第四話 私のどこが好きなの?
「え、そう言ったの!?」
みーさんは話し終え、ふぅっと息を吐いた。
「そっか〜、そっか〜」
私は嬉しさのあまりそう言った。
「だから・・・まぁ、期待はしてるよ」
みーさんは、そう言った。いつの間にかみーさんは、いつの間にか私の恋人審査をしていたらしい。
今日は、みーさんと白谷くんとデートをするらしいから、私は一人で帰ることにした。
そしたら、春野くんに話しかけられた。
「瑠璃、今日は一緒に帰らない?ついでにさ、甘いものとか食べていかない?」
「いいね、そうしよう」
立ち寄ったのは、小さなスムージー屋さんだった。
「何飲むの?」
私が聞くと、春野くんは青白い顔で下を向いていた。
「どうしたの?」
もしかして・・・春野くん、甘いの苦手なのかな?
私はメニューを探して、甘くないスムージーを探した。
「春野くん、グリーンスムージーは甘くないと思うよ?」
「え・・・」
「春野くん、もしかして甘いの苦手でしょ」
「あ・・・うん、よく分かったね」
「そりゃ見てれば分かるよ。でも、なんで・・・甘いの食べようって誘ったの?」
私の問いに、春野くんは視線を彷徨わせて、こう答えた。
「円城寺さんが、瑠璃は甘いの好きって言ってたから・・・」
私のために・・・わざわざ苦手な甘いのを食べようって言ってくれたなんて。
私、春野くんなら平気な気がしてきた。みーさんが期待していた通り、もしかしたら・・・大丈夫だと思う。
私はバナナスムージーを、春野くんはグリーンスムージーを頼んだ。
「美味しいね、これ」
「うん・・・僕のも美味しい」
たまに、みーさんとこうやって甘いのを食べたりするけど・・・好きな人と食べたり、飲んだりするのとはまた、別の楽しさがあった。
帰り道、私と春野くんは駅へ向かいながら、公園に立ち寄った。
春野くんが話をしたいと言われたからだ。
「それで・・・話って何?春野くん」
私がそう聞くと、春野くんは照れくさそうに笑った。
「あのね・・・瑠璃」
春野くんは、視線を彷徨わせながら言う。
「うん、どうしたの?」
私は、春野くんを見ながら先に続くであろう言葉を考えた。
やっぱり、好き・・・かな。そう言ってくれたら嬉しいけど、言ってくれるかな。
「好きだよ。付き合って」
春野くんは、そう言ってくれた。でも、まだ懸念するところがある。それは・・・私のどこが好きなのかということ。みーさんの前では、「性格が大好き」と言ってくれたけれど、本当かどうかはまだわからない。みーさんにも、あのあと「用心しろ」と言われたのだ。
私は、過去の男どもを思い出す。
「は?瑠璃、ウザいよ。そんなに来ないでよ」
「瑠璃って、顔だけなんだね」
「顔だけが取り柄なんだからさぁ、黙って愛想振りまいてたらいいんだよ」
もし、春野くんもそうだったら嫌だなぁ。
だから、私は春野くんの問いに答える前に、こう聞いた。
「春野くんは・・・」
震える指を押さえながら。
「私のどこが好きなの?」