表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白い梟の舞う空に  作者: NESULU
1/1

名も無き猛禽の物語

 

 あるところにおかあさんあひるがいました。おかあさんあひるは、5つのたまごをうみ、そのたまごから、5人姉妹のひよこがうまれました。しかし、1羽だけ、色のちがうひよこがいました。うつくしいきいろの毛をもつ、ほかの姉、妹たちとちがい、このひよこだけは、まっしろのうぶ毛に、いちごのように、まっかな目の色をもっていました。

 白いひよこはどこへいっても、くちばしでつつかれ、「あっちへいけっ!」といわれていました。はじめはかばっていた、おかあさんあひるも「ほんとうに、みにくいねぇ。いつか遠くへいってしまえばいいのに」これをきいた白いあひるのこは、遠くへいってしまいます。しかし、どこへいっても、白いあひるのこはきらわれてしまいました。

 ある日、白いあひるのこは、はるかひがしのほうからやってきた1羽のわしと出合いましたー・・・


ロシア連邦アフトゥビンスク近郊 タイガ


 ザクッ・・・ザクッ・・・ザクッ・・・ザクッ・・・ザクッ・・・ザクッ・・・ザクッ・・・ザクッ・・・ザクッ・・・

 歩いても歩いても、風景は変わらない。それでも私はただひたすら歩いた。周囲には、真っ白な雪に覆われた針葉樹林、タイガが広がっている。そこに私の目指す場所がある。

 どれほど歩いたのかな。もう、わからない。でも、確かに近づいている。

 歩き続けたその先に、それは静かに佇んでいた。

「・・・遅くなって、ごめんね。」

 風もなく、ただ雪が降るだけのタイガで、私の声に返事はない。相手は人間ではない。感情も、意思も存在しない。命さえ、持たないのだ。そんな相手に、私は手向けの花を供える。そうしたかったから、以上の理由はない。

「置いていったりして、ごめんね。ーでも、私はー・・・」

 当然、応えてくれるわけがない。それでもいい。

 それは、私にとって一番の友達だったから。

「・・・おやすみ、09。大好きだよ」

 私は振り向き、その場を後にした。

 Su-57、“黒の09”


 1年前 ロシア空軍ベルベク空軍基地

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ