第3首
第3首お届けできました。
第3首
窓の外
サラリーマンが
歩いてる
ふと気がつけば
ここは2階
短歌解説
私が間接的に関わった実話です。
高校の時のクラスメートの女子が話していた体験談です。
高校2年の試験前の昼休みでした。
他クラスの女子が私の教室に入ってきて、隣の席の女子のところに来ると、「私、どうしよう」と泣きそうな表情で言いました。
「えっ、どうしたの? 好きな人でもできた?」
私は隣で恋バナでも始まるのかと思いました。
「違うよ、そんなんじゃない」
「じゃあ、何なの?」
「昨日の夜、見たの」
「見たって何を?」
「おじさん」
「おじさんって、父親のこと?」
「違うよ、お父さんじゃない。外を歩いていたおじさん」
「おじさんが外を歩いていても、何も困ることないじゃん」
「私の部屋、2階にあるんだよ」
「知ってるよ、Y美んち行ったことあるから」
「昨日の夜、試験勉強していたのよ。1時頃だったかな、暑かったから窓を開けて空気の入れ換えをしようと思ったの」
「すごいね、そんなに遅くまで勉強してたんだ」
「そんなことはどうでもいいのよ。窓を開けたら、5メートル先ぐらいを中年のサラリーマンが歩いているのが見えたの」
「酔っ払いのおじさんか何か?」
「違う! 私もその時は気付くのが遅れたんだけど、私の目線と水平の所を移動していたんだよ」
「で?」
「私の部屋は2階なんだよ。見下ろしていないんだよ。どう考えてもおかしいじゃん」
「あっ…」
私はY美という女子を見ました。幸いにも彼女の周りに霊的なものは感じませんでした。彼女がそのおじさんを見たときに、すぐに怪異に気がついて悲鳴でもあげていたなら、霊に気付かれて、もしかすると取り憑かれていたかもしれません。
残り97本
解説の会話の内容は、当時を思い出して書きましたが、多少脚色しています。
当時、このおじさんの目撃情報はY美さんだけではなく、他の人からも聞いたことがあります。おじさんの霊、私の住む町を徘徊していたのかもしれません。