逃れ逃れ
我が家に飛んできた訳だが
1つ疑問になった事があった。
「あのぅ…美咲さん」
イヤホンのマイクに向けてひそひそ声で喋りかけた。
「ん?なんだ?」
「あのですね。こっちの世界では僕は死んでるんですよね?」
「あぁそうだ。」
「なら、家族とかには姿を見られてはいけないってことですよね?」
「…」
「まさか、忘れてたとか言わないですよね!?」
「その…えーっと…忘れてた!」
「えぇえええええええええええ」
「というのは嘘だ」
「は?」
「お前にはさっき神の力を与えたと言っただろう?だから人間にはお前の姿は見えない」
なんでこんな事で嘘をつくのだろうか。
本当に神様なのだろうか。少し呆れてしまった。
これからどうしようかと思っていたその時
階段を上がってくる音が聞こえた。咄嗟に隠れようとしたが、
「人間にはお前の姿は見えない」という
美咲さんの言葉を思い出した。
安心して椅子に座っていると、見たこともない女が立っていた。
「…!」
なぜだろうか…妙な違和感を感じる。
そんなことを思っていると部屋中を満遍なく見渡して始めたのである。
そして、僕と目が合うとこう言った。
「ミツケタミサキコロス」
女は懐から包丁を取り出した。流石にやばいと思ったが逃げ場がない。
「渉!神の力を使え!目をつぶって違う場所を強く念じろ!」
怒鳴りつけるような美咲さんの声がイヤホンから聴こえた。
包丁を持って女はじりじり迫ってくる
「くそ…やるしかないか…」
僕は言われた通り目をつぶり
強く念じた…あの場所を…
「ん…」
目が覚めると学校にいた。
人がいない事からして今日は土曜日か日曜日なのだろう…
せめて、飛ぶ前に家族の顔を一目でいいから見たかったなぁ…
そんなことを考えていると
「おい!渉大丈夫か?」
と聞き覚えのある、うるさい声が聴こえてきた。
「はいはい…大丈夫かどうかはわからないですけど生きてますよ〜」
「よかったー。」
美咲さんの自然に漏れたと思われる安堵の声が耳に入った。
そんな事よりも僕は美咲さんにきかなければならない事があった。
「美咲さん…さっきの女はなんなんですか?」
「…」
どうやら答えたくないらしい。
「美咲さん、僕は生き返れるかどうかがかかってるんです。どうでもいいことならききませんが、さっきのは命を狙われたんです。聞いておく必要があります」
「そうだな…すまない」
美咲さんはそう言うと重い口を開き語り始めたのである…




