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……ディーン様ぁ、もう呑めない……

聖女の訪問、終了しました。

「それは?」

「それは、……そんな報告は出鱈目だ!」

「フーシェス侯爵。」

「なんだ、リーガル侯爵。」

「既に、その者を証人として捕らえ、証言を得ている。

 言い逃れは出来んぞ。」

「いつの間に!」

「つまり、フーシェス侯爵は、儂の王命を邪魔しようとした訳だな?」

「そ、そんな事をしていません。」

「ならば、呼び出した理由を答えよ。当然、儂の王命を無視する程の用であるのだろう?」

「……」

「どうした、フーシェス侯爵よ?」

「国王陛下。」

「なんだ、リーガル侯爵。」

「その様に時間は無駄には出来ません。重要なのは、フェリシア皇女殿下の暗殺未遂についてです。」

「そうであったな。リーガル侯爵の事だ。全てを揃えてあるのだろう?」

「はい。動機以外は全て揃っております。暗殺を依頼した者、暗殺の依頼を受けた者、暗殺を実行しようとした者、全てです。」

「流石は、筆頭侯爵のリーガル侯爵よな。」

「恐れ入ります。先ずは、依頼人ですが、其処にいる帝国側の最高責任者のゴメスです。」

「な! 出鱈目だ!」

「ゴメス殿。国王陛下の御前です。」

「そして、暗殺を受けた者は暗殺ギルドの者でした。」

「……暗殺ギルドか。」

「はい。そして、暗殺を実行しようとした者は、あそこに手枷足枷で拘束されている少女となります。ただ、追加として、あの少女は大切な家族を暗殺ギルドに人質として捕らわれていました。」

「……うむ。」

「当然、証拠として、暗殺に使用する目的で用意された凶器や、書類等は揃えております。」

「……そんな!」

「審議を続ける必要は無いな。判決を言い渡す。フェリシア皇女殿下の暗殺未遂に因り、ゴメスには右腕切断を言い渡す。」

「な! オレは帝国の騎士だぞ!」

「うむ。だから、正式な審議は帝国でされる。ただ、捕らえる際に抵抗が激しく、やむ無く右腕切断となったと帝国には報告する。」

「……そんな……」


 どうせ、ゴメスから動機を吐かしても、どうする事も出来ないしな。


「フェリシア皇女殿下は心優しき『聖女』と呼ばれているが、同時に帝国の皇女でもある。右腕の治癒は期待せん方が良いぞ。」

「……」

(あと)の者共は、我が王国の者だ。因って、王国の法に則り裁くものとする!」

「「「「「「「「「「「御意。」」」」」」」」」」」


 結果報告だと、暗殺ギルドは、吐かせる事は全て吐かした後は公開処刑で、家族等が居た場合は、成人男性は鉱山労働30年で、成人女性は娼館に、未成年は借金奴隷となった。

 まあ、未成年の借金奴隷は、普通にやっていたら30年は掛かるけどな。

 これでも、最大限の恩情だぞ。

 下手したら、帝国と戦争だったんだからな。


 フェリシア皇女殿下が滞在する最後の晩餐では、俺とクリスも喚ばれていた。


「……ディーン様ぁ、もう呑めない……」


 カクテルを一口飲んだ後のクリスの台詞で、我が最推しにして最愛の婚約者殿は夢の中だ。

 そして、フェリシア皇女殿下が俺の前に来た。


「ディーン様、よろしいでしょうか?」

「……」

「クリスティーナ嬢は、看ていてやる。」

「分かりました、父上。フェリシア皇女殿下、行きましょうか?」

「はい。」


 俺とフェリは、ベランダに移動した。


「これで、フェリの命の危険は去ったな。」

「……いいえ。」

「どういう事だ?」

「私が視た予知に、今回の事は有りませんでした。」

「つまり……」

「つまり、更に未来での事でしょう。それに、予知のディーン様や私の姿は、もう少し大人でした。」

「そうか。」

「ディーン様……」

「案ずるな。一度約束したのだから、助けるよ。」

「ありがとう、ディーン。」


 チュッ。


「あー!」

「クリス!?」

「フェリシア皇女殿下! ディーン様は、私の婚約者なんだからね!」

「でも、まだ婚約者なのよね。」

「ディーン様は、私と結婚するの!」


 俺は、静かに2人からフェードアウトした。

 そして……


「父上。」

「……まあ、悪かった。」

「貸し1つですよ。」

「ああ。」



 そして、翌日

 また、俺達は帝国までの道中を一緒に進み、フェリとクリスは「喧嘩する程仲が良い。」を、体現していた。


 更に、国境では2人は涙を流して別れを惜しんだ。


「手紙を書くね、クリス。」

「うん。私も手紙を書くね、フェリ。」

「ディーン様。」

「何、フェリ。」


 帝国側が、気を利かして3人だけになっている。


「クリスを泣かしたら、承知しないからね。」

「俺が、クリスを泣かす訳が無いだろ?」

「どうだか。」

「フェリ、大丈夫だよ。ディーン様は、私を泣かしたりしないわ。……時々、意地悪だけど。」

「おい、クリス!」

「ふんだ。」

「クスクス。ディーン様。クリス。またね。」

「うん。フェリ、またね。」

「フェリも元気でな。」


 こうして、聖女こと帝国第3皇女フェリシア殿下の王国訪問は終了したのだった。


 因みに、ゲームでは、王国訪問の時には、(ディーン)は領地の屋敷で、「女」に溺れていた。


 最後に、第2王子派の筆頭のフーシェス侯爵は、俺を連れ出そうとした責任を取らされ、第2王子の後見を降ろされ、罰金として白金貨200枚を言い渡された。

 更に言うと、俺を連れ出そうとした理由は、夫人と娘の嘆願(きょうはく)で美容ポーションの融通だったらしい。

 まあ、立場の低い俺から、と思ったんだろうな。

 ルミナスシルクと美容ポーションの権利は2つ共、俺が握っているのにな。




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