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皇帝になったブラック社員  作者: 田子猫
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軍使

空が白み始め、うっすらとした(もや)が立ちこめ

周囲を警戒する歩哨がふっと気を抜いた時


「ぐっ」


枝から落ちた蛇が歩哨の首筋を噛んだ。

毒はすぐに脳に回り、歩哨は穴の中に崩れ落ちた。


落ちた蛇が鎌首を上げると、それを合図に獣人部隊が忍び寄り、宿営地を包囲するように展開を始めた。


「いい動きをするな」

「えへへ」


木の上に貼り付いているスライム視点のモニターで、タマの作成した獣人部隊の実戦での試験運用を確認している。

目的は本格的な運用の前に能力を把握して娘たちとの連携を確実にするためである。


映電からの映像でも白い点が着々と宿営地の周辺に広がりつつあるのが見える。


『準備よし』


念話が届く


襲撃(しゅうげき)に (おそ)え』


タマが号令を掛ける。

白い点が中央に凝縮する。


「死体はもらうね。装備品なんかは奴らに渡しておけば好きに活用すると思う」

「ああ、それでいいぞ」


許可を与えるとタマはワクワクした表情で転移して行った。


『あのーアンビですけど』


一息つこうかと思っていたところにアンビからの念話が入る。


『どうした?』

『首都から森方向に移動をする者がいます』

『映電』

『はーい』

『首都方向に飛んで映像を流してくれ』

『はーい』

『アンビはそのまま首都上空で首都の動きを見張ってくれ』

『わかりましたー、っていうかホタルちゃんで燃やしてしまえば良いのでは?』

『それだと面白くないからな。共和国の連中の能力も知っておきたいし』

『廃品回収ですかー』

『リサイクルする価値があればだけどな』


軽口を叩きながらエルフの子たちが運んで来てくれた茶菓子をつまみ、大ハマグリの口に入れる。

大ハマグリ(いわ)く満月の今夜に産卵をするとの事なので、終わって落ち着くまでは好きなだけ甘えさせるつもりだ。


『見えて来たよー接近するねー』


スクリーンに目をやると遠くの街並みがグングンと近付いて来る。

そのうちに道路上を進む一団を捉えた。


「騎兵だな」

『映電、後続は見えないか』

『見えなーい』

『よし、接近してくれ』

『はーい』


映電がその一団に向けて降下すると、30名ほどの一団は兵のみが鎧を着こんだ軽騎兵である事が分かった。


『これくらいなら私でもやっつけられるよー』

『いや、待て映電』


映電が攻撃位置につこうと首を巡らした直前、気になるものが視界に入った。


『奴らの先頭がよく見える位置に』

『あ、じゃあ、降りちゃおうか』


そう言うと映電は急降下し、道路を塞ぐように降り立った。

馬は驚いて暴れ出し、思わず手綱を引いた騎兵は跳ねる馬に放り出され、制御に失敗した馬が後方に逃げ出した。

先頭の3名は何とか落ち着かせるのに成功したようだが、持っていた槍や旗を放り出してしまっている。


『そこに転がっている旗は白旗だよな』

『白旗ですー』

『だったらそいつらは軍使だ。攻撃はするな』

『はーい』


映電は残念そうな声を出すと羽ばたいてもう一度馬を脅かし、垂直離陸をすると一気に一団から距離を取った。


『映電、巣に戻って少し休め』

『はーい』

『タマ』

『はいよ』

『軍使がやって来るから、砦まで道を作ってくれ』

『通り過ぎたら消していいの?』

『もちろん。地形も変えていいぞ』

『わかった!』


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