第六話 ・・・ありがと
「恋バナ、しよ?」
瑠衣と瑠美にそう誘われた私は、二人を交互に見て、こう言った。
「じゃあ、晩御飯を食べた後にそれぞれ好きな飲み物と食べ物を持って私の部屋に集合!!」
「お〜!!」
私は、やれやれと肩をすくめながら自分の部屋へと戻った。
どうやって、話そうか考えながら。
「なるほどなるほど、じゃあ、そうやって付き合いだしたんだね!!」
瑠美がテンション高めに言い、そのテンションを受け継ぎながら瑠衣が言う。
「今までの、どの男とも違って良い感じだね!!」
「・・・そうだね」
私はため息をつきながら、言った。正直言って、ここまで追求されるとは思わなかった。
何を話したかと言うと、文化祭準備の下りから今日の出来事まで全て語らされた。私は悪いことをしていないはずなのに、喉元にポッキーとプリッツを突きつけられ、半強制的に語った。
一度否定したら、ポッキーのチョコが首元についてだいぶ困ったと言うのが、理由だけれど。
「そういえば、デートしないの?」
瑠衣が思いついたように言う。思いついたのではなく元から聞こうと思っていた疑惑が浮上しているが。
「そんな話はしてないけど・・・どうだろう」
首を傾げた私に瑠美が、最悪の提案をした。
「じゃあ、うちに呼ぶのは?」
「あ、それいい!!」
「いいよね、瑠璃姉ちゃん!」
「何いってんの、瑠美。お姉ちゃんが駄目って言うわけないじゃん」
「そっか、そうだね!瑠衣姉ちゃん!!」
いつの間にか、私の家に春野くんが来ることが決定してしまった。
春野くんが家に来るのは、次の土曜日ということになった。
春野くんにメールを送ると、即既読・即了承で嬉しいやら困るやら恥ずかしいやらという色々な感情が渦巻いたが、妹たちは嬉しそうに大はしゃぎしていた。
何を着るのか、どんな話をしようか、春野くんはどんな見た目なのか、妹たちの会話は尽きない。
そんなこんなで、土曜日を迎えた。私は、春野くんの趣味はわからないけれど、とりあえず清楚系の服で責めてみた。黄色のシャツワンピで、腰辺りにはリボンが巻かれている。瑠衣と瑠美と色違いの服だ。
可愛いと褒めてくれるかな。
なんて、乙女らしいことも考える。
ーピンポーン
チャイムが鳴った。
私が玄関に向かうよりも先に瑠衣と瑠美が玄関へ向かった。
「あ、瑠衣、瑠美待って!」
私の制止を聞かず、春野くんを迎えてしまった。
「こんにちは〜!!」
瑠美の元気な挨拶が遠くで聞こえた。
「あ、こんにちは・・・?」
続いて聞こえるのは、困惑した春野くんの声。
「どうぞ、どうぞ、中へ!」
瑠衣の案内により、春野くんが家へ入ってきた。
「あ、瑠璃、おじゃまします」
「春野くん、いらっしゃい」
私が緊張しながら言うと、春野くんは私と、瑠衣と、瑠美を見て、こう言った。
「服、色違いなんだね。似合ってるよ」
「・・・ありがと」