女の子は拾うもの
三十分ほど進んだところで、村らしきものが見えてきた。だが様子がおかしい。どうやら燃えているようだ。
そのまま歩いて行くと、徐々に状況がわかってきた。どうも山賊に襲われているらしい。
村はずれに3人ほどの山賊に一人の少女が取り囲まれている。
「お願いします、助けて下さい……家にあるお金も食べ物も全部差し上げますから……」
「そうだなぁ、君が欲しい」
「田舎の女にしては綺麗な面してる。5年もすればさぞべっぴんさんになりそうだなぁ」
「まあそう怖がるな。おじさん達が楽しいことをいっぱい教えてやるよ……」
すがるように頼む少女に対して、男達は下品にそう告げる。
「おいそこの山賊」
「あ?なんか用かあんちゃんよお!」
「その子を放せ。今なら命は見逃してやる」
「ターハッハッハ!」
「何がおかしい」
山賊は急に笑い出す。
「いやぁ面白えあんちゃんだなぁ。だが長生きしてえなら正義の味方気取りは程々にしておけ」
「そんなものを気取っているつもりはない。だけどいい大人が寄って集って幼気な女の子を虐めるのは頂けないと思います」
「てめえには関係ねえだろうが!」
山賊はそう怒鳴って斬りかかってきた。だが隙が大きすぎる。素人なんてもんじゃない。
あまりにも遅すぎる斬撃を難なく躱し、みぞおちに一撃叩き込む。
大分手加減をしたにも関わらず、山賊は地面に転がった。
「斬りかかるときの隙が大きい。もっとコンパクトに振らないと今みたいに胴体に一発入れられるぞ」
「てめえ、手加減してやりゃ舐めた口ききやがって!」
「なんだそうだったのか。だが、そういった油断は命取りになるぞ。まあ、手加減をした俺が言っても説得力がないがな」
「言わせておけば!」
ふむ、どうやら怒らせてしまったようだ。親切心で忠告したのにこれはないだろう。まあ会話の通じない奴は前世にもいっぱい居たし、異世界にいてもおかしくはないだろう。
三人同時に斬りかかってきたのを確認して、思い切り殴りつける。まず一人、2人、そして3人。
頭蓋を砕かれた山賊達は屍へと姿を変えた。
「あ、あの、助けて頂き、ありがとうございます」
山賊に囲まれていた少女が礼を言ってきた。歳は十二、三といったところだろう。俺の二つか三つ下という計算になる。山賊共の言っていたように、まだ垢抜けていないものの整った顔立ちをしており、痩せ気味で胸も小さいが、黒髪は乱れながらも確かな艶があり健康状態も悪くなさそうだ。
「礼には及ばない。好きでやっただけだ」
「あの、あの、それならばご一緒してもよろしいですか? 私、リネアと言います。戦えたりはしませんけど、お料理やお洗濯が出来ますし、常識は知っているつもりですから、異世界からいらっしゃったならなにか力になれると思うんです!」
なんなのだろうこの純真さ。保護欲を掻き立てられるのは結構だが、悪い男に騙されないかが心配だ。まあそれはさておき、旅をするなら1人で行く方が断然気楽だ。
だが、慣れない世界でのことだ。事情を知っている人を連れに付けるのは悪くない判断だと言えるだろう。
何よりこんな幼気な女の子を放っておいたら夢見が悪くなりそうだ。この思いは決して下心などではない……はず。
「よし。わかった付いてこい。俺は龍覇、八咫神龍覇だ。お前は?」
「はい、リネアと言います。不束者ですがよろしくお願いします。」
「よし、じゃあまずは近場の街に行くぞ」
「はい!」