まあ、貴族の常識に照らし合わせると遅い方ね
シャルルの将来が決まりました。
最後にアリサの処置だが、クリスには話せる部分だけを話して協力して貰い、リリスが催眠状態にして消すべき記憶を消去して、俺の魔法で綺麗な身体にした。
勿論、アリサの身体に残っていた毒(麻薬)も消した。
あの微かに残っていた甘い匂いは、その毒(麻薬)の花の匂いだった。
これは、アリサの「華」の時の記憶があやふやで朧気だから出来た事だ。
催眠状態が解ける直前に、アリサは俺に向かって涙を一滴流しながらお礼を言った。
アリサには、クリスの王都での生活を聞きたいと言って呼んだのだが、アリサの中の何かが「華」を認識していたのかもしれないな。
アリサ自身は、何故泣きながらお礼を言ったのか分からないみたいだったが、俺が適当な事を言って誤魔化した。
これで、アリサの件は片付いたな。
あれから1ヶ月後に、青天の霹靂な報告を両親からの手紙に書かれていた。
それは「シャルルの婚約者候補が決まった」と。
「え!?」
「どうしました、ディーン様?」
俺は喋る気力もなく、手紙をクリスに渡した。
更に、クリス以外の婚約者達が居た為に、全員がクリスから受け取り手紙を読んだ。
「まあ、貴族の常識と照らし合わせると遅い方ね」
「……」
俺はクリス達に慰められた後、セキュリアの所に行った。
手紙には、シャルルの婚約者候補達のプロフィールも同梱されていたからだ。
今時のゲームなら、人気さえ有れば、「シーズン2」とか「番外編」とか「スピンオフ」を作るからな。
俺には、そこら辺の知識は無いがセキュリアなら……
「私が知る名前は無いわね」
「つまり?」
「私が知る限り、アレ以外のシーズン2とか番外編とかスピンオフとかは出てないから大丈夫な筈よ」
「分かった。ありがとう」
「どういたしまして。それで臨時収入は?」
俺は白い硬貨をセキュリアに投げ渡した。
「出し過ぎよ!」
「気にするな」
「……分かったわよ」
その後、俺とクリスが王都に行く事になった。
まあ、たまには良いよな。
俺は久し振りのクリスとの2人きりの時間を過ごした。
……リン達侍女組はどうしたって?
空気を読んで当たり前の様に馬車の外の座る場所に移動している。
7日後に王都に着き、親父達の屋敷に到着した。
「父上!」
「分かっている。シャルルの婚約者候補達だろう?」
親父に何故、シャルルの婚約者候補を用意したのか問い質すと、親父が言った。
「シャルルの貴族令嬢としての体面を守る為だ」
……まあ、そうだよなぁ。
嫌われ者のリーガル家だが、それでもシャルルは筆頭侯爵家の唯一の「令嬢」だ。
そのシャルルに、婚約者候補すら居ないとなれば周りからは、シャルルに何か欠陥が有ると思われてしまう。
「分かりました。しかし、俺自身も候補達を審査します」
「分かっている。好きにしろ」
……婚約者候補のリストがランキング形式で書かれているが、どうやら家格とかで総合的な判断で決められているみたいで、最下位の11番目が一番シャルルに相応しい。
早速、俺自身でも調べてみたが、やはり最下位の「テェリエーラ公爵」のシャルルから見て七歳年上の三男「エドマール=グラス=テェリエーラ」が一推しだな。
甘えん坊のシャルルには、これくらいは年上の方が良いだろうと思う。
さて、三男とはいえ、公爵家の令息が何故フリーだったかと言うと、1年前に彼の婚約者が事故死したからだ。
つまり、今まで喪に服していた訳だ。
そして、このエドマールは文官として優秀で、将来は宰相候補らしく、リデシャリス王国での引き続きの担当者として来た。
引き続きの手続き等で話していたが、実に好感の持てる青年だったし、プライベートも調べたが全く問題が無い。
彼ならシャルルを任せられる。
これなら、後は本人達次第だな。
……デキレースに近いお見合いパーティーを開いたが、シャルルもエドマールを気に入ったみたいだ。
因みに、出逢いの切っ掛けは、パーティーに参加した婚約者候補の1人が屑で、見事にエドマールの引き立て役を演じてくれたからだ。
伯爵家三男のクセに身の程を弁えなかったから、お礼に3週間掛けて家を潰してやったわ!
良くもまあ、伯爵家三男程度如きが、筆頭侯爵家の唯一の令嬢のシャルルに向かって、「この年まで婚約者が居ない欠陥品」と言えたな。
その蛮勇に相応しい最期を迎えさせたわ!
あのシャルルを庇い守る姿は、充分にシャルルから興味と好意を持たせる結果となった。
蛇足だが、エドマールは文官だが、戦闘力は冒険者ランクで言うと「A」だ。
エドマールの元婚約者が自分を守りながら戦える強い男が好きだった為に、平行して身体も鍛えていたらしい。
さて。
晴れて、あのパーティーから1ヶ月後に、シャルルとエドマールとの婚約が正式に成立した。
「ディーンお兄様、行って来ます」
「それでは、シャルル嬢をお借りします」
「行ってらっしゃい」
今日も、天使なシャルルは、エドマールとのデートに向かって元気に出掛けた。
勿論、エドマールのお迎え付きだ。
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




