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土下座×2

 「なるほどー」


 玄関の片付けも終えたので、リビングに座り、麦茶を飲みながら虹にひととおり話した。


 虹は毛づくろいをしていた手をやめ、悲惨な思い出を思い出すかのように、目を細めた。


 「あの時は、美音がゴキブリ撃退スプレーを片手に真っ青になりながら、玄関に倒れこんでいる楽を見下ろして考えこんでいるっていうなかなかカオスな絵面になっていたから、楽を殺ったのかと思って、一瞬焦っちゃったよ」


 「殺してない!殺してないよ!」


 手や首を振って、全身で抗議した。


 勝手に殺人犯にしないでくれ。


 「わかってるって。考えてみたら、そんなわけないよなって思って、冷静になった」


 だから、取り乱していなかったのか。


 「あれ?ちょっと待って、楽って、虹がこの前言っていた、あの?」


 「そう。あのバカ」


 あー、私をつけているときに、私の足音の真似をしてついてくるなんて、相手、ちょっとおバカなのかなーなんて思っていたけど、虹にまでバカって呼ばれるほどのバカなんだ・・・。


 本当に虹の知り合いだったのに、気絶させちゃったのか。申し訳ない。起きたら土下座して謝ろう。


 じつは、気絶させてしまった後、虹が、こいつは無害だから、大丈夫!と自信満々に言うので、リビングのソファーに寝かせておいた。


 移動させるために、後ろにあったパーカーをつかんで引きずっていると、ちょっと苦しそうだったので、足にしてあげた。・・・引きずったのは、しょうがないよね。だって、でかいし重いもん。


 とまぁ、起きるのを待っている間に、私が虹に説明していたわけで・・・。


 「うぅ・・・」


 楽が、のろのろと起き上がった。


 「誠に申し訳ございませんでしたぁ!」


 スライディング土下座をした。


 もちろん、楽ではなく、私だ。


 なかなか見事な土下座な気がする。オリンピックだったら、金メダルをとれるかも。


 いや、そんな甘くないな。オリンピック選手に失礼か。


 「いや、こちらこそすみませんでした!」


 ペコーッと、楽も土下座し始めた。


 どうしよう、頭、上げづらい。相手が頭上げるまで、待っていよう。


 ・・・まだ!?楽、まだ頭上げてないんだけど!


 三分くらいたったよね!?


 カップヌードル作れちゃうよ!


 楽の土下座を止めてもらおうと横目で虹を見た。


 どこから持ってきたのか、本当にカップヌードル作ってる!っていうか、食べてる!


 ・・・もう、顔上げていいよね。


 あほらしくなってきた。


 頭を上げて楽のほうを見ると、寝てた。ぐっすりと。あぁ、三分で寝れるタイプの人(?)なんだ・・・。


 ・・・。


 「虹、私にも分けて。一口ちょうだい」


 「ふぃいよ(いいよ)」


 椅子に座ってお箸で食べていた虹が、お皿に入れて、口にくわえて持って来てくれた。




 お皿の中を見ると、思った。


 麵の量、少な~。

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