流石に徒歩は禁止された。
何処の世界にも「悪ガキ」は居るものです。
歓談タイムに入り、俺と両手に花になっているクリスとリーラを連れて親父とお袋の後を付いて行き、「次代のリーガル家当主です。」と、自己紹介をして廻ったのだが……
……面倒臭い!
だが、左側に居るクリスに情けない姿を見せる訳にはいかないから、頑張って終わらせた。
そして……
「魔王王女と傷物令嬢が居るぞ。」
……は!?
何て言った?
確かに評判や評価の中には、否定出来ない部分も有るが彼女達の親が誰か忘れたのか?
お袋が無言のまま静かに移動した。
「それは、誰の事を言っている?」
俺は、ディア達の名誉を守る為に冷静に聞いた。
「あ? 決まっているだろ。目の前のこいつらだよ!」
俺は時間稼ぎを兼ねて、充分に間を貯めて言葉を放つ。
「……もう一度聞くが、『誰』の事を言っている?」
「うぜぇガキだなぁ。この目の前の欠陥品だ!」
……間に合った。
「と、言っています。我が国の国王陛下とリーナブルム公爵閣下。」
「……え!?」
「此方の2人が、セレンディア『王女殿下』と、ソフィア『公爵令嬢』なのを忘れている愚か者の様です。」
「……あ。」
「うむ。その様じゃな。この国に生きる貴族が、自国の王女と公爵令嬢を忘れるとは嘆かわしいことだの。」
「「……あ………ぅ…」」
「確かに、それが事実なら嘆かわしい事ですが、恐らくは親の教育も良くなかったのでしょうな。」
「どうやら、この愚か者の親は、貴族の爵位の意味を忘れているみたいじゃな。」
「全く、その通りですな。」
「とりあえず、この愚か者の頭を冷やすべきでは?」
「そうじゃな。……誰か。」
「「は!」」
「この2人を『王族不敬罪』で牢屋に放り込んでおけ。後、身元も照会しておけ。」
「「は!」」
そして、連行される馬鹿2人。
「ま、待ってください。謝りますから。」
「そうだ。謝罪しますから!」
「何をしている? 不愉快だ。」
「「失礼しました、直ぐに!」」
馬鹿2人は無駄な抵抗したが、無様だったな。
「全く、権利には責任が伴う事を知らんとは……」
「貴族の教育を見直した方が良いかもな。」
「ディーンよ。」
「は!」
「確かに、そちは三男だが、筆頭侯爵家の次期後継者でもある以上は、それに見合う責任がある。」
「深く心に……」
「うむ。……さて、折角来たのだ。軽く話すとするか。」
「……は?」
「ディア、幸せか?」
「はい。ディーン様には良くして貰い、クリスティーナ様達とも仲良くしております。」
「それは良かった。」
「リーラは?」
「勿論、楽しくて幸せな毎日よ。」
「なら大丈夫だな。」
「……国王陛下。」
「うむ。」
「それでは失礼する。」
宰相の声で会場の王族席に向かった国王とリーナブルム公爵が充分に離れるとお袋に一言。
「母上、素晴らしいです!」
「そう?」
「はい。」
この後、俺の婚約者達とお袋との感謝と謙遜のリレーが始まったのを見ながら、移動して親父と話す。
「貸しは返したぞ。」
「違いますよ。今回のは母上ですよ。」
「むー、ダメか?」
「ダメです。」
この後は、クリス達の友人達(但し、野郎は物理的に除外!)が集まり、ガールズトークに花開き、見ていて癒された。
……さて、後日談として、あの馬鹿2人は、廃嫡勘当国外追放の三連殺を食らい、親である当主の爵位も伯爵だったのだが男爵となった。
しかし、今回はお袋の「ね、お願い。」は無かった。
それと言うのも、母親が率先してディアとソフィアを貶していたからだ。
その結果、2人の母親は生家に強制送還となった。
しかも、生家には国王からの「責任を取れよ!」的な内容の手紙付きで。
最後に、今回の2つの家には姉妹が居なかった事が唯一の不幸中の幸いだった。
披露宴から数日後、俺はディーンとして初めて単身で王都を散策している。
まあ、馬車に乗ってだがな。
それというのも、今、我が屋敷では、クリス主催のお茶会を開いているからだ。
しかも、招待したのは、クリスの友人達だけではなく、リーラ達の友人達も招待されている。
元々、女性側のお茶会には男性は参加しないのが普通で、そんな大人数だから、シルヴィアやリン達も駆り出された訳だ。
だから、単身だけど、一応は新人メイドが俺に付いているし、この場合は数に入らないのが貴族の常識だ。
因みに、ズルという意味でチートしている。
何故なら、同行する新人メイドは、ダンジョン側だからだ。
……チートだろ?
これで、何をしようが、シルヴィアには「問題ありませんでした。」という報告になる!
これが、人族側だと、全てシルヴィアに報告される。
普段は、この方法でシルヴィアの監視から逃れていた。
そんな訳で、馬車は東京人の徒歩に負けるぐらいの速度で進んでいる。
流石に、徒歩は禁止された。
はぁ~。
やっぱり、シルヴィアが居ると、どうしても「侯爵家」の肩書きが付いて回るからなぁ。
前世が一般人だから、それなりに重いんだよな。
……と、いう訳で「お一人様」を謳歌すべく馬車から王都を眺めていると、美少女が絡まれている。
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