何があっても変わらない
何があっても変わらない
いつものようにバイク屋に行く。
バイク屋の前には......あれ?
......あれぇ〜......真崎さん......
......あれぇ〜......
オレが戸惑っていると、真崎さんは少し照れた笑顔を浮かべながら下を向き、
その後、バイクの横で姿勢を正して、真面目な顔をしてオレの方を見た。
......で、夢から覚めた。
あぁ......夢だったのか......
そうだよなぁ......死んでしまったんだよなぁ......真崎さん......2ヶ月前に......
でも......バイクに乗る格好して、バイクの横に立ってたな......
バイクが好きなのは変わらないか。
そりゃまぁそうだろうな。
オレも真崎さんも、正真正銘のバイク乗りでバイク好きだもんな。
オレ:「......ってな夢を見たんだよ。」
仲間:「へぇ〜......お前も見たんだ......」
オレ:「あれ? お前も?」
仲間:「あぁ、見たよ。結構他の仲間も見てるらしいよ?」
オレ:「そっか〜......
最後の挨拶に来たんかな......やっぱり......」
仲間:「多分な......」
......という訳で、オレはいつものようにバイク屋に居る。
そして、昨日の夢の話をしていたのだが、他の人も結構見ていたらしい。
仲間:「でもさ、やっぱり真崎さんはバイク降りてなかったな。」
オレ:「だな〜...... 死んでも乗ってるとは思ってたけどな。
でも、流石にバイクはSSじゃなくなってたけど......」
仲間:「や、多分SSも乗ってるって! あの人だもんさ!」
オレ:「......だよな〜.......
最初は我慢できても、やっぱり.....みたいな?」
仲間:「そうそう! あの人は生粋のバイク中毒だもんさ!」
オレ:「確かにね〜.......」
更に数日後。
再びオレは真崎さんの夢を見た。
オレがバイクを停めると、真崎さんはオレに向かっていつものように、
手を上げながら
真崎:「よう!」
とオレに声を掛けた。
オレも普通に真崎さんに、手を上げながら
オレ:「ちわ〜」
と声を掛ける。
そして、2人で並んで道沿いの花壇に腰掛けながら煙草を吹かし始める。
真崎:「あの靴、脱ぎにくいだろ?
オレも経験あるんだよ。」
真崎さんはオレにそんな事を言った。
......で夢から覚めた。
再びバイク屋。
オレ:「そういえばさ、オレ、真崎さんのバイクブーツ貰ったじゃん?
あれ履いた日にさ、家に帰ってトイレに駆け込もうとしてたんだけど、
中々脱げなくてオタオタしてた事があったんだけどさ......」
仲間:「ふむ」
オレ:「その日の夜さ、真崎さんが夢に出てさ。」
仲間:「ふむふむ」
オレ:「『あの靴、脱ぎにくいだろ?』って言ってたよ。」
仲間:「はっはっは〜! 真崎さんも同じ経験してたんだ!」
オレ:「みたいだよ! オレもあの時は流石に漏れそうでヤバイって思ったからさ、
真崎さんも『同じ経験してたから気をつけろ〜』って言いにきたのかもな。」
仲間:「かもね〜」
仲間:「真崎さんの話になると色々あり過ぎて話は尽きないね〜......」
オレ:「だね〜...... あの人の話はホントに色々あるからね〜......」
仲間:「そうだよな〜......
実際の所、今回の事故でもオレはあの人は死なないって思ってたんだ。」
オレ:「ふむ......何故に?」
仲間:「だってさ、あの人はプロテクターとかバイクに乗る格好とか、
特に気を使ってたじゃん?」
オレ:「確かに...... ここで真崎さんの話を聞いてプロテクターとか装備を気にして、
ちゃんとした格好して乗るようになった人も多いんでしょ?」
仲間:「うん。オレなんか思いっきり怒られた事もあったし......
前のバイクで事故ってバイクを廃車した時にな、
まぁ、あの時は身体は全然何とも無かったんだけど、
『折角買ったのに使わないで何やってるんだ!
今回は運が良かっただけだぞ!』って.......」
オレ:「なるほどね〜......」
仲間:「未だに信じられない面は大きいよ。」
オレ:「うん、オレもやっぱり、また『よう!』ってヒョッコリ現れる気がするよ。」
仲間:「だな〜......何しろ......」
オレ:「今もバイク乗ってるみたいだもんな〜......」
遺骨は遠い実家に、親と一緒に帰った。
でも、オレも仲間もこう思ってる。
間違いなく、あの人は今も実家の近所の峠を走ってる.......ってね。
オレや仲間も真崎さんと同じバイク中毒だから分かる。
事故ったのは自分のミスだ。バイクのせいじゃない。
だから、「バイクが好き」って事は、何があっても変わらない。
それはオレ等も同じ。何があっても、バイクが好きって事は変わらない。
何故なら、バイクに乗っていたからこその出会いがあり、
バイクに乗っているからこその楽しい時間があるからね。




