少しお時間良いかしら?
1人歩きは、主人公だけの特権に有らず。
大変な昨日だったな。
翌日は、お袋とクリスの共同主催のお茶会が開かれた。
このお茶会で、お袋はクリスを公的にも認めた事となり、周りへのお袋からクリスに後継したという周知となる。
基本的には、お茶会は夫人や令嬢の本領の為、特別な目的が無い限り男性(5才まではOK)は参加しない。
例えば、息子の婚約者探しとか、だな。
まあ、大抵は事前に決まっている場合が殆どだ。
要するに、「サクラ」の多い「お見合い」だ。
何故、そんな事を考えているかというとだな。
学園時代の悪友に招待を受けて、奴の屋敷に居るのだが、お見合いクラッシャーをしてしまった。
実は……
「貴方が、ギルーダ=ギーア=ギガンティック様ですね。
私、婚約者のアンザー伯爵家が次女のフーラ=クロス=アンザーです。不束者ですが、よろしくお願いいたします。」
「へ!?」
俺に対して言われた令嬢の言葉を聞いて、隣に居る「ギルーダ君」が、変な声を出した。
俺とギルーダは親戚では無い。
まあ、貴族だから、遡れば、父母のどちらかで繋がるかもしれないが他人だ。
だが、ギルーダは、「また従兄弟」ぐらいには似ている。
明らかな違いは身長ぐらいで、ギルーダはこの半年でかなり背が伸びた。
……フーラ嬢への連絡が何処かで途切れたのだろうか。
俺を見るフーラ嬢は、熱い眼差しに薄紅を差す頬……
ヤバい!
……俺は、令嬢の矜持と恋よりも友情を取る。
「ギルーダ=ギーア=ギガンティックは、隣の彼だ。」
「……え!?」
今だ!
俺は、フーラ令嬢に睡眠魔法を掛ける。
「フーラ嬢!」
ギルーダは、咄嗟にフーラ嬢を抱き締める。
「……ディーン。」
「このまま介抱して誤魔化せ! 俺は今日、此処に居なかったんだ、いいな!」
「お、おう。」
「また、招待してくれ、ギルーダ。」
「悪かったな、ディーン。」
「いいさ。またな。」
「ああ、またな。」
さて、時間にならないと来ない我が家の馬車は、ギガンティック家が対応するとして、俺はどうしようかな?
とりあえず、俺は路地裏に入り、用意している平民の服に着替える。
異空間収納を利用しての瞬間着替えを練習したから恥ずかしい時間は無い!
男女共に着替えは恥ずかしいモノだからな。
まあ、何処かの北奉行の誰かではないが、王都を楽しむとするか、と思った途端にイベントが発生した。
「きゃあああぁーーー!」
またベタなテンプレが発生したなぁ。
そんな事を、心の中で愚痴っていると、イベント会場に到着したが、内容もベタなテンプレで、とても綺麗な服を着た美女(美少女?)を、世紀末覇者的な雑魚なチンピラ3人が絡んでいた。
「へっへっへ。楽しい事をしようぜぇ。」
「沢山、鳴かせてやるからなぁ。」
「飽きたら裏で売ってやるからなぁ。」
3人目、ちょっと前2つと台詞が合っていないぞ。
……行くか。
「待ちな。」
「誰だぁ?」
「関係無い奴は引っ込んでいろぅ!」
「……1人増えた?」
ゾクゥッ!
排除しかない!
とある天才美少女魔導師が日常的に使っていた「ドラゴンを滅する魔法」を放つしか無い!
「黄昏よりも……」
「待って! 理由は分からないけど、兎に角、ソレは止めてくださいー!」
「……分かった。」
1人目、2人目は左回し蹴りで蹴散らし、3人目だけは状態異常を起こす魔法と風魔法を放ってぶっ飛ばした。
そんで、巡回中の衛兵が居たから呼ぶと……
「理由は後で話しますから、私を庇ってください。」
「分かった。」
「ありがとうございます。」
そして、衛兵が来たが、彼女に振れない様に上手く立ち回った。
「終わったぞ。」
「ありがとうございます、ディーン様。」
「貴な、……失礼しました。」
彼女が頭のフードを外した途端に誰かが分かり、臣下の礼を慌てて取る俺。
「頭を上げ、楽にしてください。この様な場に、私1人しか居ないのが行けないのですから。」
「はい。」
「私が、此処に1人で居る理由は気晴らしよ。」
専属侍女や侍従や護衛の方々、御愁傷様です。
「ディーン様。少しお時間良いかしら?」
「はい。」
お願いの言葉に、命令の意味ですね、分かります。
そのまま、王城の王族専用の裏口から入り、王宮の応接室で待っていると、きっちり着替えた若干卑怯な皇太子妃と皇太子が入って来た。
俺は、2人の許可を貰い、中で繋がっている扉を開けて隣の部屋に行き瞬間着替えをする。
隣の部屋に入って5秒後には着替え終わって応接室に戻る俺の姿を見て驚愕する2人。
……ちょっとスッキリしたかな。
そして、「少しお時間良いかしら?」で、此処まで連れて来た理由を聞いた。
「こうして、話すのは初めてだね、ディーン殿。」
「はい。そうですね、カッシェス皇太子殿下。」
「それで、来た貰った理由なんだが、実は偶然なんだ。」
「と、言うと?」
「近々呼び出す予定だったのは事実で、今日会えたのは偶然なんだ。そして、偶然とはいえ、会えたのだから来た貰った訳だ。」
「分かりました。まあ、ウルスーラ皇太子妃の1人歩きは控えた方が良いかと思います。隠れて護衛をしている者が気の毒ですから。」
「善処するわ。」
俺はカッシェス皇太子を見る。
「あははは。」
「それで、近々呼び出す予定だった内容は?」
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