プロローグ2
優一は中学生の時にイジメに遭い、引きこもりになっていた。
人間関係に疲れた優一を癒したのはインターネットを利用したソーシャルゲーム内の人間関係だった。
ゲームの中で優一は信頼され、3年もすると運営か? と言われるくらい、そのゲーム内でのイベントを企画し実行していた。
そのゲームにはたまたま自社の企画を売り込みに来ていたイベント会社の社長のアバターが混ざっており、優一の手腕に目をつけ、「社内泊まり込みOKでゲームもし放題」と勧誘し、義務教育である中学校卒業の証書だけあればいいからという事で、優一は企画運営会社への就職を決めた。
そして数年、余りにも長時間労働で作業量が多すぎるという事でどんどんスタッフが入れ替わる中、優一は目にクマを作りながらも深夜までパソコンの画面に向かって作業をしていた。
週末のイベントは国防省のマスコットキャラ「守って君」とのコラボレーションイベントで、国防省の担当者は夜間でも快く調整に応じてくれるので、何とか形になりそうだった。
まあ、企画運営は問題ないと思う。
問題は社長に決裁をもらう前の稟議で、一族経営の会社の問題か、問題がないのに重箱の隅を千枚通しでつつくように部長がしつこく、お気に入りのキャラグッズとかコンサートチケットなどを握らせないと先に進めないのである。
まあ、そんなこんなで、近所のコンビニで買った新製品のベーグルサンドを齧りながら、このイベントが終わったらスーパー銭湯でお風呂に入るんだ、と今夜も優一は心を奮い立たせるのであった。