本当に良いんだな?
お忘れかも知れませんが、既にディーン達は、進級して2年生です。
「……え!?」
……ぶっちゃけ、エンタメ無視で終了した。
無詠唱で、雷撃弾をガトリングガンの様に連射で撃ち放ち、満身創痍な状態のオーガジェネラルに対して無造作に、不敵に近付き、トンと真上に飛び、一閃してオーガジェネラルの首を斬った。
「デ、ディーン様……」
「はい、終わり。」
「ディーン様、あのぅ……」
「まあ、俺も、あの狂炎虎から努力したんだよ。」
その後、セレスとアリアは現地解散と見せ掛けて普通にダンジョンに帰り、エドガー(中身ブラグ)と奴隷レイラも離脱した。
まあ、侯爵家の俺が居れば冒険者ギルドも細かい所の文句は言えないだろう。
それに、テラサ達白銀の光翼には、後でリーガル家として報酬を出すと言ってあるから大丈夫だろう。
そして、予定通りに迎えに来た馬車に乗り込み帰ると、冒険者ギルドには俺と白銀の光翼で報告とオーガ共を提出したら驚いていた。
ギルドマスターには、エドガー達2人は疲れたから先に帰ったと言って誤魔化した。
セレスとアリアは、強いからこその気紛れで地位や金等には興味が無いのだから連絡は無理だと伝えた。
……ギルドマスターは、頭を抱えていた。
「頑張れ、ギルドマスター!」
そう言ったら、顔色を変えて余計に頭を抱えていた。
何とか復帰したギルドマスターから、今回の依頼料を受け取り、予め決めていた取り分を白銀の光翼に渡した。
そして、領主館に帰り、万全の準備が終わっていたソフィアがお茶会の部屋で待っていた。
「ディーン君!」
「ただいま帰ったよ、ソフィア義姉様。」
「お帰りなさい、ディーン君。」
「むぐっ……」
こうして、ソフィアの胸部装甲の防御力を息苦しさと共に俺の顔で確認した後、ガチガチに固くなっている白銀の光翼を加えて楽しい時間を過ごした。
お茶会のお菓子で体力を回復し、公爵令嬢の対応で精神力を大幅に削られた白銀の光翼が、用意した部屋にフラフラになりながら向かった後、俺は未来(表向きは)の義弟としてソフィアに甘えた。
ソフィアの、未来のリーガル家嫡男の正室としての努力を肯定しながらも、俺は「ソフィア義姉様には僕が居るよ。」と、アーロンに相手にされていない事を励まし慰めた。
「ありがとう、ディーン君。」
ソフィアの顔に若干の赤みが付いていた。
……アーロンの事故死の準備だけはしておこう。
正直、ソフィアの他家への再婚約はかなり難しい。
確かに、公爵家の後ろ楯は大変魅力的だが、表向きは悪党貴族でありながら、この国の筆頭侯爵家である事もまた事実。
まあ、だからこその「同居」だがな。
そんな所に婚約した為に、色々な憶測が飛び交う事になり、本人と実家は魅力だが、それと同じか、それ以上のリスクがあるのが現状と思われている。
ソフィアとの再婚約に、二の足を踏むのは当然と言える。
……血統の公爵、権力の侯爵。
リーガル家との婚姻が成立すれば、お互いがお互いの「力」を手に入れる事になる。
だからこそ、お互いの「家」が手を組み、公爵と侯爵との婚約が成立したのだ。
美味しい紅茶とお菓子に舌鼓をしながら、何時も以上に表情で言葉で声色で仕草でソフィアを慰め励ました所でお茶会は終了した。
様子を見る意味で2日間滞在したが、変化は無かったから、俺達は王都に戻る事にした。
「ディーン君。たまには会いに来てね。」
「はい、ソフィア義姉様!」
少しソフィアの頬が赤くなっていて、俺は確かな手応えを感じながら馬車に乗り、王都へと向かった。
途中、リーガル家の家紋を知らないという、お勉強が出来ていない盗賊を駆除してアジトのお宝を回収した。
後、アジトには囚われた少女「ネルハ」が1人居たから家まで送ってやろうかと思ったが、身寄り無しな為、我が屋敷で下働きとして雇う事にした。
勿論、魔法誓約書で最低限の保険は取らして貰ったがな。
王都に到着して我が屋敷に着いたら、メイド長にネルハを任せ、テラサ達白銀の光翼には俺からもボーナスを払い解散した後、俺は親父の屋敷に向かった。
屋敷に到着して、親父に今回の事を話し終わった後、俺はシャルルの頭突きを挨拶代わりに腹に喰らい、シャルルとしっかりと遊んだ。
翌日からは、またクリスと共に学園に通い、また楽しい学園生活を送る日々が始まった。
今日の授業が終わりクリスと一緒に迎えの馬車が居る広場に向かって歩いていた。
「ディーン様、お疲れ様でした。」
「知っているのか?」
「いえ、詳細は存じていません。ただ、領地の危機を救ったとしか聞いておりません。」
「そうか。領地の近くの森にちょっと対処が面倒臭いモンスターが居たから、討伐しただけだ。ただ、あの日を境に鍛練したのが、今回役立ったからクリスのお陰でもあるかな。」
「ディーン様……」
「そこのお嬢さん。」
俺とクリスがゆったりと会話しながら向かっていると、声を掛けられた。
どうやら、新入生みたいだな。
「そこのお嬢さん、初めまして。私はダーツマ伯爵家が嫡男タートと申します。是非、ボクと婚約してください。」
「申し訳ありません。私は、此方のディーン様と婚約しておりますから、その申し出はお断りします。」
既に周りには野次馬が出来ており、単純な見世物としてと、あのリーガル家の俺とクリスなだけに、この国で生きる貴族の令息令嬢として注目しているみたいだ。
「そんな……、いや! 貴女には、そんな男は似合わない。相応しくない! そんな男では、貴女の気品を貶めている。」
「……ダーツマ様。」
「いえ、ダーツマなどと呼ばず、貴女には、ボクの名前を呼ぶ時は親愛を込めて『タート』とお呼びください。」
クリスの魅力に気付くのは誉めてやるが、俺の名前を聞いても気付かないなんて……
家では素晴らしい教育を受けている様で、紹介して欲しいくらいだ。
どういう教育をしたら、現在、この学園に通う令息令嬢の中で「要注意人物」に該当する俺の名前を聞いて思い出さないんだ?
是非、教えて欲しい。
それと、俺だと気付いた専属侍女が必死になって止めているが奴は無視している。
「私は、此方の『ディーン=フォン=ルナフィリア』様の婚約者です。それ以外の方に軽々しく名前などでは呼べません。」
「では、この者との婚約を解消して、ボクと婚約すれば、呼んで頂けるのですね。」
「だから……」
「おい、貴様。」
「それは俺の事か?」
一応だが、馬鹿に対して身体を向けると、手袋が俺の身体に当たり足下に落ちた。
……おいおい。
この行為の意味を分かっているのか!
もう、筆頭侯爵家の俺でさえ、個人的意見が通らなくなるぞ。
「拾え!」
「……良いんだな?」
「ボクでさえ知らない新興貴族なんぞ、伯爵家嫡男であるボクには大した事じゃないな。」
「本当に良いんだな?」
「そんな簡単に見破れる見え透いた脅しに、ボクが引っ掛かる訳が無いだろう?」
「……ディーン様。」
「クリス、逃げる訳にはいかないんだ。」
「……分かりました。」
俺は、クリスの説得が済んだ後、最も引き返せない作法で手袋を投げ返した。
まあ、引き返せない作法とは、足下の手袋を1回以上踏む事なんだけどな。
そして、この世の終わりみたいな顔を、空気になっていた奴の専属侍女はしていた。
「……良い覚悟だな。褒美として、家族には類が行かない様に父様に進言してやろう。」
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




