いや、最近行ってないから。
気分転換は必要です。
幻の花を見たクリス達は紅潮した笑顔のまま「ありがとう」と言ってくれた日から、40日が経っていた。
そして、今日は我が領地の屋敷に新しい住民が増えた。
アリシエル=マリナ=リデシャリス王女殿下だ!
……そうだよなぁ。
今、王族の中にアリシエル王女と釣り合う相手が居ない以上は、それ以外の公爵家から始まる貴族との婚姻となるよなぁ。
そして、婚約者が多数居る以外の全ての条件が整っているのは俺しか居ない訳だ。
……何故、気付かなかったんだ?
「今日から、よろしくお願いいたします、ディーン様」
「……よろしく」
「やはり、御不満ですか?」
「いや。そういう事じゃないから、安心して欲しい」
「アリシエル王女、長旅や式で疲れたでしょう。部屋を用意しておりますので、疲れを癒してください」
「ディーン様」
「何か、アリシエル王女」
「確かに、私は王女ですが、既にディーン様と婚約披露宴が済んだ正式な婚約者です。もう私に敬語は要りません」
「……そうだったな」
「ですから、私の事は、今後は愛称の『アリー』と呼んでください」
「分かった、アリー」
この後、アリーは笑顔で自身に用意された部屋に専属侍女ケレスと向かった。
因みに、アリーが俺を選んだ理由は、「一目惚れ」で、密かに父親であるリデシャリス国王と交渉していたみたいだ。
……俺やリーガル家の悪名を知っていたのにも関わらずだから、ある意味アリーはゲテモノ好きとも言える。
その日の深夜、ダンジョンでは自身の「華」を咲かす女達が矯声を上げていた。
「あん……あぁああーーー……」
「ひぃいやぁああぁあーーー……」
「もう……イ……あぁああーーー……」
「りゃめぇーーー……」
……いや、最近行ってないから。
翌日
俺は、軽い変装をして領地を散策していた。
自慢になるが、今、王国内の全ての領地でスラム街が無いのはリーガル家の領地だけだ。
だから、治安もトップクラスだ。
しかも、下水道も完成して更に移住者が増えるだろう。
王都に居る両親も鼻が高くなっている。
そして、俺が雇った体でダンジョンモンスターによる自警団を編成した。
元々居た都市の衛兵には、説明してあるから衝突の心配は無い上に、仮に、この都市にマフィア的なやつらが来ても自警団には脅迫や泣き落としに、賄賂も通じない。
直ぐに、俺の耳に届き、衛兵を派遣してお縄だ。
美味しい所は、衛兵にあげているから衛兵からの不満の声は上がって来ない。
それでも、チンピラ達が起こす問題が発生するから、善政をしている人達(管理者)は頭痛が絶えないだろう。
こんな風に、な。
「きゃあーーー! ヒッタクリよー!」
新しい外壁が完成して、次々に新しい住民が増える所為か、こういうのが絶えないんだよな。
「はあ……」
「ぐはぁ……」
マヌケにも俺に向かって来たから潰した。
ゴールデンなボールを!
「ありがとうございます!」
「大した事じゃない」
「是非、お礼をさせてください」
「いや……」
「お願いします!」
「……分かった」
適当な喫茶店に行き、彼女の希望で個室に移動した。
「改めて、ありがとうございます」
「さっきも言ったが大した事じゃない」
「いえ。今、このバッグには全財産が入っていたので、もし失えば、私は身体を売るしかありませんでした」
「1つ、聞いても?」
「はい、どうぞ」
「また何故、全財産が?」
「今日は、この都市の商業ギルドに行って、店を開く為の申請をする予定だったのです。その後は不動産等を廻る予定ですし、それに店が完成するまでの、宿も取る必要があったのです」
「なるほどな。因みに、店は何をするんだ?」
「弁当屋です」
「弁当屋?」
「はい。この都市は未だに発展途上な上にダンジョンまであります。充分に需要が予想出来ます」
「確かに」
「それに、私、料理が好きで、食べた人が『美味しかったよ』と言って貰うのが生き甲斐で夢なんです」
「そうか。なら、その夢を叶える為に協力するよ。商業ギルドとかに廻るんだろ。一緒に行ってやる」
「そんな……」
「1人で行かせて、数日後に身体を売っている姿を見たくないしな」
「……分かりました。お願いします」
「ああ……そういや、自己紹介をしていなかったな」
「そうでした! 私は『マリーナ』です」
「エドガーだ」
「では大変心苦しいですが、今日1日お願いします」
「ああ」
この後、軽食を済ませ支払いは俺が出して、商業ギルドに向かった。
まあ、正直、海千山千の商業ギルドには行きたくなかったが、仕方ないか。
……疲れるんだよな。
今回は俺がメインじゃないしな。
まあ、いいか。
一期一会、だな。
「都市リーガルの商業ギルドにようこそ」
「初めまして。本日は、この都市リーガルで店を開く為に来ました」
「承知しました。それでは、お話をお伺いしますので、個室への移動をお願いいたします」
「はい」
個室に移動してからの話し合いは割愛するが、マリーナは頑張ったと言える。
紹介状無しの飛び込みでは考えられない優良物件を押さえたからな。
彼女は充分に夢を叶える為の準備をしてきたと言える。
さて、後は店が完成するまでの宿屋だが、そこは俺が案内する事にした。
こういう事も有ろうかと、準備していた宿屋が有る。
夢を夢としか語らない夢想家では無く、きちんと夢を実現する為の努力と準備をしてきた人の応援する為に幾つか用意した宿屋だ。
勿論、宿屋側は人化したダンジョンモンスターだ。
これで、宿屋の住民に安全を内緒で保障している。
後、多少の危機感は必要だから、地上げ屋みたいな連中は放置している。
そうしないと、都市リーガルの住民が「温室の花」状態になるからだ。
「ありがとうございます」
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




