ステータスの弄り方を教わった
・・・・・・・
雨の音?
・・・・・・・
「目覚めました?」
寝苦しくないように、身体を密着させてくれているミケが上目遣いで俺を見た。
「雨の音が聞こえた」
「はい、外は雨です。雨の日くらい、ゆっくり寝ていてはいかがですか?」
(ずっと寝たふりで付き合ってくれるミケは退屈でないのか?)
「ミケ、少しこのまま話をしよう」
「はい」
二度寝しようとは思わないが、せっかくミケが起きずにいてくれるのだから甘えることにした。
「この世界に来てから、魔法使いという職業の人間を見たことがないような気がする」
「はい」
「いるよな? 冒険者のパーティーで攻撃魔法とか使う魔法使い」
「いませんよ」
「え?」
「冒険者のパーティーは、戦闘を行う剣士や銃士と戦闘支援を行う弓使いや斥候が基本編成で、大規模なものになるとそれに兵站などの戦務支援がつきます」
兵站というのは糧食を補給したり遠距離を輸送したり馬車や武器などを整備したり
仕留めた魔獣を回収したりすることをいう。
「じゃあ、魔法使いって何してるの?」
「薬草からポーションを作ったり、軽易な治療をしたり、雨乞いなどの儀式を行ったりしています」
「あ、それって、向こうの世界では魔女の範疇だな」
「そうなんですか、でも、タマの隷下ではないので魔女とは言えませんね」
「魔法使いって、てっきり魔物に派手な魔法攻撃したり、味方に防御魔法をかけたりするもんだと思ってた」
「ユーイチの娘じゃないんですから、普通の人間がそんな事をしていたらあっという間に魔力を使い果たしてしまいますよ」
「ステータスで自分の魔力を見ながら魔法を使うとかは?」
「魔力値は裏のステータスでしか見ることが出来ません。ユーイチには裏のステータス見えるようにしますけど、出来るだけ魔力値は口外しないでください」
「なぜ?」
「魔力を補充する術のない普通の人間の場合、残りの魔力で正確な寿命を測れてしまうからです」
「ああ、それ確かに聞いたことあるな。魔力量の操作って、ミケとタマだけが出来る技だよね?」
「それと、あなたもですよ、ユーイチ」
「え?」
「裏ステータスが弄れるというのはそういう事なんです。今まで帝王、いえ皇帝は開闢以来、通常の魔力、つまり人の寿命で生きて来ました」
「うん」
確かに、ミケと同じ魔力を持った俺を見て第1王女がパニックに陥っていた。
「最初ユーイチに子作りを勧めたのは、またすぐに私の前からいなくなってしまうだろうという諦めがあったからです。だから、魔力は減るに任せて、好きなように生きてもらいながらも、あまり残虐な方向に走って国民を減らし過ぎないようコントロールをしながら、次代に引き継いでもらおうと」
「そうなんだ」
「ですけど、嘘であなたを方向付けるのはやめました。正直に言うと、あなたを好きになってしまったのです。一緒に生きようと思えるほどに」
「もしかして、俺が初恋?」
「はい。今まで化け物扱いこそされ、好意を返されることはなかったので、舞い上がっているのかもしれませんね」
この帝国の支柱であるミケが何千年もの時を経てやっと一緒に居たいと思える人間と巡り合い、それが俺だというのは光栄だと言うより壮大過ぎて実感が湧かないが、リップサービスでないのはミケのステータスを意識すると開くようになった事からもわかる。
「これって書き換えもできるんだ?」
「はい、ユーイチと各王クラスには鍵を掛けていますけど、それ以外の人のステータスなら簡単に書き換えが出来ます」
「というか、ミケのステータス∞が並んでるな」
「魔力値の∞は地脈から直接魔力を吸い上げられることを意味しています。ユーイチにはまだそれは負担が大きすぎるので有限にしています」
「まだってことは、いずれは?」
「はい、ユーイチは先程魔法使いの話をされました」
「うん」
「冒険者と一緒に行動させ、魔法を使わせるような運用がしたいという事ですよね」
「パーティーに攻撃・防御に回復までできる魔法使いが居ると便利だろう」
「はい、でもその為には」
「うん」
「ユーイチが魔法使い一人一人のステータスを書き換える必要があるのです」
「うん、まあ、それくらいはやるよ」
「で、ステータスの数値に左右があるの見えますよね」
「魅力値99/99ってやつだね」
「はい、書き換えられるのは右側です。潜在的能力値ですね。経験などを積むことによって左側が上昇します」
「間違って削ったら戻すのが大変ってことだな」
「はい、で、魔力値なんですが」
「うん」
「∞以外ならどれだけ多く設定しても構わないですが、左側をその値まで即座に上昇させようとしたら」
「うん」
「ユーイチが口付けするしかないですよ」
「へっ?」
「魔法使いは伝統的に女の仕事という意識があり、実際女ばかりです」
「そうなんだ」
「タマはともかく私は女との口付けは好みません。というよりさせないでくださいね。あなたの女なんですから」
「わかった、ちょっと練習してみたいが、いいか?」
「そうですね、やってみた方が早いです。ギルリル!」
「はいです」
既に起きて待機していたのであろう。
薄手の白い半袖ブラウスと黒のロングスカートで部屋に入って来た。
俺とミケの全裸姿は見慣れているので驚いた様子はない。
「そのままでいいから、ベッドに入っておいで」
「はいです」
ギルリルは素直にベッドに上がった。
ミケが左側に寝ているので、ギルリルは右側に仰向けで寝た。
「ギルリル、ちょっとお前の魔力値を操作させてくれ」
「はいです」
ステータスを念じるとすぐに各値が目の前に出てきた。
魔力値の右側に意識を集中すると、そこがアップになって数値部分の色が反転する。意識を左にずらすと値の一桁上が反転する。そこに9と念じると9という数字が入って96になる。もう一つ左の桁を反転させて6を念じ、696にしてみた。
「念じるだけで書き換わるんだな」
「はい、簡単でしょ?」
魔法も生活魔法・防御魔法・攻撃魔法・回復魔法の項目でまとまっているので分かりやすい。適当にチェックを入れてみる。
「ギルリル」
「はいです」
「今魔力の最大値と使える魔法を増やした。これから魔力自体を増やすんだが」
「?」
「分かりやすく言うと、キスさせてくれ」
「どうぞです」
ギルリルは目を閉じた。
「ユーイチ、急速に補充するためには、舌と舌を合わせた状態で魔力を送り出して。ギルリルはユーイチの舌が口に入ってきたらしゃぶる様に吸って」
「はいです」
ギルリルの唇に唇を重ね、舌を差し入れるとすぐに口を開けて受け入れてくれた。
幼女に対する性的嗜好がないのはミケも知っているため、変に取り繕う必要がなく魔力補充の行為に集中できるのがありがたい。
「ギルリル、呼吸は普通にして。吸うのはゆるめて構わないから」
ミケがアドバイスをしてくれる。
ギルリルは口が小さいので、確かに無理をしている感がある。
ステータスが見えているので魔力の上昇がデジタル表示され、分かりやすい。
「よし、こんなもんだな」
「ぷはぁ」
キスというよりは人工呼吸に近い感覚だ。
「ギルリル、魔力を急激に増やしたが、身体に異常はないか?」
「はいです。なんかやる気満々になってます」
「あとで学校の練習場に連れて行くから、色々魔法を試してみろ」
「はいです」
「ユーイチ」
「ん?」
振り返ってミケを見ると、ゴゴゴゴゴという効果音が背景に見えるような作り笑いをしている。
「キスしてください」
魔力の補充の時にはいつもミケから口付けをして来るのに変だなと思いつつ
「もちろんするけど、何で怒っているのか教えてくれるかい?」
「ギルリルとキスをしたのはいいの」
「うん」
「でも、キスをしながらスカートの中を弄る必要はないと思うの」
「あ」
無意識に愛撫をしていたという事か。これは怒られても仕方ない。
心を込めてキスをすることにした。
ギルリルの目の前であるが、ミケの絶頂までそのままお付き合いをしよう・・・




