ライダーズカフェ
ライダーズカフェ
オレ:「こんにちわ〜」
店員:「いらっしゃいませ〜」
オレが店の中に入ると、既に数人のお客さんがテーブルやカウンターでコーヒー
を飲みながらバイク談義をしていた。
......今日はオレの知ってる人はいないか......
そう思いながら、オレはいつもの席に座わり、店員にコーヒーを頼んだ。
店員:「おまたせしました〜......
今日は何処かに行かれたんですか?」
オレ:「ん? いや......ホントは昨日行くつもりだったんだけど、
昨日は雨だったでしょ?
で、今日も天気は何とも分からない感じだから、どうしようかなぁ......
とか思いながら、ここまで来た感じですよ。」
店員:「そうでしたか......
あっ、そうそう、先週のレースは見ました?」
オレ:「あっ、そういえば先週のは見てないなぁ......」
店員:「じゃぁ、録画を再生しますね。」
オレ:「よろしく〜」
店員はカウンターに戻ると、壁に掛けられた液晶テレビのリモコンを操作し、
録画されていた先週のバイクレースを再生させたので、オレはコーヒーを飲みながら
レースを見始めた。
A男:「だからさ、バイクに乗るって事は、危険を伴う事だから、
いつかは降りる覚悟は決めておかないといかんべ。」
ふと、そんな声が少し離れた席から聞こえた。
声の方を見ると、知らない男が2人で話をしていた。
オレはコーヒーを持ってその2人の近くの席に移動する。
B男:「でもなぁ......確かに事故って親に泣かれたりしたけどさ......
やっぱりバイクは好きで、また乗りたいって考えちゃったんだよね......」
オレ:「気持ちは分かるよ。オレの仲間にも懲りないヤツはいるし、
オレも死ぬまでバイクは乗り続けるだろうなぁ......って普通に考えてるし。」
B男:「だろだろ?!」
オレ:「でも、周りでバイクを降りたヤツとかを見ても、それはそれで一つの決断だよな。」
A男:「そうそう、そこなのよ。
要はさ、五体満足じゃないのにバイクにしがみ付いたって、
それは意地でしかなくて、楽しくもなんともないじゃん?
楽しんでこそバイクだよ!」
B男:「そうかぁ...... やっぱりそうなんだろうなぁ......」
オレ:「でもまぁ、誰にも迷惑かける事なく乗れるなら乗ったっていいじゃん?
その辺りはもう大人なんだから、自分で判断できるべさ。」
A男:「そうだね。自分で判断できなきゃ、バイクは乗ってなれない乗り物だものな。」
B男:「だよね〜......」
......という感じに、オレは全く知らないバイク乗り達の会話に入っていく。
そして、話題はいつの間にかバイクから人生観に変化していた。
B男:「やっぱ若いうちじゃないと冒険はできないっしよ!」
A男:「まぁな〜...... でも、自分の背丈に見合ったことにしないと、
後々大変になるだろ?」
B男:「そこはだから若さでカバー!
やれるうちはやってみるのが一番でしょ!」
オレ:「オレはどちらかというと冒険しない方だったなぁ......
何ていうか......後々まで考えないと行動できなかったから、
ある意味臆病なんだろうね。」
そこで、別のバイク乗りが会話に入ってきた。
C男:「臆病でいいじゃん! 何事も平和が一番よ?」
A男:「やっ、それが普通よ?
コイツはちょっとネジが飛んでるだけだから!」
ハッハッハ〜!と笑いながらA男はB男の肩を叩く。
B男:「そんな事言っておきながら、Aさんだって昔は色々無茶したって聞いてますよ〜?」
オレ:「......まぁ、雰囲気的にはそんな感じあるよね......」
B男:「へっへ〜! 言れてやんの!」
A男:「何を〜?!」
そう言いながら、A男はB男の頭をヘッドロックする。
オレ:「んで、どんな無茶したんですかい?」
C男:「あぁ、オレも聞きたい。」
オレとC男は少々ニヤケながらA男に聞いてみた。
A男はオレとC男の顔を見て、少し照れて頭を掻きながら話し始めた。
A男:「ん〜......実はな、昔.......」
色々なバイク乗りが集まり、色々な話をして、色々な経験を積み重ねる。
乗っているバイクも違えば服装も年齢も仕事も違う。
でも、バイク乗りはバイクに乗っているという事だけで、昔からの仲間のように会話をする。
バイクの話だけではない。自分の人生観も、自分の価値観も言い合う。
他の集まりではこうはいかないだろう。でも、バイク乗りはそれが普通だ。
だからこそ、バイク乗りはライダーズカフェに集まるのかもしれない。




