お目覚め
意識の暗転から目覚めた僕の視界に飛び込んだのは、鮮烈な青。
どこまでも続いていくような、広い青空だった。
そしてその中に、鳥のような、鳥よりもはるかに大きい影がいる。
ゆっくりと立ち上がれば、青々とした緑の野原の先に、壁に囲まれた街が見える。
本当に、異世界に来たんだな。
ラノベじゃみんな軽く流しているけど、実際見ると感動モノだ。
ふと気になったので自分の服を見ると、見覚えのない、まるで中世ヨーロッパの町民みたいなモノを着ていた。
これは女神様なりの心遣いなんだろうか。
白シャツに茶色のズボン、小麦色のバッグ。実に初期装備って感じがする。
バッグに何か入ってないかな、と調べると、
・ナイフ(さや付き) 1つ
・コイン(金) 3つ
・カード大の金属板(文字的なモノが彫られている) 1つ
これらが入っていた。
これも心遣いかな、ありがたい。
ナイフは何に使っても便利だ。
金のコインはこの世界の貨幣なんだろう。
で、この金属板は…ま、後々必要になるんだろう。
何だか、異世界転生にしてはラノベと比べてずいぶん手厚い。
ん?
異世界転生ってさ、基本的にはチート能力がつきものだよな。
僕チートどころか能力も説明されてないんだけど!
これ大丈夫?僕世界救える?
いや、まて!ラノベなら定番の確認方法があるじゃないか!
いくぞ、
「ステータス・オープン!」
・・・・・
なにも現れなかった。
おい詰んだかこれ?
まだだ、もっと本気で…
「ステェタスゥ・ゥオォプン!」
そうだ、発音を現地よりにすれば…
「Status・open」
・
・・・
・・・・・
しかし何も起こらなかった!
大丈夫でっかなコレ!?
すると突然、背後からガサガサと草を分ける音が鳴った。
とっさに、距離を取りながら振り向く。
そこにいたのは…
「グォァ…グガァッ」
緑の肌。血走った黄色い目。尖った歯。
ラノベでも定番のモンスター、ゴブリンだ。
読んでくれてありがとうございます!
面白かったと思ったら、続きもぜひ。