俺が勝ったら?
1カットだけ見て判断するのは危険です。
将来に期待出来る兄妹を雇ってから、5日後に都市リーガルに帰る事になった。
その道中に……
「ディーン様! 西南からモンスターの群れが此方に向かって来ています」
「分かった。俺達と白銀の光翼で対応する。女性騎士団は、漏れたモンスターの対処だ」
「「「「「はい!」」」」」
馬車に乗る人物が大勢な為に、護衛の数もその分増える。
……30分後に終了した。
「お疲れ。モンスターの買い取り金は皆で分けるからな」
「「「「「やったー!」」」」」
俺は馬車の中に戻ると、クリスとソフィアが笑っていた。
「何故、笑っている?」
「いえ。ディーン様が可愛いので」
「はい。ディーン君は可愛いです」
「……?」
「だって、あの群れの強力なモンスターはディーン様が率先して倒して、リン達に万が一が起きない様にしていましたから」
「……偶然だ」
「はい。ディーン君は、偶然、強力なモンスターを倒しただけです。ねー」
「ねー」
「ふん!」
途中、軽い運動をしながら7泊8日後に都市リーガルの領主館に到着した。
俺とリン達は冒険者ギルドに行き、途中で討伐したモンスターの群れを換金する事にした。
冒険者ギルドに入ると、受付嬢の所に行き、大量のモンスターの換金を伝えた。
「……か、畏まりました。では、地下の解体場にご案内いたします」
どうやら、この受付嬢は新人みたいで、俺達を知らないみたいだ。
念のために、チーフに目線を送る。
地下の解体場に着くと、受付嬢が言った。
「此方にモンスターを置いてください」
「分かった」
俺は、マジックバッグから出す様に見せ掛けて異空間収納から討伐したモンスターを全て出した。
「な、な、な……」
「どうした?」
「こんなに大量のモンスターを貴方達だけで?」
「いや、白銀の光翼と一緒だ」
「あの白銀の光翼と!」
この辺りから、受付嬢は親の仇みたいな態度と表情になっている。
「それなら、何故、彼女達が居ないのですか!」
「俺が行くのなら必要無いからな」
「貴方、何者です?」
「そこまでよ」
「チーフ!」
「失礼いたしました。まだ新人故の事。エドガー様、どうかお許しください」
「分かった。では、1階で待っている」
「はい、畏まりました」
「チーフ?」
1階で待つ事15分後に、説明を受けた新人受付嬢は、俺に土下座して謝罪した。
それはもう青い顔と震えた身体で……
「新人故のミスだ。許す」
「ありがとうございます!」
因みに、周りには俺が「誰」なのか知っている冒険者達だけだった為に、新人受付嬢は温かい目で見られていた。
しかし、運命は「お笑い」も好きなのか、新人受付嬢が「ありがとうございます!」と言った言葉だけを聞いていた人物達が居た。
……ちょうど、冒険者ギルドに入った瞬間に、聞こえた「ありがとうございます!」に、偉そうに座っている「俺」に、後ろに侍る美少女達(リン達)に、ガタガタ震えて土下座しているギルドの受付嬢という構図になっている。
誰かが、近付いてくるな。
「おい!」
「……」
「聞こえているのか!」
「俺の事か?」
「そうだ!」
「何か用か?」
「君は、受付嬢に何をさせているんだ!」
「いや、な。実は……」
きちんと説明しようとすると被せてきた。
「どうせ、無理難題や脅迫でもしたのだろう!」
「は?」
何処かの誰かが、そう言うと静かに受付嬢に近付いて優しく言った。
「もう大丈夫だからね。」
「え!? いや……」
「こんなに震えて青い顔をして。怖かったんだろ? もう大丈夫だ、僕が守るから」
綺麗で王道な英雄譚の一幕みたいなシーンだなと思って見ていると、何処かの誰かが立ち上がり俺を睨み言った。
「君は、受付嬢に謝罪すべきだ」
「何故?」
「受付嬢が、あんなに震えて青い顔をしていたんだ。そんなのは当然だろう」
「断る」
「……そうか。それなら、僕と決闘だ!」
「はい!?」
「僕が勝ったら、彼女に謝罪しろ!」
「俺が勝ったら?」
「僕が勝つから必要無い!」
「話にならんな」
「待て! 決闘から逃げるつもりか、卑怯者!」
「……分かった。その決闘を受けてやる。但し、お前が負けたら金貨100枚を出せ」
「分かった」
「ちょっと待って!」
此処で空気だった仲間らしき連中が「待った」を掛けた。
「大丈夫だ。僕が勝つのだから心配ないよ」
「勿論、ギョグの強さは信じているわ」
「だったら心配無いだろ?」
「でも……」
「大丈夫だ」
「……分かったわ」
ちょっと待ってコールをした女は、雌の顔をしながら引き下がったよ。
……都市リーガルを拠点にしている冒険者が未だに増えていると報告は受けていたけど、冒険者なら情報収集しろよな!
それに、俺に特徴は無くても、リン達という目立つ特徴が有るだろうが!
「待たせたね」
「……はぁ。練武場に行こうか」
「覚悟が決まったみたいだね」
精神的に疲れたから省略するが、あれから40分後には、金貨100枚の借用書を書いているボロクソになった馬鹿が俺の前に居る。
……あの「卑怯者」という言葉さえ無かったら、此処までする必要は無かったんだがなぁ。
今回は、逆に俺が筆頭侯爵家の次期後継者だと知っている連中しか居ないのが、目の前の馬鹿が不幸になった原因だな。
それと、一部始終を見ていた新人受付嬢は、自分も同じ事になっていたかもしれない「if」を見て青褪めていた。
「エドガー様、査定が終了しました」
「分かった」
俺は借用書を仕舞うと、チーフが待つカウンターに向かったのだった。
蛇足だが、馬鹿達は真面目にやっているみたいで、確実に借金を返しているらしいが、あの時に雌の顔をした女は恋が冷めたみたいで、あれ以降は只のチームメンバーとして馬鹿と接しているらしい。
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