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ストーカー?

 放課後の帰り道。割と人が多く通る道を抜け、人通りがない道を通っていた。


 急に、ピーンと私の直感が働いた・・・というより、足音がずっとついてくるのに気付いた。


 ひょっとして、誰かにつけられてる?


 角を曲がるときに、カーブミラーをちらりと見てみた。


 そうすると、全身真っ黒な服で帽子を付けた、いかにも不審者です、という格好をした人がいた。


 足音から察する限り、私が歩くスピードを遅くしたり速くしたりすると、後ろの人もそれに合わせてくる。


 怖いを通り越して、なんだか楽しくなってきて、しばらく、足のリズムを変えて相手が真似するのを聞いていた。


 ・・・素直に足音のリズムをまねしているけど、足音がたっていることに気付いていないとか?


 もしかして相手、ちょっとおバカなのかな?


 明らかに私がリズムをとって歩いていても、相手は私のとったリズムを変えずに足音を立てている。


 リズムとるのうまいな。


 ぜひ、リズムゲームをやってみてほしい。


 なんて全く関係ないことを考えていた。


 ・・・いやいや、こんなアホなことしている場合じゃない。


  私には、さっさと家に帰っておやつのクッキーを食べるという使命があるのに。


  方法その一。近所の人に助けを呼ぶ。


  ちょうど人通りが少ない道で、その上、住んでいる人はおばあちゃんおじいちゃんぐらいの年代の人ばかりなので、もしも相手が包丁を持っているようなやばいやつだった場合、被害が増えてしまうので、それは避けたい。


  方法その二。話し合う。


  私の足音でとっているリズムもとってくれるような人なので、意外と説得すれば何とかなりそうなきもするけど、危険なので避けたい。


 方法その三。全力で逃げる。


 ・・・これがシンプルでいい気がする。


よし、とりあえず、走って逃げよう。


 私はこれでも、逃げ足と回復力だけははやいと褒められてきたのだから・・・だけは。


 カラスが鳴いた。その瞬間、私はリュックを背負いなおし、ダッシュで逃げた。


 カーブミラーを見ると、相手が追いかけてきた。


 ここまでは予想通りだ。


 だけど、一つだけ、予想外だった事がある。


 ・・・走るの、おっそいなぁ。


 ぜんぜん足音が近づいてこないので、振り返ると、そう思った。


 つい、二度見した。


 足音だと、リズムとるときは、ノリノリだったのに。


 ほんとに、びっくりするほど遅い。


 相手が必死に走っていても、思わず同情して止まってあげたくなるようなおそさだ。


 転ばないかな、大丈夫かな、とチラチラ振り返っていると、やっぱり転んだ。


 顔面からずべーっといった。


 「うわーーっ、痛そう・・・」


 声に出ていたらしい。


 ようやく回復したのか、相手がむくっと地面から起き上がって、こっちを見た。


 どうやら、気づかれていないと思っていたらしい。


 相手は、慌てて電柱に隠れた。


 しかし、残念ながら足が隠れていない。少しはみ出している。


 面白くて、吹き出しそうになり、私は口を抑えて、うずくまった。


 たぶん、この人は無害な気がする。


 とはいえ、知らない人だし、つけられているので、無害といっていいのかはわからないか・・・。


 すると、つけてきた人が近づいてきた。


 「あのーー。大丈夫?」


 少し低めの声がした。声や見た目的に、大学生、高校生くらいだろうか。


 顔をあげて見てみると、めっちゃイケメンだった。すべてのパーツが整っていて、神々しいぐらいだ。身長は私の頭一個分くらい高いのに、顔立ちは少し幼く見える。


 目が合うと、黄色やオレンジなどの、暖色系のような色の眼をしていた。見る角度によって、少し色が変わっている気がする。


 なんで色が変わるのかはわからないけど、きっと、カラコンだろう。


 何の種類使ってるんだろう。気になるー。


 ちょうど真ん中ぐらいの位置でセンター分けになっていて、よく似合っている。


 あなたの電柱に隠れる姿に、吹き出すのをこらえていましたなんて言えないので、なるべくシリアスな雰囲気を意識して言った。


 「大丈夫です。あなた、だれなんですか?なんで付け回すんですか?」


 さっきまでの姿を思い出すと、笑いそうになって微妙に声が震えた。怒っている、怖がっているように受け取ったのか、


 「ごめん!怖がらせる気はなかったんだ!」


 と両手を合わせて、謝ってきた。


 素直でよろしい。


 「その・・・虹が人間と暮らしているって聞いて、なにかひどい目にあわされていないか心配で、いざとなれば引き離そうと思って見に来たんだけど・・・。君を見つけたのはいいものの、どんなタイミングで声をかけようか迷って、一定の距離を保っていたんだよね・・・」


 引き離そうと思ったって・・・私、どんな人間だと思われていたんだろう。


 「虹の知り合いなんですか?」


 「うん、友達なんだ!・・・虹はどう思っているか、分からないけど」


 「え・・・ってことは、ただのストーカー・・・?」


 「違う、違うって!」


 相手は、首を全力で横に振った。


 「いろいろ聞きたいこともあるし、ファミレスでも行かない?」


 それを聞いて、ようやく警戒心が湧いてきた。


 「知らない人にはついていっちゃダメって学校で習ったので、すみません。では!」


 今度こそ振り返らず家に猛ダッシュした。


 あの人はけっこう足が遅かったので、家を特定される心配はないだろう。


 家に入り、鍵が締まっているかきちんとチェックした後、さっきの出来事を教えるために、虹を探した。

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