母さんと私が飲んだ白いアレは、何?
悪戯、成功!
連想しても、「イコール」にはなりませんので悪しからず。
時間は少し戻り、王宮騎士の選考会から、次の日は、王宮魔術師の予備選が始まった。
勿論、俺は観戦に行った。
ただ、王家側は「砲台」を考えているのか、予備選の選考内容が、「詠唱の速さと正確性」と、「魔法の発射速度」と、「威力」の3つを見ているみたいだ。
……見ていても退屈だな。
翌日
前回の王宮騎士の選考と同じ闘技場で本選をするみたいで、これなら見応えあるかと期待していたが、結局は、選手達は動かずに魔法の撃ち合いを始めた。
多分、予備選で、選手側も本選も撃ち合いの方が採用の可能性が高いと思ったのだろうな。
あまりに退屈で暇だから、出場する選手達にスキル「解析」を使ったのだが、特に良いのが居なかったが、1回戦の最後の彼女は当たりで名前が「リーナ」だ。
何と、リーナは魔法属性は「全部」を持っている!
勿論、氷属性や雷属性に、光も闇もだ!
でも、体内の魔力回路に欠陥が有って、一番適性が高い「火属性魔法」しか、上手く使えていない。
結局、1回戦負けとなる。
早速、声を掛けたが、理由が分からないままで振られた。
……でも、あんな将来有望を手放すのが惜しいと思った俺は、我がダンジョンモンスターから、こういう時用の追跡専用をリーナに付けた。
3日後、つまり、王都から大商会が消えた次の日に、以外な所にリーナは居た。
「やあ、久し振りだね。」
「貴方は!」
「さて、少しお話しをしようか、奴隷のリーナ。」
そう、彼女リーナは、たった数日で奴隷に堕ちたのだ。
まあ、理由は知っているけどな。
彼女リーナは、まだ奴隷としての教育を終了していないが、筆頭侯爵家の威光を使った。
まあ、使っただけだ。
誰も実害を受けていないからな。
「奴隷商から聞いたよ。君、窃盗で捕まったらしいな。
しかも、窃盗した相手が貴族で伯爵だ。
更に悪い事に、あの盗んだ金は、所属している派閥長に渡すお金だった。」
「道理で、見た事の無い白い硬貨だと思ったわ。」
「まあ、白金貨20枚は、上位貴族でも大金だよ。」
「……本当に?」
「ああ。それと、窃盗した理由も聞いたよ。家族が大変みたいだな。父親は早くに亡くなり、母親は無理が祟りベッドの中、姉が居るけど綺麗過ぎて、質の悪い名誉男爵のガキに言い寄られているんだろう?」
「……そうよ!」
「もし、俺の奴隷となり、その上で仲間になってくれたら、君の心配事を全て解消してあげるよ。どうかな?」
「……本当に全て解消してくれるの?」
「ああ、魔法誓約書を使って良い。」
「魔法誓約書?」
「簡単に言えば、約束を破れば死ぬ誓約を交わすのが魔法誓約書だ。」
「……分かったわ。」
魔法誓約書の内容は、彼女リーナの母親の健康的な回復と、姉に言い寄る名誉男爵のガキが姉に近付かない様にする、になった。
「ああ、追加で、俺がリーナと交わした魔法誓約書の効果で死んだ場合は、無条件でリーナを奴隷から解放する事も付け加えよう。」
「……つまり、言い換えれば、自分は魔法誓約書の効果で死ぬ事は無いと思っているのね?」
「勿論だ。」
「貴方、何者なの?」
「それは……」
「それは?」
「それは……秘密です。」
「あーーー! 分かったわよ、奴隷になるわよ!」
「はい、言質を頂きました。」
「負けたわ。」
俺は、彼女リーナと奴隷契約を交わして、何時もの処理をして奴隷商を出た。
すると、元気なリーナの母親と姉、そして、姉が持つ書類には、ストーカーな名誉男爵のガキが、「リーナの姉、及び、その家族には二度と近付きません。」という魔法誓約書だった。
「貴方……」
「そんなに誉めるな、照れるだろう。」
「誉めていない!」
「とりあえず、場所を変えよう。我が家に招待するよ。」
「分かったわ。」
そして、王都でも上から数えた方が早いデカさを誇る侯爵級の屋敷に到着した。
「……」
「上ばかり見ていたら、転けるよ。」
半ば放心状態のリーナの手首を握って連れて行く。
そして、玄関ホールに入ると……
「「「「「お帰りなさいませ、ディーン様。」」」」」
メイドや侍女達全員の「お出迎え」だ!
「今度こそ教えて。貴方、何者なの?」
「ディーン=フォン=リーガル。家名ルナフィリアの時は伯爵で、家名リーガルの時は、筆頭侯爵リーガル家の次期後継者だ。」
「……侯爵って……」
「俺が公式の場で頭を下げるのは、侯爵位の当主と、公爵位の当主と王族だけだ。」
「……私達、家族はどうなるの?」
「表向きは、君を人質として、母親と姉はメイドとして働いて貰う。」
「……裏は?」
「父親が居ないんじゃ、生活が大変だろ? だから、俺の下で母親と姉がメイドとして住み込みで働いて貰いたい。そして、リーナは、俺の冒険者仲間になって欲しい。」
「私、まともに魔法を使えないわよ!」
「あ、その辺も大丈夫。はい、飲んで。」
俺は、異空間収納からエリクサーを取り出し、疑問符だらけのリーナに渡す。
「これは?」
「リーナの母親に飲ました物と同じヤツ。」
「……母さん、本当?」
「……え、ええ。」
「何故、言い淀むの?」
「リーナ、ごめんなさい。言えないのよ。」
「……分かったわ。……飲む。」
中身を飲み口から見ていたが、覚悟を決めたリーナは、一気にエリクサーを飲み干すと、リーナの魔力回路は、正常な状態になった。
更に、魔力回路の欠陥が原因で魔力量が増大していて、通常の平均から見たら、リーナの魔力量は、同じ年頃の約80倍というバカげた魔力量だ。
「ディーン、いえ、ディーン様。」
「何、言い方を改めて。」
「母さんと私が飲んだ白いアレは、何?」
「知りたい?」
「……聞かない方が良いような。」
「君達が飲んだのは、幻の『エリクサー』でした。」
「……んふ。」
あら、キャパオーバーで、歪んだ笑顔のままで気絶した。
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