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1. 私はミラ? 悪役令嬢アダリンとの出逢い

悪役令嬢に転生して、

現代日本の知識や、日本人女性としての奥ゆかしさを

武器に無双するー

そんな漫画が大好きで読み漁っていた、

夢も希望も来世に託して諦めた22歳の私


ネットでみかけたちょっぴり…

いや、かなり怪しい『異世界転生する方法w』というサイトに載っていた異世界転生するための行程を試してみたら、なんとまんまと異世界にきてしまったのだ。



目が覚めたのはつい先程のことーー…


「ミラ様…で間違いありませんか?」


異世界転生モノでよくみる、

王宮の侍女のような格好の無愛想にも冷酷な美人さんにもみえる黒髪の女性に声を掛けられて目が覚めた


私を見る目は、軽蔑…というより、

威嚇の意志を感じさせられるようなもので、

起きたばかりで考えが纏まらない私を困惑させるのには充分すぎた


「えっ…と……ミラ、という名前に聞き覚えはありません…ごめんなさい…」


人を探しているのかもしれない。

侍女の質問で、考えるよりも先にそう感じた私は

力になれないこと、私がそのミラ様ではないことに対する謝罪を述べた


「いいえ。間違いないわ。

彼女が ミラ・ナレリシア 本人よ。」


侍女の斜め後ろから仁王立ちでこちらを見下ろす女性がそう言うと、侍女はなぜか、悔しそうな表情を浮かべた。

私がミラ・ナレリシアという人だとなにかまずいのかな?

侍女の悔しそうな表情は、そう感じさせた。


「アダリン様…」


侍女にそう呼ばれたであろう、

気の強そうな華やかな女性

黄色に近い金髪と、釣り上がった大きな赤い瞳。

薔薇やその棘から連想される鮮血を纏っているかのような真っ赤で華美なドレスの色ととても似ていて、美しさと共に恐怖を感じてしまう。



「あなた、ミラ・ナレリシアを知らないといったわね? では、私の知るミラ・ナレリシアに瓜二つなあなたは、一体何者なのかしら?」


そう訪ねられた私は頭をフル回転させる。


うん…。日本ではないよね。

まさに!ここが異世界です!

って感じの、日本人が想像する素敵な中世ヨーロッパって感じの世界観。

御手洗がなくてそこらじゅうに○○○が転がっているなんてこともないし、じゃあどこの国かっていわれても、色々な国の文化が綺麗に混ざっている感じがして特定できない。

そして、アダリン様と呼ばれているであろう女性の顔立ちは、外国の方というより、ハーフだったり整った日本人といえる。

ただ、お顔はものすごく小さい。

侍女さんのお顔立ちも、さっぱりしているが整っている。でも髪と目の色は真っ黒で、それこそ日本人そのものにみえる。


そしてなにより、

特別な魔法でそう聞こえているとかでない限りは、

どう考えても日本語なのだ。聞こえてくる言葉が。



「私が何者で、何故ここにいるのか…

そして、ミラ・ナレリシア?様との関係も、

何もわからないんです…。申し訳ないです…。」


そう答えると、

深い溜息が聞こえた。



「はぁぁ…。しらじらしい。

あなた、自分が突然 王妃殿下の聖堂に現れたことについても覚えてないとでもいいたいのかしら?

例えこの世界についての知識がないとしても、

これがどれほど不敬で常識知らずなことかは

考えなくてもわかることですわ。

これを亡き王妃殿下のお導きなどと思う者が

本当にこの世界にいるとでも?」


…んん?


「それに、記憶がないふりなんて、お辞めなさい。

意識が朦朧としていて寝言をいっていたのよ、あなた。…ねえ、“ 東京○○病院にかかりつけ医が ”

“ 持病は大腸癌 ” これってどういう意味かしら?」


……!

確かに私は持病があって、

倒れたときにはそう伝えるべきだと意識して過ごしていた。

それを意識朦朧という緊急時にしっかりいかせたのか。という自分を褒めてあげたい気持ちと、

現代の日本についての知識がなければ、

ちんぷんかんぷんであろうそれらの単語を聞き取り

脅しにまで使えてしまうこの人の正体を勘づいてしまい、私は驚いた。


アダリンはきっと、転生者か転移者。

そして彼女の今までの発言から察するに、

ここは異世界。

信じられないし、夢かなとも感じたが、明晰夢をみることができる私からしたら、それとも違うここは、きっと、異世界なのだろう。


こういうときに焦らず状況を判断できる人間でよかったと心からそう思う。

そう、これは自慢だが、私は勘が鋭いし

尚且つ賢いのだ。


それこそ、異世界にくるまえは、

22歳ながら数々の活躍をして神童やら天才と

もてはやされた、知る人ぞ知る、ちょっとした日本のスターだったのだ。


「どういう意味かというその問の答えを、

知っておいでなのですか?」


そうきくと、アダリンは少し目を見開いた後、

悪巧みをしているような顔でにこっと笑った


「ええ。知っている者同士、少しお話しをしましょう」



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