開幕
楽しんで読んでいってください!
「レディース、アァンド、ジェントルメェン!
ついに始まりました、神階の一大娯楽、『英雄活劇』!
司会を務めますはこの私、マティです!
さぁさぁ、人間たちの演じる血沸き肉躍る冒険劇、お楽しみくさーい!」
僕の名前は安生灯夜。
享年17歳。
死因はバイクでトラックと正面衝突。
なぜ死んだってわかるのかって?
それはね、目の前がひたすら真っ白な場所だから。
これからどうなるんだろう。ラノベなら、神様とかが出てくるはずだが。
「こんにちは、安生灯夜クン」
すると、どこからか女の子の声が聞こえてきた。
これは、まさか本当にラノベ展開か?
「そう、そのまさかだよ」
女の子、いや推定女神が答える。
じゃあ、これから僕は…
「異世界に行って勇者として世界を救ってもらう」
そーか、そーなんだな。
ちょっと怖いが、どーせ1度は死んだ命。神に拾われたんなら、全力で挑ませてもらおう。
「いいね、その意気だ」
では、お願いします、女神様!
「頑張ってねー、勇者クン」
最後に女神様の声が聞こえ、僕の意識は暗転した。
「イヤーお疲れ様、スートル」
とりあえず最初の勇者との会話を終えた所に同僚のエキソが話しかけてきた。
「別に、もう慣れたものよ」
「確かにそうだな、これで何回目だっけ」
「10回目よ」
「記念すべき数字じゃあないか」
「別に、大事なのは数字じゃなくて内容よ」
「さすが『悪役作家』、カッコイ〜」
「やめてよ、私は好きでやってるだけ」
「まあでも、それでこの『英雄活劇』が面白くなっているんじゃないか」
「それは、よかったわ」
「おおそれは皮肉かい」
こいつのこーいうところが嫌いだ。
何を言ってもヘラヘラしていて代わり映えしない。
「それで、今回の勇者クンはどうだった?」
「いつもと変わんない感じよ」
「なら良かったね」
「アンタはどうだったのよ」
「今回もまた面白い子でね、開口一番、僕なんかが行っていいんですか、だよ。その時の顔がほんと可愛くてね〜」
「まーた顔で決めたわね」
「そこんとこ君も似たようなもんじゃないか」
「そうかしら?」
「ボクが知る限り、表情豊かそうなんて理由で自分がサポートする勇者を決めるのなんて君くらいだよ」
「ああそう」
「つれないな〜」
私はその場後にした。
私がやることはただ一つ、あの子、安生灯夜クンを立派な『悪役勇者』にすることだけ。
読んでくれてありがとうございます!
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