ディーン、勝って!
英雄譚に憧れない男の子は居ませんよね。
「それは……フェリシア皇女殿下から手紙が届いたから。」
「手紙とは『運命の日』としか書かれていないヤツか!」
「お父様、私の手紙を勝手に読んだのですか?」
「あ! いや、その、な。」
「お父様なんて、キライです。」
「フェリ……」
フェリ、もう止めてあげて。
皇帝陛下のライフは、もう「0」よ。
「陛下。」
「兎に角だ。フェリと婚約したくば、この者と戦い勝つしか儂は認めんからな!」
「お、お父様、何を言っているんですの!」
「フェリよ。そんなに顔を赤めて……」
「え! こ、これは、ち、違っ、違いますの!」
「……やっぱり。」
……カオスだなぁ。
是非とも、この場でのBGMに、フルバ無印の第1話のあのシーンのBGMをお願いいたします。
結局、父と娘の売り言葉買い言葉で、俺の意見を聞く事も無いまま訓練所みたいな場所に移動して、模擬戦用の防具を装備して模擬戦用の武器「剣」を選んだ。
因みに向こうが選んだ武器は「槍」だ。
しかも、俺が選んだ後で決めていた。
まあ、戦略と言えば聞こえは良いが、ショボいな。
審判役の宰相が、模擬戦のルール説明を聞いていると、いつの間にか観客席が満員になっていた。
手前からお偉いさんで、外野席辺りで文官や兵士みたいな連中が座っている。
そして、対戦相手のイケメンは、外見年齢20代前半で、それなりに筋肉が有る様に見える。
一方で、俺の外見は、ちょい背が低めの14歳。
「準備はよろしいな? 試合……開始!」
勝っても負けてもアレだが、負けると精神的負担が大きいから勝つ事にした。
「棒立ちだと、あ……プギャ!」
俺は、槍を使うのに無駄に振り上げた隙を突いて、普通に剣道の「面」を、剣の面で打った。
そして、動かないイケメン。
「……勝者ディーン様!」
「無効だ!」
あ、復活した。
「今のは、少し油断しただけだ。やり直しを請求する。」
「……はぁ。」
「ディーン様?」
「……良いですよ。」
「……先程の試合は無効とし、改めて試合を開始する。」
「幸運だったな。しかし、その幸運はもう貴様には訪れないと知るが良い!」
「はいはい。」
「試合……開始!」
「死ねぇ!」
向こうの槍をヒョイヒョイ避けながら、隙が出来たら、その場所に赤い線が残る程度に模擬剣で攻撃した。
同時に、上から目線の指導的な煽りも加えた。
「どうした、お前の力はこの程度か?」
「う、うるせえ!」
攻撃が大振りで大雑把になった所で、剣道の「面」を剣の面でまた打った。
「プギャ!」
「……」
「審判?」
「……は! 勝者ディーン様!」
「ディーン!」
勝者には、女神からの熱い抱擁が褒美として与えられた。
父親からの嫉妬に狂った殺意の眼差しと共に……
「……や、やってられるかー!」
おお、また復活した。
「もう良い! 少しずつ内側から壊してやろうかと思ったがもう止めだ! 今、全てを破壊してやる!」
此処で、台詞が入るのなら、「デー○~ル!」だろう。
弱虫イケメン君は身体が高く浮き上がり、人族から魔族に変身したが、残念な事に体表は緑色じゃなかった。
「この姿に成ったからに、もう容赦しない!」
「お前が魔族なら、本物のヤーラレは?」
「帝国の外に転がっている食い散らかされたゴミなど誰も気にしないだろう?」
「貴様ぁー!」
「……はいはい。魔閻砲!」
「ぎ……」
下から放った紅い閃光の後には、右の手足と右側胴体を若干消失した魔族が倒れていた。
「……もう、こうなれば……」
ヤバ!
「我が命を代償に召喚する!」
そして、魔族は動かなくなり魔法陣が広がり、倒れていた魔族が消失すると、魔法陣から紫と黒が混ざった異形の竜が出現した。
「あ、アレは!」
「お父様、あ、あの異形の竜は?」
「アレは、強大な魔力暴走を引き起こした、歳へた黒竜の成れの果てだ!」
……竜殺しか。
「フェリや皇帝陛下も離れろ!」
「ディーン!」
「こいつは俺がヤる!」
「ディーン、無茶よ!」
「古今東西、英雄譚に憧れない男の子は居ねぇ!」
「ディーン!」
「しかも、相手は『竜』だ!」
「……フェリ。彼の邪魔をしてはいけない。」
「でも、お父様!」
「ディーンの顔を見てご覧。」
「……楽しそうに笑っている?」
「そうだ。ディーンは笑っている。ならば、竜殺しをせんとしている英雄に、守られる姫が伝える言葉は分かるな?」
「……はい!」
「なら、言ってやりなさい。」
「ディーン、勝って!」
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。
あの漫画は、アニメ化しても問題無いと思うのですが、アニメ化はまだかなぁ。




