選び終えられた後に
この国では、年に一度、未婚の男女が集い、未来の伴侶を選ぶ“星結びの宴”が催される。
参加者は貴族、騎士、錬金術師、魔導師、商会の若手実力者など、いずれも社会的地位のある者ばかり。
評価は“ポイント制”。第一印象、血統、魔力量、土地保有数、年収——果ては、使い魔の可愛さまで。
そして、選ばれるのは当然、ポイント上位者から。
私はというと、上位五人の男性に即興で告白しては、
「あなたにはもっと似合う方がいますよ」と笑われ、
中位の男たちには、「ああ、もう予約済みなんで」と断られ、
最後に残されたのは——
「……あなたしか、いなかったのよ」
「……ですよね」
男は、どこか遠い目をしていた。
髪はぼさぼさ、服は地味で寸法が微妙に合っておらず、装飾品は一つもない。
名はリアン・グレイ。
職業、“森の管理人”。
魔法も剣術も中途半端。ポイント下から三番目。趣味は「土いじり」。
「付き合っていただけるかしら」
「……まあ、最終残留組ですし。嫌とは言いません」
まるで、余った野菜をしぶしぶ買うかのような気まずさ。
私、ミレナ・カーリスは、貴族令嬢でありながら、恋愛運にはめっぽう弱かった。
けれど、この男にはある秘密があった。
いや、才能というべきか——