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皇帝になったブラック社員  作者: 田子猫
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エルフとゾフィーとタマ

赤子が見たいというミケを連れてエルベレスの部屋を訪れると、ちょうどそこにゾフィーもいた。


「お久しぶりです。陛下」


ソファに深く座ったまま、小首をかしげてにっこりと笑う。

エルベレスは動じないがメルミアはぎょっとしている。

自分達より親し気に振舞うこの人って何? という感じだ。


「ゾフィー元気そうだな!」


さっそく近づいて口付けをしながらソフィーの胸を揉む。

妾第1号だという事をエルフ達には知られていないので侍女たちがざわめいた。が、本妻2人は気にする様子もない。

ミケはゾフィーをよく知っているし、エルベレスは複数プレイの方が好きな女だ。

1人くらい人数が増えたくらいで気にする女でもない。

それにエルベレスと寝る時は胸を重点に攻めるので、俺がおっぱい好きだという事をよく知っている。


「あ、エルベレス、ミケに子供を見せてやってくれ」

「はい、どうぞこちらに」


エルベレスはゾフィーとの行為を気に留めることもなくミケを先導して部屋を出て行った。


「ゾフィー、ここで会えるとは思わなかった」

「はい、会いたいと思っていたので、とても嬉しいです」


農業試験の成果がまだ出ていないので直接会いに来るのが(はばか)られるのだろう。

こういう遠慮の仕方がゾフィーらしい。


「エルベレスがここにいるとよく分かったな」

「最近後宮にエルフが多いと聞き、作物の相談などをしようとしようと出向きましたらちっちゃなエルフさんに案内されまして」

「ああ、植物に関してエルフは最高の知恵者だからな」

「はい、色々と知恵をいただきまして、あとは畑の隙間部分と新しい開墾地に何を植えるか相談しようとしていたところです」

「あ、それならいい案がある」

「お聞かせ願いますか」

「もちろん・・・メルミア」

「はい」

「山の方に茶の木は自生しているか?」

「茶の木・・・白い花の付く葉の苦いやつですか?」

「そうそれ、種子をいくつかとらせてゾフィーに送ってくれ」

「わかりました。国境付近にいる子たちを使って運ばせます」

「茶の木、ですか」

「うん、葉っぱを乾燥させた後、蒸して揉んで緑茶にしたり醗酵させて紅茶などにして飲むんだ。動物の乳や甜菜からとる砂糖と混ぜても美味しい飲み物になる」

「そうなのですね」

「まだこの国の庶民には喫茶の習慣はないが、浜辺で不逞の外国人が女子供を対価に広めようとしていた節がある。おそらく今は薬として少数が使われているくらいだろうが、外国には庶民に普及させられるほどの製造技術と製造量があるはずだ。開国時に茶の流通がないと莫大な資産を奪われることになり兼ねん。ぜひ栽培を試してみてくれ」


優一のいた世界の中世ヨーロッパでは茶の買い付けの為に銀が流出し、その銀の回収と茶の買い付けの為に東インド会社が中国に持ち込んだのが阿片であり、阿片戦争の直接の要因になった。


「畏まりました」


とはいえ実際に飲んでみないとイメージが湧かないだろうから、元の世界に渡れるときに緑茶や紅茶を大量に仕入れてこよう。


「エルフへの相談はそんなところか?」

「いえ、まだ1件、精霊まつりについて」

「精霊まつり?」

「故郷の言い方なので、それが正しいかどうかわからないのですけれど」

「うん」

「夏至の近付く夜に、妖精族が森に集まって、精霊王や妖精王を囲んで盛大な祭りを催すのだそうですが、そこに迷い込んだ人間は王から特別な加護を得られるそうです。エルフも妖精族だと聞いております。開催場所や、どういう加護が得られるのか、昔から気になっていまして」

「あ、精霊王や妖精王ってエルベレス、この部屋の主の事だぞ」

「へっ?」

「エルベレスがエルフ王だっていうのは知っているよな?」

「え、そうだったのですか。てっきりエルフの姫を後宮に入れたのとばかり」


(まあ、見た目可愛いしね・・・)


「そのエルフ王というのもどうやら最近の呼び方らしくてな、昔は妖精王、妖精と精霊は呼び方の違いだけなので精霊王とも呼ばれていたそうだ」

「よくご存じですね」

「エルベレス本人から聞いた。呼ばれてた当人だから間違いないだろう」

「当人って・・・そんな方を・・・ここに引っ張って来てしまわれたのですか?」

「無理矢理じゃないぞ」

「はい」

「メルミア、その精霊まつりについて何か知っているか?」


いかにもエルフという姿のメルミアに話を振ると


「いえ、私は存じません」


と残念そうに答えた。


「この中で一番長く生きている奴といえば・・・そうだ、タマ~」

「それ、ひどくね?」


いきなりタマが隣に現れた。


今日はブレザースタイルのスカートが短いなんちゃって制服


(どこで手に入れてるんだ、これ・・・)


今度はゾフィーがびっくりしている。


「魔王だろ、そういうの知ってそうだよな」

「魔族と妖精族は違うよ」

「そうだろうけど、聞いたことないか?」

「多分あれだよ、世界をつなぐための儀式」

「あ、向こうの世界に渡るためのか」

「うん、オレと違って自由に行き来できないから、世界の接点が薄くなる時に穴を開けるんだよ」

「ああ、貴族がやってた召喚儀式みたいなものか」

「あそこまで下手糞じゃないけどさ。まあ、妖精の魔力じゃ年に2回もつなげればいい方なんじゃない?」

「王の加護っていうのは?」

「向こうの世界から買ってきたお土産をもらえるとかそういうのじゃない?」

「あー、ライターとか懐中電灯とか、魔力のいらない魔法の道具みたいなものだものな」

「そうそう」

「そうだタマ、デートしよう」

「いいけど、なに、唐突に」

「向こうの世界で緑茶や紅茶を買い込んで、ゾフィーに飲ませてみたい」

「買い物だね、おっけぇ~ ちょっと寄り道してもいい?」

「勿論 ゾフィーはまだここにいる?」

「はい」

「ちょっと行ってくるよ」

「はい、行ってらっしゃいませ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ここ、ホテルだよな」

「うん、ホテルのレストランだよ、あ」

「なんだ」

「ゾフィーと寝る時間までには帰るから、そんなソワソワしないでよ」


タマに案内されて茶葉や食料品等を買い出し、宅急便よろしく後宮に物品を転送してもらった後、都会が一望できるこのレストランに連れてこられたというわけだ。

店の照明は落とされ、座っているテーブル席のみキャンドルが灯されている。


(おーい、これじゃまるでデートじゃないか、いや、デートなんだけどさ)


「ワイン、好きな銘柄ある?」

「ない」


(そもそもワインを注文するようなレストランに一人で行かないって・・・)


「じゃ、とりあえずビールね」

「なにっ?」

「ビール嫌いだった?」

「好きだけど」

「よかった、じゃ大ジョッキでバーンと持ってきて」

「畏まりました」


ソムリエらしき男が一礼をして下がっていく。


「どしたの? 変な顔して」

「いいのか、ここ、居酒屋じゃないんだろ」

「居酒屋じゃないよ。一流のレストランだから対応できる限り、どんなオーダーでも応えてくれるし、他の客の迷惑にならないようにこの時間帯買い取ってるから、マナーとか気にせず食べても何も心配いらないよ」

「なんか、色々、とんでもないな」

「オレに言わせれば、帝王ともあろう人があんな食事で満足してる方がおかしいんだよ」

「エルフのパンは満足できるぞ」

「パンしか満足できるものはない、でしょ」

「まあ、そうとも言う」

「細かいことは抜きにして、食おうよ、毎回お任せのフルコースだから、何が出てくるかはわからない。お品書き読んでね、あはは」


そう言うとタマはナプキンを広げ、一番外側のナイフとフォークを使って前菜を食べ始めた。


(レストラン側が慣れた対応をするという事は、タマはこちらに来るたびにこんなことをやっているのか。

お任せという事は高級な食材を使った、ちょっと手の込んだ料理という事だろう。

まあ、貸切にでもしないと見た目小娘のタマが安心して飲み食いできないというのは分かる。下手すると未成年飲酒で補導しに来た警察官が不幸な目にあう。

しかし、このどや顔には何か違和感がある。

あーあれか

こちらでは彼女いなかったのを知っているから

年寄呼ばわりしたことに対する意趣返しだな・・・)

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