消失
久しぶり…というかさっきぶり?に見た美咲さんは、いつにも増して真剣な表情だった。
「本当にすまなかった!!!」
部屋に響き渡るくらいのとてつもない声量でいきなり叫んだ。
「うわっ!!!美咲さん、いきなり大きな声を出さないでくださいよ!」
僕は尻餅をついたような姿勢になる。
「す、すまない!立てるか?」
美咲さんが手を差しのべてくる。
こんなにおどおどしている美咲さんは初めてなので、すこしからかってみることにした。
「いててて…腰をやってしまいました、ちょっと立てるかわからないです。」
「!?」
「?」
美咲さんが驚きのあまり石のように固まってしまった。普通の健全な男子高校生なら(やった〜、体を触りまくってやる〜)とか言いそうなシチュエーションだが、こんな美咲さんを見るのは初めてだったので笑いを堪えるので必死だった。
「…ん」
「ん?」
「ーん…」
「うぇーーーんうぇーーーーん」
美咲さんが号泣し始めたのである。
不覚にもかわいいとおもってしまった。
とその時、
「ごめんなさい〜許して下さい〜」
美咲さんが、耳の奥を劈くような大きな声で泣きながら謝り始めた。
(もっといじめてやりたい…)
僕の中で変な気持ちが生まれそうになる。
(しかし心が痛むなぁ…本当のことを言おう。)
すっと立ち上がると僕は先程の美咲さんに負けず劣らずの声でこう言った。
「すみませんでしたぁああああああああ」
「ふぇ?」
泣きじゃくっていた顔を上げて、美咲さんは何がなんだかわからないような様子でこちらに視線を移した。
「嘘ということか?」
「えーっと、そのー、はい、、」
美咲さんの顔がみるみる赤くなっていくのがわかる。
「渉のばかやろーーーーーーー」
何発殴られただろう。痛みで意識が飛んでいた。
「…うぅ」
ゆっくり起き上がると腹部に痛みが走る。
痛みのあるところを見るとTシャツが赤く染まっている。状況からして、僕は、発狂した美咲さんに刺しまくられたようだ。
「うわぁああああああ」
僕が叫び声をあげると、ガチャと扉が開きパジャマ姿の美咲さんが出てきた。
「ふぁあ…起きたのか?」と言いながら近づいてくる。
「起きたのか?じゃないですよ!これはやりすぎですよ!!」
「あー、すまん!でも、どうせ私の力もあるし何にしろお前は霊体だ。死なない。それにあれはお前が悪い!神に対する冒涜だ!」
人のことを刺しておいてまだ怒ってらっしゃる。
「はいはい…すみませんでした!!」
「…」
いきなり謝られると思ってもいなかったのかすごくびっくりしてるが
美咲さんの口がゆっくり動く。
「わ…私の方も刺したりして悪かった。」
(うわー…神様なのに簡単に謝っちゃったよ…この人)
などと言うとまた刺されるので
「全然いいですよ!僕が悪かったですし!」
「そーか…そーだな!!お前がすべて悪い!私は何も悪くない!!これは決定事項だ!」
「はいはい。」
「よし!」パンと手を叩く。
「本題に移ろう。お前に力を与えるという話だったな」
「はい。」
「目を閉じろ、力の譲渡の仕方は前回のやつでわかっているだろう?」
(また、あれをやるのか…)
目を閉じると、美咲さんの整った童顔が近づいてくる(うわっ、かわいいなぁ…)
「んっ」
唇が触れ合う。何かが流れ込んで来ているようだ。
(今回はいつもより長いなぁ…そうだ!)
僕は、舌を入れてみた。
「ん!?」
美咲さんは驚いたようにこちらを睨んでいる。
しかし、関係ない僕は美咲さんの口の中を舐めまわした。その瞬間、「ガブ!」美咲さんが口をとじて
僕の舌が噛みちぎられた。とてつもない痛みだったが
力を貰っている最中なので我慢してキスという名の儀式を続けた。
唇が離れると同時に美咲さんからビンタを頂いた。
「ばかかお前は!お前の馬鹿さには付き合いきれん、トイレに行ってくる。帰ってきたら力の使い方を教えてやろう。」
ガチャっと扉を開けて向こうに行ってしまった。
(神様でもトイレするんだなぁ〜)
と思っていた。
儀式が終わる頃には、舌も生えてきており、美女とキスできたという喜びと力を得たという喜びで気持ちが満たされていた。
「美咲さーーーん力をもらったのはいいのですが…これってどうやって使うのですかーー?」
扉の向こうに向かって叫ぶ。
待っとけと言われたが、
僕は力を貰い自分がどれくらい強くなったのか試したい気持ちでいっぱいだった。
その時!
「えぇえええええええうそでしょよよよよ」
すごい叫び声が聞こえた。
僕は「大丈夫ですか?」や「何かありました?」
など聞く前に足が勝手に動いていた。
バタン!扉を開けてすぐの所に「といれ」とかかれた、張り紙が貼っている部屋を見つけた。
「美咲さーーーーん」
扉を破る勢いで入っていくと
「うぇーーーん、わたるーーーー」
トイレには、いつもの美咲さんは居なくて変わりに小さくて可愛らしい女の子が壁にもたれながら泣いていた。。。




