血鬼のイケメン野郎に良く狙われるタイプだな。
そして、領地の領民と家族の未来を背負って俺の気を引こうと、誰かに吹き込まれたのか、現状は無い色気を絞りだそうとしているが、無い為に一滴も出ない残念ヒロインだ。
ただ、そうだからこそ、内面には好感が持てるな。
まあ1人ぐらいは、こういうのが居ても良いか。
「貴女『ユーリ=マープ=クロノスター』と、婚約したいと思いますが本当に良いのですね? 俺には王女を含め既に婚約者が5人も居ます。」
「構いません。約束さえ守って頂けるのなら、私には異存はありません。」
ユーリ嬢が、そう言うと、控えていた神父が言った。
「分かりました。それなら、この契約書を確認してから記入してください。」
「……クス。」
「どうしました?」
「いえ、噂は当てにならないと思ったので。」
「そうですか。」
「記入しました。」
俺は、婚約の契約書を確認して俺も記入をし、神父が確認した後、秘書代わりに連れて来たシルヴィアが受け取る。
「不束者ですが、幾く久しくお願いいたします。」
「ああ。」
そして、控えていた神父が宣言した。
「ディーン=フォン=リーガルとユーリ=マープ=クロノスターとの婚約が正式に成立しました。」
ユーリside(過去)
「ユーリ、済まない。」
「お父さん、どうしたの?」
「領地の領民を助ける為に、ユーリには残酷な選択を強制せねばならなくなった。」
「領地の領民の為ならば構いません。」
「……ユーリ。」
「学園時代にお世話になった先輩からユーリの縁談の話を持って来たんだ。」
「それでは、私の縁談の相手はお父さんよりも年上なのですね。」
「違うんだ。持って来た縁談の相手は、あの悪名高い侯爵のリーガル家だ。」
「あの?」
「そうだ。だが、領地の領民を救うには、権力も財力もある貴族に頼るしかない。だが、お父さんには……」
「そんな時に、お父さんに縁談を持って来たのね?」
「ああ。しかし、ユーリが嫌なら向こうには断っても良いと思っている。」
「そんなの無理だわ。古い血統だけの斜陽伯爵家には。」
「……ユーリ。」
「領地の領民と両親と弟妹の為に、私は喜んでこの身を捧げましょう。」
「ユーリ、……済まないな。」
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