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皇帝になったブラック社員  作者: 田子猫
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命令下達

「おおっ」


それがオルニダス達がメルミアを見た時の第一声だった。


魔力を可視化した金色の髪、元の世界ではエルフと言ったらこれ!という長い耳(この世界ではメルミアしかいないが)、そして旧野戦服つまり緑色のミニスカートという姿が目を惹き付けたのだろう。


しかし、メルミアは男たちが期待するように俺に(ひざまづ)くことなく、転移で現れるや迷うことなく俺に近付いて左横にぴったりと収まった。


メルミアが大ハマグリや映電(幼女モード)のように跪かないのは、俺の正妻の一人という事もあるが、帝国に残る数少ない貴族の一人であるからでもある。


身分制度の変更で帝国貴族は男女関係なく一代貴族となった。

代襲の爵位や領地よりも当人限りの名誉と年金の方が国家財政的に安上がりなのは言うまでもない。


敵であった元辺境伯は戦死し、領地に残っていた血族等は追撃戦の中で戦死あるいは刑死した。

領地は没収したが、辺境伯の爵位は辺境伯夫人という設定をしていたメルミアに付与した。爵位があった方が遊撃隊長として他の貴族と調整するときに有利だからである。

ちなみに、娘のエリカはメルミアの娘ではあるが爵位のない平民扱いである。

エリカについては命じてある事業に結果を出せば男爵に叙するつもりではいる。


というわけで男たちがメルミアのスカートの中を(のぞ)こうという試みは失敗に終わった。もっとも覗いたところでアンダースコートでガードされているが・・・


「お役に立てますか?」


メルミアの第一声は遊撃隊がここで俺の役に立つかという意味の問い掛けだ。


「ああ」


俺がそう言ってポンポンと頭の上に手を置くと、メルミアは嬉しそうに笑った。


「ミケ」

「はい」

「森に接近する者はないか?」

「はい、魔力的には感じられません。上空で監視中の映電からも松明等の報告は入っていません」

「よし、では作戦会議を始める。みな席に着け」


特に席の指定はないので、俺の左横のメルミアと右横のギルリル以外は思い思いの場所に腰掛けた。特に地図等で示す予定はないので、これでいいのだ。


「本作戦の目的は大陸南部にオルニダス王国を建国し、帝国との交易路を開通させることにある」

「ははっ」


オルニダスは国主になるのだが、メンタリティ的には俺の配下といった感じだ。

今はその方が扱いやすいので問題はない。


「そしてこの大陸の女神であったタマを裏切った氏族の連中にお灸を据える」

「うんうん」


肯定はしているがタマは自分のための復讐だとやる気が起きないようだ。しかし帝国で見せたように俺の邪魔になる者の排除という枠組みでならどんな協力も惜しまないので、今回もその線で行くつもりでいる。


「さて、作戦だが、大きく3期に分ける」


ここで話を切って見回すと、オルニダス達が身を乗り出してくる。


「第1期は大陸南部でのオルニダス王国建国とそのための防勢準備だ。オルニダスは王都を定めて仮王宮を築き、戴冠式を準備せよ」

「ははっ」

「防勢については帝国の戦力のみで行う。そのため、森林地帯に壮太精霊公国を建国し、オルニダス王国との国交を樹立する。戦争後は帝国との交易の窓口になると考えておいてくれれば良い」

「わかりました」

「防勢準備の細部についてはミケ、タマ、メルミア、ギルリル、アリス、大ハマグリに対し別途示す」

「うちもやることあるのん?」

「もちろん、お前の能力にあった見せ場を用意するとも」

「やった」


大ハマグリは嬉しそうだ。


「続いて第2期は敵主力に対する防勢、基本的には森の中に引き込んでの撃滅を企図する。この間、オルニダスは王権を使って徴兵をし、訓練を施して戦力を増強せよ」

「ははっ」

「第3期は敗退する敵に対する追撃からの攻勢転移だ。基本帝国は森から先へは追撃しない。攻勢はオルニダスの軍により行え。攻勢目標は・・・ま、自分で考えろ」

「ははっ」

「オルニダスの戴冠式は敵主力の進撃開始までに間に合わせろ。俺はその場で王国と公国の承認と国交の樹立、軍事同盟の締結を宣言し、人類史上共和国の連中に揺さぶりをかける」

「南部での事が北部に伝わるでしょうか」

「伝える方法など、いくらでもある。それより、概略の行動は分かったか?」

「理解いたしました」

「ならば早速王都の選定に入るが良い。決まったら伝令を寄越せ」

「はっ、では失礼いたします」


オルニダス達は一例をすると天幕から退出をした。


「あ、しまった」

「どうされました?」


メルミアが訝しげに見る。


「質問はないか聞くのを忘れた」

「あ、えっと、彼らは今から王都に王宮を作って戴冠式を行い、兵を集めて攻勢に出る。違いますか?」

「いや、その通り」

「私に理解できることが彼らに理解できないとは思えません」

「そうか」


再びメルミアの頭を撫でると、嬉しそうに身体を寄せてくる。

うん、もう公然と甘えても支障のある相手はこの中にはいない。


「タマ」

「あいよ」

「お前は、森林地帯をサバイバルが必須となるような山岳地帯へ改修してくれ」

「おっ」

「道路も鉄砲水や落石、地滑りなどの危険に常時晒されるような感じで」

「おっけぇ」

「植林密度は、エルフ以外は移動に苦労する程度」

「うんうん、他には?」

「森の中央付近で道を消して、1キロ四方くらいの宿営に適したなだらかな場所を」

「罠か」

「そう、わざとそこに蝟集(いしゅう)させる」

「わかった、他には?」

「今のところはそんなところだな」

「出来たよ」

「早っ」

「まあ、ざっくり作ったから、明るくなったら映電使って見て、指示飛ばしてよ」

「わかった、そうする」

「オレはちょっと戻って魔界の移転準備をして来るよ。そうすれば、どこからでもアンデッドを湧かせることが出来るからさ」

「おう、頼んだぞ」


タマはトトトと小走りで俺の前に来て目を閉じた。


俺に寄り掛かっていたメルミアはさっと身体を外した。


俺はタマが満足するようきつく抱き締め、唇を重ねて舌を吸った。

タマは腕の中で満足したような笑みを浮かべ、そのまま姿が搔き消えた。


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