へいわなばしょ
ここはとても平和な場所。
そこにいる子供にここはどんな場所か、と尋ねると
「ここはへいわなばしょ!なにもかなしいことはないし、おこりたくなることもない。とてもたのしいばしょだよ!」
と、返ってくるらしい。
不満のない世界に憧れた私は、再就職もかねて、ここにきた。たしかにここはきれいで、いるだけで心が安らぐ。でも、なんだか変な感じがするのは気のせいだろうか。
「おいっ!なんだよ!こどもがぶつかってきたじゃねえか!あ!?ここは平和な場所じゃねえのかよふざけんな!」
子供が外から来たガラの悪い男とぶつかったようだ。
「ぁ……」
「おい!ごめんなさいとかなんとか言えよガキ!」
どうしたのだろう、怖くて声も出ないのだろうか。と思った次の瞬間だった。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」
「あ?何だこのガキ?いきなり狂ったように謝りだして。親呼んでこいよ!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……謝るから、いくらでも謝るから、だから……!ぁ………ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ふっ、と目の前から男と子供が消えた。と思えば、次の瞬間二人が現れた。
「ごめんねぼっちゃん!いまのはぼくからぶつかったよね…」
「ううん!いいの!ぼくもちゅういがたりなかったから!」
「おたがいごめんなさいだね!」
「あはは」
「あはは」
「「あははははははははははははははははは!」
「じゃあねおにいちゃん!」
「うん!げんきでね」
私は呆然とその様子をみていることしかできなかった。何なんだ、ここは。ふとそうこぼした。すると、周りにいた人たちが一斉にこっちを見て声を揃えて、話し始めた。
「「「「「「ここはへいわなばしょ!なにもかなしいことはないし、おこりたくなることもない、とてもたのしいばしょだよ!」」」」」」
その瞬間、私は走り出していた。出入り口へ向かって。
「「「「「「まって!まって!まって!まって!まって!まって!ここはへいわなばしょ!なにもかなしいことはないし、おこりたくなることもない。とてもたのしいばしょだよ!なのにどうしてにげるの?まってまってまってぇぇぇぇぇ!」」」」」」
わかった。最初に感じた違和感、それは、人の温もり、温かみが感じないんだ。何もかも芸術品のようで、生活感がない。ここに住んでいたら私もおかしくなってしまう。はやく、ここからでないと…!
「「「「「「あははははははははは」」」」」」
あれ、なんでこのへいわなばしょからにげようとおもってたんだっけおかしいなぁ
「おねぇちゃんどこいくの?もどるよぉ」
「そうだね!もどろう!」
「「あははははははははははははははは!」」




