……表向きは、な。
お金が有れば、自分ならこれくらいはします。
モンスター討伐の報酬と素材の代金を受け取った俺達は、絶望している馬鹿達を無視して冒険者ギルドを出たのだった。
領主館に帰った後、約束通りに皆にお金を分配して解散となり、俺は着替えた後、ソフィアの入れた紅茶を飲んだ。
「……美味しいよ、ソフィア」
「お粗末様」
「クリス様、実家からお手紙を預かっています」
「分かったわ。ディーン様」
「うん。行っておいで」
「失礼します」
クリスの専属侍女であるアリサが、俺達の前で言ったんだから、実家関係のプライベートな内容の可能性がある。
だから、クリスは自室に向かった。
……しかし、またアリサから独特の甘い匂いが微かにした。
因みにクリスは、月に2週間は王都に行っている。
クリスは、筆頭侯爵家の次期正室の為に、お袋から色々と学ばないといけないからだ。
普通なら、王都に入り浸りになるのだが、俺から離れたくないから都市リーガルに帰ってきている。
勿論、護衛は白銀の光翼に、人化(女型)したダンジョンモンスターを充分、いや過剰に準備している。
防御、結界、気配察知に魔力察知に、異常耐性に、治癒系にと、クリスを守る為の布陣は完璧だ。
当然、防御系ばかりだが、素の戦闘力は最低でもBランクまで上げている。
親父には、「何処かの大国の王妃の待遇だな。」と言われたが、これでもクリスに言われて減らしたんだぞ!
そして、途中で休む場所も俺が用意したダンジョン化した屋敷で、何か有れば直ぐに駆け付ける事が出来るし、地下のダンジョンに逃げ込む事も出来る。
そんなある日に、緊急の報せが入った。
内容は、都市リーガルに向けてモンスターの大群が押し寄せている、と。
しかも、夜も移動していたのか、発見が遅れて非戦闘員、つまりは一般人を避難する時間が無い、と。
俺は、都市リーガルの領主代行として、また筆頭侯爵家次期後継者として陣頭指揮を取り、防衛戦を構築し、周辺の町や都市への連絡等をした。
正直、避難は現実的では無い。
はぐれたモンスターに狙われる可能性も有るからだ。
それに、避難する一般人に戦力を渡す余裕は無い。
……表向きは、な。
さて、自然発生したスタンピード擬きなのか、裏で誰かが糸を引く侵略なのかは分からないが、俺の次期後継者としての名声を上げるのに利用させて貰おうか。
都市防衛の最終ラインは、衛兵と自警団に任せ、攻勢ラインは冒険者に任した。
冒険者ギルドside
その冒険者ギルド前では……
「この都市リーガルの危機によく集まってくれた。聞いていると思うが、今、この都市にモンスターの大群が押し寄せている。
冒険者ギルドはこういう時には、命を張る事になっているが、此処に居るという事は覚悟は出来ているな?」
「「「「「「「「「「おう!!!」」」」」」」」」」
「頼もしい返事だ。そして、この都市はあのリーガル家が領主様だから報酬は規格外だ。だから期待して良いぞ!」
「「「「「「「「「「おおー!!!」」」」」」」」」」
「1人辺りの報酬は通常の3倍以上の金貨50枚だ。そして、万が一に怪我をして冒険者を辞める事になっても、仕事の斡旋をしてくれるし、最悪死んだとしても、残った家族の生活は保障してくれるぞ!」
「「「「「「「「「「おおー!!!」」」」」」」」」」
「更に、防衛戦終了して翌日から3日間は、冒険者カードを見せれば、食堂とかの飲み食いは全て領主様の奢りだ!
都市リーガルの高い酒や高い飯を全部空にしてしまえ!」
「「「「「「「「「「……マジ!?」」」」」」」」」」
「ああ!」
「「「「「「「「「「おおー!!!」」」」」」」」」」
「さあ! 冒険者の義務を果たし、大金を手にし、腹一杯に飲み食いしてくれ!」
「「「「「「「「「「おおー!!!」」」」」」」」」」
ディーンside
「ディーン様」
「クリス、どうした?」
「あんなに大盤振る舞いをして大丈夫ですか?」
「問題無いよ。ルミナスシリーズで稼いでいるからな」
「分かりました。それで大丈夫ですか?」
「ああ、全く心配無いぞ。だから、戦勝パーティーの内容を考えていて欲しい」
「分かったわ、ディーン様」
そして、俺とクリスはお互いに見つめあいキスを……
翌日には、偵察に行っていた冒険者からの報告が、俺の所にも来て内容を確認する。
「……スタンピードと変わらないな」
「そうですね、ディーン様」
「リン。他の皆も日頃の鍛練を充分に発揮しろ」
「「「「「「はい!」」」」」」
「勿論、死ぬ事は許さん! 死の危険が有る場合は撤退する事。これは命令だ。良いな?」
「「「「「「はい!」」」」」」
都市リーガルから3km地点に冒険者の陣営を設置し、モンスターの大群からスタンピードに名称を変えた。
勿論、バリゲートや堀も準備済みだ。
翌日、1km先に地響きを轟かせながらスタンピードの先頭が見えた!
……俺は、Aランク冒険者エドガーとして、先頭の最前線に陣取っている。
当然、士気を上げる為と、特攻してスタンピードの陣営を崩して、後方に居る強力なモンスターを討伐する為と、黒幕が居た場合はそいつを処理する為だ。
もし、黒幕が四天王だとしても残りの四天王は1匹だ。
その残り1匹ぐらいは、俺が頂いても別に問題無い筈だ。
いくら何でも、引き継ぐ領地の安全までもセリオ達勇者御一行に任せる気は無いしな。
さて、始めるか。
「俺達が、特攻して向こうの陣営を崩す。その後は好きにするが良い。勝利の美酒は生き残った者のみが飲む事が出来る!」
「「「「「「「「「「おおー!!!」」」」」」」」」」
「勝利した後の美女の抱擁は、領主代行様の婚約者方が怖いらしくて無いらしいが、その分は高い酒や高い飯で我慢してくれ」
「「「「「「「「「あははは!!!」」」」」」」」」
「さあ、暴れようぜ!」
「「「「「「「「「「おう!!!」」」」」」」」」」
そして、俺達はある程度、離れて特攻した。
「ギッ……」
「ガァ……」
「ゲッ……」
そして、武器で、魔法で、正面左右のモンスターを一撃で仕留めながらスタンピードの後方を目指す。
報告から、モンスターは最低がゴブリンで、確認出来た最強がワイバーンらしい。
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