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ひなまつり  作者: はゆ
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海水浴

 七月二十三日。午前四時。

 同級生と――憧れの一条さんと遊べることが、楽しみ過ぎて寝られへん。目がギンギンに冴えとって、眠れる気せぇへん。絶対寝坊できへんさかい、弁当作って時間潰すことにした。


momo(モモ)、ツレ何人連れてくるんやろ? こないな時間に聞かれへんさかい、多めに作っとけばええか)


 ――この調子で作り続けたら、食べきれへんなってまう。現地で買う楽しみ、あれへんくなるのもあかん。時間潰し、ぼちぼち(しま)いにせぇへんといけへん。


  * * *( )


 午前八時。那古野(なごや)駅へ到着。待ち合わせ時刻は、一時間後。

 茉莉(まつり)は、一条(いちじょう)さんに知り合いと伝えた人らが、どないな人か知らへん。もしも変な人やったら、断りの連絡せなあかんさかい、余裕を持って、はよ来た。


 既に緊張と不安で落ち着かん――緊張で口が乾くたび、水筒のお茶を流しこむ。


  * * *( )


 午前八時五十分。待ち合わせ時刻の十分前。

 男性三人組が近付いてくる。

 茉莉(まつり)は、momo(モモ)の顔を知らへん。

(待っとる相手、あの子らやろか? うちに手を振っとるし、多分そうやんな)

「今日はよろしゅう(たの)んます。momo(モモ)さんは……」

 カメラ持っとる子が手を挙げる。

()うとって良かった)


 momo(モモ)に耳打ちする。

「うちが配信してること、黙っといてください。配信に利用するため、呼んだと思われたない」


 すぐに耳打ちし返される。

「おっぱいぼいんぼいんまつりを、生で見たいです」

(見るだけで満足するか怪しい。そやけど、呼んだのうちやし、そんときは、しゃあないと諦めるしかないな。一条(いちじょう)さんに、変に思われんかったらええわ)

 下手に見るだけでええか確認して、他のことも出来ると解釈されてしもたら、本末転倒。

「恥ずかしいさかい、誰もいひんとこでかめへん?」

「もち! 海に着いたら、買い物名目で移動しましょう」


 近付いてくる一条(いちじょう)さんが視界に入る。

(もう来てしもた……同行者がどないな人か掴めてへんけど、しゃあない)

「こっちやで」

 不安を悟られへんよう、笑顔を作り、おっきく手を振る。


  * * *( )


 電車で一時間程かけて、内海(うつみ)海水浴場に到着。

「飲み物を買ってくるので、場所取りをお願いします。祭さんは、持つのを手伝ってください」

 momo(モモ)に手を握られ、予定通り連れ出される。

「誰もいひんとこ、あれへんなあ」

 それよりも、momo(モモ)のスマホが気になる。

「さっきから鳴りっぱなしやな。何かあったんちゃう?」


 momo(モモ)のスマホの画面を覗き込むと、一条(いちじょう)さんが映っとる。

「何を配信してん!? はよ戻ろ!」

(嫌な予感的中。一条(いちじょう)さんとおる二人が、どないな人か知らへん。怖い思いさせたらあかんのに……)

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