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プロローグ

自分なりのダークヒーロー物が書きたくなったのでやってみました。

可能な限りは自重無しでやりたいと思っていますし、上手く表現出来たならなぁと思って頑張ります。

もし宜しければ、読んで頂けたなら幸いです。

 ???side


「貴様の悪行も、これで最後だ!」

「ふん。平民と言う名の虫共を潰して何が悪い。」

「虫じゃない! 1人1人生きている人間だ!」

「貴き血を持つ我ら貴族と、虫共を同列にするな!」

「……もういい! 貴様が何を言おうが此処で終わりだ!」

「虫が幾ら集まろうとも無駄だと教えてやろう。」

「覚悟、ディーン=フォン=リーガル!」



 ???side


 ……可笑(おか)しい。

 いつも痛い筈の背中が痛くない。

 そして、暖かい。


「はっ! 此処は?」

「ディーン様! お目覚めになられたのですね。」

「……誰だ?」

「ディーン様?」

「……うっ。」


 ……そうだ!

 僕の名前は、ディーン。

 インペリアル王国の三大侯爵筆頭のリーガル家の三男で……

 待て!

 僕、いや、俺は聖煌輝(ひじりこうき)で……

 それなら、この記憶は何だ?

 ……リーガル家のディーン。

 何処かで聞いた事がある。

 ……何処で……


「……ぐぅ!」

「ディーン様、大丈夫ですか?」

「がぁあああ……」


 ……そんな!……まさか!!


「直ぐに医者を……」

「待て!」

「しかし!」

「大丈夫だ。」

「……分かりました。」

「少し記憶があやふやで、確かめたい。」

「分かりました、ディーン様。」

「今日は何月何日何時(いつ)だ?」

「ジオス暦108年の7月20日の午後3時過ぎです。」

「所属する国の名前は?」

「インペリアル王国です。」

「俺の名前と年は?」

「ディーン=フォン=リーガル様で、御年11歳です。」

「家の立場は?」

「インペリアル王国の三大侯爵家の筆頭です。」

「現在のリーガル家の当主の名前は?」

「カーディフ様です。」

「お前の立場と名前は?」

「ディーン様の専属侍女シルビィアです。」

「俺の婚約者の名前は?」

「キュリアス伯爵家の次女クリスティーナ様です。」

「現時点での皇太子は誰だ?」

「カッシェス皇太子殿下です。」

「間近にある行事は?」

「1ヶ月後に、嫡男のアーロン様の次期後継者の襲名パーティーが控えています。」

「今、居る場所は?」

「カーディフ様が領主として治められている都市リーガルの屋敷です。」

「……そうか。シルビィア、喉が渇いた。」

「直ぐに、紅茶を御用意いたします。」


 俺は思い出した。

 そして、この世界は、前世の俺が夢中になっていたゲーム「カオスサーガ・ファンタジー」に酷似している。

 立場や設定に、固有名称が全て一致している。

 俺もゲームの登場人物と同じ名前と設定だ。

 しかし、そうだとした場合は、由々しき事になる。

 あのゲームはマルチエンディングだが「ディーン」は、全てのルートで処刑か暗殺されていた。

 まあ、良くある話で、神々から祝福されたと言わんばかりの才能に溺れて傲慢に振る舞っていて、ゲーム内では正に暴君キャラだ。

 正直、シナリオでの学園の日常パートは男女の役が逆転しているが乙女ゲームと変わらない。

 悪役令嬢ならぬ悪役令息な訳だ。



 ……誰が処刑なんてされてたまるか!



 折角の特権階級だ。

 好き勝手に生きてやる!

 それに、誰が渡すか!

 俺の最推しのクリスティーナは、誰にも渡さない!

 更に、今居る場所が領主館なら、アレが有る筈だ。

 アーロンの襲名パーティーまで、まだ1ヶ月有るのだからまだ間に合う。

 そして、俺が前世を思い出した理由は、アーロンが俺を階段に突き飛ばしたからだ。


 ……もう、前世の様に裏切られ搾取されるだけの人生なんてゴメンだ。


 敵は蹴散らし従わせ、従わないなら消す。

 そして、もう居ないが、前世での幼馴染みに手を差しのべて貰った様に、助けたいと思う者は助け、手厚く保護してやろう。

 偽善?

 独善?

 知ったことか!


 それに、この世界は「剣と魔法の世界」でもあるから、権力だけではなく、戦闘でも強くならないといけない。


 だから、直ぐにでもあの場所に行かないといけないな。

 そう結論を出すと、紅茶の準備が出来た様だ。


「ディーン様、お待たせしました。」


 シルビィアの淹れた紅茶で喉の渇きを癒し味を楽しんだ後、動く事を決めた。


「シルビィア、俺は(しばら)く休む。シルビィアも休むと良い。」

「畏まりました。失礼します。」


 シルビィアが退室して充分な時間が過ぎた頃、俺は行動を開始した。

 部屋の暖炉の内側に埋め込められている魔石に魔力を流し、隠し扉を開ける。

 コレは、緊急避難用に設置されたものだ。


 俺は、隠し扉を通り屋敷の地下に出ると、1階に上がる階段脇に家族しか知らない場所にある魔石に魔力を流して、地下下水道に繋がる隠し扉を開ける。

 俺は地下下水道に到着すると、前世のゲームと同じである事を願いながら進むと、目的地に到着した。

 一見すると行き止まりの様だが違う。

 床の一部が脆くなっていて、蹴ると崩れ、底が見えない空洞が現れる。


 俺は躊躇(ちゅうちょ)する事無く、その空洞に飛び込むと、結構長い浮遊感の(のち)、高い身体能力で着地すると、とある個室の扉の前に到着する。

 此処は、都市の地下に存在する忘れられたダンジョンで、俺が居る場所はダンジョンの心臓部で、ダンジョン・コアが黒紫の(にぶ)い光を放っていた。

 俺に記憶が無い以上は、死んだ後にでも公式回答が出たのかもしれないな。

 だから、何故、直接ダンジョン・コアが存在する場所に到着するのかは知らん。


 さて。

 何故、俺が此処に来たのかは、このダンジョンを俺のモノにする為で、万が一にも失敗した時の避難場所としても使う為だ。


 ゲームの中の俺が此処を見付けたのは、21歳の時に悪事が露見されて逃亡する事になり、地下下水道に逃げ込み彷徨(さまよ)った挙げ句、偶然にも辿り着いたのだ。

 そして、精神的に追い詰められていた所為(せい)も有るだろうが、間抜けにもダンジョン・マスターになったにも関わらず俺は悦に(はい)り、何も準備もしていない間にダンジョンに攻め込まれ捕縛された。


 そして、処刑……


 ふん!

 この世界があのゲームに酷似しようとも、今の俺にとっては現実だ。

 ゲームのストーリー?

 知った事か!


 先ずは、ダンジョン・マスターになって、防衛機能を構築しよう。

 そう判断した俺は、黒紫に鈍く光るダンジョン・コアに触れた途端に俺の頭の中にダンジョン・マスターに必要な情報が大量に流れて来た。


 そして、俺はダンジョンマスターになった。


 ……なるほど。

 長年放置されていたお陰で、ダンジョンを言わば運営する為の「力」である「DP(ダンジョン・ポイント)」が、大量に貯まっているな。

 それにダンジョン・コアには、コミュニケーション機能は無く、ダンジョン・マスターの命令に従うだけみたいだな。


 それなら……



暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。

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