2人共、お膳立てありがとうな。
掘れば出てくる悪行。
俺はセレスにスキルで動きを封じられた者達を、チートスキル「解析」で視る。
親父が、あの時に箝口令を引いた原因の1つだ。
スキル「鑑定」でさえ、王城には3人しか居ないからな。
それより上位の「解析」持ちが現れたら大事だ。
勿論、セットでチートスキル「隠蔽」も持っていたから表面上は問題無かったりする。
だから、俺の表向きのスキル欄は淋しいもんだ。
さて、結果は……
「なるほどな。魔石を使い、変形させていたのか。それに薬物投与もしているな。……そうか。出回っていた違法の麻薬は此処からか。」
チートスキル「解析」で対処方法を知った俺は、額と胸の魔石を破壊する。
すると、動きが止まった。
「セレス、解除しろ。」
「はい。」
セレスに解除を命令すると、直ぐに動きを封じていた氷は水になる事無く霧散した。
「……あ。」
そして、5人共に外見は人族に戻った。
序でに、回復魔法と異常回復の魔法を掛けておく。
「ブラグ。」
「はっ!」
俺の召喚で現れたブラグに命令した。
「この5人をダンジョンに送るから、5人には魔力封じを施した後、客室に。」
「御意。」
俺はブラグと共に5人をダンジョンに転移させた。
「さて。」
看守は、アリアに因って猿轡込みで簀巻きになっている。
他の牢屋からは、薬物投与により中毒になっている者達が居るが、便利な魔法で全員回復した。
そして、色々と聞いてみたら、全員がスラム街の孤児で、旨い話で裏が有るのは分かっていたが、餓死よりはマシと思って話に乗ったらこうなったと話してくれた。
俺は全員に聞いてみた。
この件が終了したら、自己責任で自由を得るか、裏切らず誠実に働くなら良い仕事先を用意してやる、と言ったら全員が働きたいと言ったので、6人全員に魔法誓約書にサインさせた。
因みに、自己責任の自由を選ぶと、もれなく事故死が待っていたのは内緒だ。
「我が主よ。」
「どうした、セレス。」
「どうやら、まだ地下が存在するであります。」
「……本当か?」
「はい、であります。」
「分かった。」
「ブラグ。」
「はっ!」
執事が大変なのは、こういう場面ではその都度、呼ばれる事だろうな。
「この6人の監視と保護を俺達が帰ってくるまで頼む。」
「畏まりました。」
セレスの嗅覚で見つけた牢屋からは死角の隠し通路を降ると、ドーム型の広い部屋には、千切れそうな鎖で四肢を拘束されたキメラが居た。
「……はあ。この件、絶対に侯爵以上が絡んでいるぞ。キメラの製造は国際法で禁じている上に、普通に忌み嫌う禁忌の邪法だ。」
「旦那様、どうされますか?」
「まあ、倒すしかないな。しかも、どうやら、実験に失敗した遺体を証拠隠滅を兼ねて食べさせていたみたいで、色々と状態異常になっている。」
「我が主。」
「先ずは、書類を整理する時間は無さそうだから、全て俺の異空間収納に放り込むぞ。」
「「はっ!」」
俺達は、キメラに注意しながら、部屋に有った研究資料等の書類を無差別に回収した。
そして……
バキン!
キメラを抑えていた鎖が千切れた。
「GaAAAーーー!」
「首から上は出来るだけ原型を残る様にしろ。」
「「はい!」」
薬物投与された遺体を食っていた為にステータスがバグっている上に状態異常を起こしているキメラは、思っていた以上に厄介だ。
戦闘が激しく続く中……
「セレス、後ろ右足だ!」
「はい、であります。」
「アリア、左の翼だ!」
「ああ!」
「我が主、今であります!」
「身体強化! 魔力強化! 雷属性付与!」
セレスにキメラの後ろ右足を凍結させ、アリアに左の翼を切り落とす事でバランスを崩させ、首回りに大きな隙が生まれた。
そして、機を待っていた俺は、この瞬間に放つ。
「喰らえ! 瞬煌雷刃!」
「GaAAAーーー……」
俺の突進からの雷属性を付与した刀で、キメラの首を居合で斬り落した。
しかし、まだ身体がスキルに追い付いてないから、キツいし、全力を出す為の準備が面倒臭いな。
「我が主、見事であります!」
「旦那様、見事です!」
「2人共、お膳立てありがとうな。」
……さて、キメラを異空間収納に仕舞い、忘れ物が無いかを確認した後、上に戻り、ブラグはダンジョンに帰り、6人と看守を連れて中庭に到着した。
そして、こういう時用に、話を通してある衛兵を呼ぶ。
因みに、セレス達は、俺の私兵で通した。
数時間後、リーガル侯爵家の執務室に無差別回収した書類を置き、親父に報告をした後、一緒に無差別回収した書類を精査した。
「……お、終わったな。」
「はい。終わりました、父上。」
外を見るとちょうど夜明けだった。
「ディーン、ご苦労であった。後はやっておくから部屋で休みなさい。学園とクリス嬢には私から連絡しておく。」
「いえ、大丈夫です。」
「……若さ、か。」
「いえ、疲労回復のポーションが有りますから。父上もどうぞ。」
「……頂こうか。」
2人で、エナドリを飲むかの様に喉を鳴らした後、風呂に行き、長湯してサッパリしたら、身嗜みを調え、いつもの様にクリスを迎えに行った。
最後に、牢屋に入れられていた6人は、この件が終わったら、俺の屋敷で下働きとして雇う予定だ。
秘密を知る者は、魔法誓約書で縛っていても側に置いておきたいからな。
その後、親父が王宮に行ってから1週間後に、3番目の王弟が突然病に罹り、治療空しく病死した。
……あの王弟、評判が悪かったけど、此処までだったとは。
王弟の病死が発表されて次の日の俺の屋敷では……
「「「「「「よろしくお願いいたします。」」」」」」
元気に挨拶をする6人の少女達が居た。
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。
因みにキメラは王城の方に引き渡しています。




