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しかし、優しいな。

まあ、三男とはいえ、筆頭侯爵家なら、勝ち組ですよね。

 友人どころか、幼馴染み(異性としては認識していない)にさえ、物理的な接触は右手首より先だけで、とても綺麗な経歴の為、初日の特別給金は大金貨1枚になり、シルヴィアとはまた違う華が咲き乱れていて俺自身も楽しめて、とても美味しかったです。

 それに、「最初」だったから、甘々な内容にした。

 勿論、帰る時には洗浄(クリーン)でシミの無い綺麗な状態にして、避妊薬も飲んで貰って、大金貨1枚を渡した。


「アナスタシア、明日は完全休日にすると良い。話は通しておくから安心しろ。」

「ありがとうございます、ディーン様。」


 さて、明日から学園生活が再会されるが、まだ仕事が残っているんだよなぁ。


 その夜、俺は親父と我が家の暗部と一緒に、とある子爵家に居て事後処理をしていた。


「父上。残った処理は、あの母娘だけです。」

「ディーン。お前が判断しろ。」

「……はい。」


 俺は、処分する子爵家に捕らわれた母娘の前に立ち、尋ねる事にした。


「お前達を縛る鎖は全て断ち切った。何か、希望が有るのなら話せ。」

「……何も有りません。生きる事に疲れました。ただ、本当に希望を叶えてくださるのなら、娘と同じ場所に埋めてください。」

「それは、楽な方に『逃げる』為では無いのだな?」

「はい。」

「……あ、あぅ……」


 まともに喋れない娘は、俺の目を見て首を縦に振った。

 この母娘は、処分された子爵に因って拐われ、女としての生き地獄を味遭わされ、子爵が飽きた事で配下の欲望の捌け口にされ、最後は薬物の実験動物扱いを受けていた。

 まあ、この薬物が俺達を動かした原因だな。


「……分かった。苦痛無く眠る様に死ねる毒を与える。」

「ありがとうございます。」

「……あぅ……」

「覚悟を決めたのなら、これを飲め。」


 母娘は、あっさりと自分を殺す毒を飲んだ。


「直ぐに効果が表れる毒では無い。効果が表れるまでに、思い浮かべろ。楽しかった思い出を、嬉しかった想いを、幸せを感じていた日々を。」

「……ああ……」

「……あ、あぅ……」


 俺は、状態異常を回復する魔法を応用して、身体の痛みを消して、精神を鎮静化する魔法を暴走させた状態で掛けた。

 これにより、簡単に言えば、ドーパミンが過剰発生した状態になる。

 それに因って、良い記憶を思い出している状態だから、「満ち足りた幸せ」を感じたまま眠る事になる。


 ……そして、母娘の脈拍が停止した事を確認した。


 俺は暗部に命令して、母娘の遺体を故郷に運んで正式に埋葬する様に命令した。


「終わったな。」

「はい。」

「しかし、優しいな。」

「虐げられた弱者に、慈悲を与えるのは当然です。」

「確かにそうだが……」


 親父が視線を向けた先には、俺が担当した処理された屑野郎共が積まれていた。

 俺は内情を聞いた時から、怒りを内心でぐつぐつ、と煮込んでいたからな。

 屑野郎全員を、身体強化して袋叩きにして様々な拷問を掛け、精神系魔法で脳内に物理的にムカデが暴れる幻痛を与えた後、時間を掛けて激痛を与え続けながら殺す毒を効果を教えてから、無理矢理飲ませた。


「屑には拷問を、弱者には慈悲を、が、僕の考えです。」

「……そうか。」


 裏の仕事を終えた俺と親父は、暗部に残りを任せ帰宅したのだが、帰りの途中に逃げている少女を見た。

 逃げる行為は、誰かに助けを求める事も意味する。

 俺は親父に許可を貰い馬車から降りた。

 向こうも俺に気付いたみたいで、逃走先を俺に変更した。


「助けてください!」


 そして、追跡者も追い付いた。


「貴族の子息様、その娘を渡して頂けないでしょうか?」

「理由を話せ。」


 聞いた理由は、単純だった。

 この娘の父親が、賭博で借金を作り、借金の返済に1人娘を売ったのだ。

 そして、娘は隙を突いて逃げた……と、いう訳だ。

 因みに、母親は既に亡くなっているらしい。


「本当か?」

「……はい。」 


 娘にも聞いたが事実の様だ。


「父親がまだ大切か?」

「いいえ!」

「分かった。おい!」

「何でしょうか?」

「借金は、本人に返させろ。」

「……しかし……」

「まだ文句があるのなら、リーガル家に来い!」


 俺は娘と一緒に馬車に乗るが親父は何も言わなかった。



 屋敷に帰った俺は、とりあえず娘には、手続きを済ました後、屋敷の下働きとして雇う事にした。

 娘の名前は、イネスだ。


 ……まあ、優秀なら将来の手駒にしよう。


 翌日、馬車に乗ってクリスを迎えに行き、楽しく一緒に学園に向かった。


 学園の授業が終わり、クリスを家に送った後、我が屋敷に帰ると、来客が居ると聞いて応接室に行くと、出来る商人みたいな男が1人居た。


「父上。」

「この男は、昨夜の者の責任者だ。」

「昨夜は、下の者が失礼いたしました。」

「……それで?」

「昨夜、下の者から報告を聞き、ご迷惑をお掛けした貴族様が、『あの』リーガル家だと分かり、慌てて謝罪に参りました。」

「そうか。それで、『あの』とはどういう意味だ?」

「はい。私共の間では、リーガル家は、王国一の『綺麗好き』だと認識しております。」

「確かに、リーガル家は、王国一の『綺麗好き』を自負しているな。」

「ですから、私共は仕事上、どうしても汚れてしまいますので、御理解を頂けたら、と。」

「……分かった。今後は、本人に責任を取らせろ。」

「勿論です。」

「後、その結果、今回の様に生きる事すら難しい者が居たら、連れて来い。話の内容に因っては面倒を見てやる。」

「リーガル家の深い慈悲に感謝します。」

「それと、分かっていると思うが、連れて来る者を『汚す』なよ?」

「……は、はい。」


 釘刺しの意味も込めて、殺意込みの威圧を放つ。


「それと……」



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