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第8首

第8首お届けできました。

第8首


さっきまで

お前の横に

座ってた

あの可愛い娘を

紹介してくれ


短歌解説

 私が間接的に関わった実話です。

 同じゼミのOは、良くも悪くも好奇心が旺盛で、興味をそそられたものがあると、軽ワゴンでどこへでも出かけていました。

 その頃、心霊スポットとして有名なDトンネルのことが仲間内で話題になりました。するとそれに関心を示したOが、夜中に友人の男2人を誘って軽ワゴンでDトンネルに向かいました。私も誘われましたが、何か見えたらイヤなので断りました。

 翌日、大学の学食でOたち3人が昼飯を食べていたのDトンネルの話を聞こうと思ってそのテーブルに行きました。ちなみに私は、ほとんどルーだけのカレーを手にしていました。学食のカレーは、たまに輪ゴムが入っていることがあって、その輪ゴムカレーをゲットできたら恋人ができるという都市伝説みたいな言い伝えがありました。私は4年間の間、何十食もカレーを食べましたが、残念ながら一度も輪ゴムカレーには出会えませんでした。

 席について、カレーを食べながら、私はDトンネルのことを訊きました。

「どうだった? 噂どおり霊がでてきた?」

「いや、何回もDトンネルを行ったり来たりしてみたけど何にも起こらなかった。やっぱり新道の方では何もないのかな。旧道の方は通行止めで行けなかったし。ただドライブしただけになったな」

 Oはそう言ってため息をつきました。

「骨折り損のくたびれ損だったわ」

 ん? 慣用句の使い方間違えてるなと思いましたが、あえて指摘しませんでした。

 そんな時、同じ学部ですが他のゼミにいるBが、辺りをキョロキョロ見回しながらこちらにやってきました。

「なあ、さっきまでOの横にに座っていた女の子がいただろ。俺、向こうの席で食べてたんだけど、食べ終わって見たら、女の子じゃなくて合沢が座ってたんだ。あの子どこに行ったんだ? めっちゃ俺のタイプだったから紹介してくれないか」

 Bが言いました。

「えっ、何言ってるの。女の子なんていなかったぜ」

 Oがきょとんとした顔で言いました。

 私はその日少し風邪気味で疲れていて、霊感が衰えていたのかもしれません。私にはBが見たという女の子の気配は全く感じられませんでした。

 私が思うに、おそらくOはDトンネルで女の子の霊を連れてきてしまったのです。そしてBにだけ見えたということは、その女の子の霊がBを見初めたのかもしれません。だからBにだけ見えたのだと思います。

 Bにそのことを教えようかとも思ったのですが止めました。どうせ信じてもらえないだろうし、お互いに好みのタイプなのであれば、「ま、良いか」と思って。


残り92本

何年か経って、私も一度Dトンネルの向こう側の町に用事があって、車で通ったことがあります。霊気は感じませんでしたが、雰囲気はやはり不気味ですね。

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