笑う神々、惑う人々
今回完全別視点!後ヒロイン追加!
神界にて。
『英雄活劇』開幕からちょうど一年、
神々はこの遊戯の『定期イベント』のために大劇場へ集まっていた。
何十層と積み重なった観客席の視線の先には、
舞台上にいる司会のマティ。
「皆様、英雄活劇楽しんでますでしょーか!
いやー、この1年間だけで面白いドラマがたくさん生まれましたねー!
だがしかし!遊戯はまだまだ始まったばかり!
そして、此度はそのゲームへの『追加参戦』の日!
物語をかき乱す新たな劇薬になることを願って、盛大に送り出してあげましょう!」
舞台の奥に、映像が浮かび上がる。
そこには、白い空間に呼び込まれた様々な人々がいるのだった。
ーーーーーーーーーー
「なんだ、ここ…」
「俺、死んだのか?」
「どうなってるの…?」
制服、スーツ、私服と様々な人の戸惑う声。
そして、高校2年生である波葉詩織もその一人。
彼女はいつも通りの授業中にクラスごと魔法陣に包まれ、気づけばこんなところに来てしまっていた。
あたりを見まわす。よく知るクラスメイトと担任の教師も困惑の表情を浮かべている。
おおよそ100人ほど、この白い世界に一斉に連れてこられた。
一体誰が、何のために?
「よく来てくれたね、人の子よ」
脳内に直接届くような、高い笛じみた声が響く。
声の方向、上を見る。
そこには、白く長い一枚布だけを身に着けた、長い金髪を持つ美男子が宙に立っていた。
真っ先に理解する。
言葉、姿、振舞い。多分…神様だ。
「我はウィクショナリス。公平を司りし神だ。此度はあなたの世界と別の世界においての均衡をとるために、多少強引に転移させてもらうよ」
ざわめく。そこに含まれたのは、惑い、興奮、怒り。
そんなこと聞かぬかのように、神様ーウィクショナリスは話を続ける。
「あなた方には、別世界へ行き魔王を討伐してもらう。
もちろん、それ相応の力は我以外の神々から与えられているよ」
一部のみの興奮が高まったのを感じる。
でも、私は肌寒い怖さを覚えた。
何も知らない世界で、少なくとも『魔王』という存在と闘わなくてはいけない。
つまり、『死』に一気に近づかれた。
体が震えそうだった。
頭の中に、1年前の『姉』と半年前の『思い人』の最後がふっと浮かんでくる。
神は無情に宣告する。
「あなた方が魔王を倒してくれなくては、被害はあの世界だけに収まらず、至る世界に影響が生じさせなくてはならないんだ。災害、という形でね。
いいかい、これはもう一つの世界の問題ではない。だから心してかかるんだ。
先にどんな試練が、結末が待っていようとね」
景色が、引き伸ばされていく。
瞼が重たくなった。
頭には、虚ろな目をして流れる闇へ身を投げた、私の思い人…『安生冬夜』の姿が浮かんでいた。
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