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この程度の雑魚相手に何をしている!

理不尽な急襲って嫌ですよね?

 護衛の冒険者達にクリスの安全と、(つい)でに班の連中の保護を言った後、俺は悲鳴のする方に向かった。


 すると、そこには未来の勇者セリオ達が居たが、オークに囲まれていて、セリオ1人が奮闘していた。


「この程度の雑魚相手に何をしている!」

「ディーン!」


 良く見ると、誰かは分からないが班の2人が、それなりの重傷を負っていて、ファナも重傷では無いが動けないみたいだな。

 ……偶然か、探索や探知が不充分とかで、結果として班の2人が重傷を負い、その隙に囲まれてしまったのだろう。

 (つい)でに言えば、セリオ達の担当の冒険者達は既に回復の必要は無い。


 ……手遅れだ。


「ふん! 烈風裂刃(エアロブレイド)。」

「Pugiiー……」


 俺は、風属性魔法を放ち、囲んでいたオーク3体の全てを魔法の一撃で倒した。


「……嘘!?」

「たった一撃で……」

「……相手は、オークだぞ!」

「……ディーン?」

「ファナ、情けないな。」

「な!」

「まあ、頭の中が花畑の貴様にはお似合いだな。」

「……」


 おおー。

 怒っているなー。

 しかしな、そんな程度じゃあ、魔王討伐なんて不可能だから、頑張って貰わないとな。


 ちょっと探索してみたが、この周辺にはモンスターは居ない様だから、俺は帰って良いよな?


「そのオークは好きにしろ。餞別代わりにくれてやる。」


 返事は、拒否と文句だろうから、無視して俺はクリスの下へと帰った。

 (つい)でに、重傷を負っている2人と序でにファナに、下級ポーションで治る所まで上級ポーションで治療しといた。

 まあ、ある種の嫌がらせだ。



「待たせて済まない、クリス。」


 クリスの下に戻った俺は、他を無視して駆け寄りクリスを抱き締めた。


「デ、ディーン様!?」

「……ダメ?」

「ダメです。」

「分かった……!?」


 何だ、この悪寒は!?

 俺は謎の悪寒に襲われ、ダンジョンマスターの力を使い、広い範囲で周辺を探った。


 ……マジか!?


 何で、王族や貴族が毎年利用する森に、Sランク直前のAランクモンスター「狂炎虎(パーサクフレイムタイガー)」が居るんだよ!

 しかも、此方に向かっているし!

 こんなの、ゲームには無かったぞ!


 ……避難は……間に合わないな。


 俺は、夜営の準備をしているクリス達に対して……


「全員、ちょっと集まってくれ。」


 俺が言った事で素直に集まった。


「白銀の光翼もだ。」


 そう言うと、白銀の光翼も俺の所に来た。


「……ちょっと待って!」

「……何、この気配は!?」


 流石はBランク冒険者チームだ。

 俺は話を続けた。


「凶悪なモンスターが、何故が此方に向かって来ている。そして、避難は間に合わない。」

「……そんな!」

「だから……」

「GAAAー!」

「もう来……ぐぅ……」

「ディーン様!」


 狂炎虎(パーサクフレイムタイガー)は、予想を越える移動速度で到着して、見事に俺に狙いを定め一撃を振るった。


 ……ヤバい。


 腹のこれは致命傷かもしれない。

 しかし、クリスを避難させなければ……


 俺は、気を失いそうになりながらも牽制の魔法を放ち、俺共々、クリス達を森の下の俺のダンジョンに転移した。



 ……頭の後ろが柔らかくて温かいな。


「……」

「ディーン様!」

「……クリス……ぎぃ……」

「ディーン様! まだ起き上がっていけません! 出来得る限りの治療をしましたが、それでも、私達では出血を止めるのが精一杯です。」

「分かった……」


 クリスの膝枕をされながら俺は周りを見ると、クリス以外の学生は1ヶ所に集まり、白銀の光翼は周辺の警戒をしていた。

 全員の安全を確認した所で、ダンジョンマスターの力で、この辺りにはダンジョンモンスターが来ない様にした。

 この程度の事なら思念を飛ばすだけで出来る。


「ディーン様、此処は何処でしょうか? 森の地下に洞窟が有るなんて聞いた事が無いのですが?」

「違うわ。此処は洞窟じゃない、ダンジョンよ!」

「「「「「なっ!」」」」」

「説明して頂けますね、ディーン様。」


 そう言ってきたのは白銀の光翼のリーダーのテラサだ。

 白銀の光翼も初めて出会った時は、まだFランクだったのだが、多方面から調査した結果、彼女達を支援する事にした。

 まあ、支援と言ってもCランク冒険者以上が使う宿屋の無料提供や、毎月頭に数量限定だが回復ポーションの提供や、武術や魔法指南の無料提供と、オーク5体までは入るマジックポーチを2つ貸したりした。

 後、マジックポーチを貸す関係で、我が侯爵家の紋章を持たせたお陰で、性的被害も含めて問題は起こっていない。


「ディーン様……」


 まあ、後で魔法誓約書を使えば良いか。


「話しても良いが、先ずは全員がこれに名前を記入してからになる。」


 俺は全員に、魔法誓約書を渡した。

 内容を簡単に言えば、「秘密厳守」だ。

 こういう事は必ず来ると思って用意していたのが役立った訳だが、正直に言えば来て欲しく無かったな。


 全員の記入が終わった所で、誓約書を回収して異空間収納に仕舞い、俺は自身の身体を治療した。


「……え!?」

「無詠唱!?」

「あの重傷が!?」

「……完全回復した!?」


 そして、わざと魔力を微量流して、ダンジョンマスターとしての能力であるダンジョン間の転移をした。


「……まさか!?」

「伝説の転移……」

「これが、魔法誓約書を出した理由だ。」

「ディーン様……」

「先ず1つ目。このダンジョンは、最近発見された。

 だが、諸々の理由から極秘事項となる。下手に漏らせば王族が動く事になるぞ。」

「……だから、魔法誓約書を?」

「そうだ。2つ目は、回復魔法だが、幼少の頃からの努力の結果だが、神殿に気付かれるのが嫌で黙っていた。」

「そうなのですね、ディーン様。」

「そうだよ、クリス。そして、3つ目のこの転移魔法も、極近距離しか出来ない。だから、この俺達がいる位置の頭上にはまだ居れば狂炎虎(パーサクフレイムタイガー)彷徨(うろつ)いている筈だ。」

「ディーン様。この後、どうされますか?」

「それは……」




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