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少年少女は、絶望を駆け巡る  作者: 小森 透
第一部学園編
3/6

上陸、そして出会い

INA;Inteligent Nation Antiの略称

日本政府が合衆国政府と協力し、世界を統一するためのシュミレーターとして開発していた人口知能。名前とは裏腹にどうすれば統一することができるのか、12億人もの人々のアイデアを学習中に世界最高とも歌われた日方(ひがた)重工のファイアウォールセキュリティが突破され何者かのハッキングに合い、プログラムが書き換えられ、統一の対象がロボットになり、支配の対象が人間となる。

要するに主従関係が逆になったのである。

また、AIの設定はシュミレーターでなく、オペレーターに書き換えられた。




その(ハワイ)は、INAが面積は小さく人こそいるものの今後ロボットを開発する工場を建てるほどの広さもないため不要と判断しする。2024年、島にいた全住民を処分(虐殺)し放棄された島である。

つまりそこには、人は誰一人としていなく、いるのは血も涙もない殺戮マシーンだけということになっている、INAが認識している限りでは。

だが実際には、島は各国の元軍人たちによって2029年に奪還され、地球上において唯一人類が占領している地域である。しかし、INAも認識していないほど厳重に秘密は保持されハワイ奪還は五年が経ったいまでも一握りの人にしかしられていない。

奪還作戦当時、島に居たロボットは破壊されることなく鹵獲され、今も島内に設立された基地の中のパソコンと接続され、偽のデータをINA送り続けている。



言語

2034年現在言語は、INAによって完全にコントロールされ英語が唯一話される言語となっている。

回天を出た遥人(はると)がビーチについたのは、数分後のことだ、太陽はすでに西の空に沈みかけていた。


ビーチと言っても完全に無人で荒廃し、無数のごみが波によって打ち上げられている。


黒一色の潜水服をまとい匍匐(ほふく)でビーチに上がった遥人は周囲の状況を確認する。だが、見渡せども、誰もいないビーチが続くだけである。


とにかく遥人は見晴らしの良いビーチなどから一歩でも離れようと思い、匍匐したままビーチから遠ざかろうとするが、ふと首に何か冷たい金属のような感触を感じた。全身には、体を引き起こすことのできないほどの重みがかかっていた。

「お前も、人間か?」

突然耳元でドスの効いた女性らしき声が聞こえる。

「あぁ、人間だ。」

遥人は元自衛官の父から近接戦闘の手ほどきと大小さまざまな銃の取り扱いを習ってはいたものの実戦はこれまでに経験がなく、震える声を押し殺して答えるのが彼の今の精一杯だった。

「証拠は?」

今度は、高めの男の声が反対の耳元で短く単調に問う。

「すまないが、そんなものは、持ち合わせていない。」

尋常じゃない汗の量を感じつつ遥人は虚勢を張って答える。

そのとたん、体に感じた重みは消えた。

遥人は、重みが消えたのを不思議に思いなかなか動けない。

「手荒な真似をしてすまなかった、俺はスウェーデンから来たニコラスだ、ニックと呼んでくれ。」

そういってニックと自称する人物は、おもむろに手を差し出しだす。

遥人は、それを掴みとり立ち上がる。

日本人からすると、高身長なニックは、ボサボサのヘアスタイルをしていて、ブルーの瞳に黒縁のメガネをしている。

「お、おう。よろしくニック。」

戸惑いを隠せない遥人に、もう一人の襲撃者が声をかける。

「本当にごめんなさい。初対面の人に挨拶もなしに首にナイフを押し付ける行為は、自分でもどうかしてたと思います。どうか許してください。」

先ほどまでの、ドスのきいた声とは、打って変わって透明感のある美しい声の小柄な少女は土下座をするほどの勢いで、遥人に謝ってくる。

「いや、いいんだ。こんな危険地帯で油断していた、俺が悪いんだ。」

遥人は、ずいぶんひきつった笑顔で返すことしかできなかった。

「あっ、ごめんなさい自己紹介もまだでした。私はカナダ出身のレイです。よろしくお願いします。」

遥人は、いまだ状況を呑み込めずにいた。

「二人ともよっ、よろしく。俺は日本から来た木城 遥人です。まだ首の感触が戻ってきてないけど、詳しくどうなってるのか教えてほしいな。」

少しの皮肉を込めて遥人は、自己紹介をした。




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